#1
うららかな小春日和。まったりとおさんぽ。
そぞろ歩きの起点は、都合で練馬の駅から北方向の文化センター、それの右手前、つまり北北東に進路をとって右手に伸びる商店街の往還から このお話は始まる。
・・・・・・くんくん、なにやら人間の匂いがしてくる。いや人間の生活の、惣菜の匂いだ。
鮮魚を焼いて軒先に並べているのは水産看板の屋根の下、吹きさらしの秋風をものともしないこの店のおきゃんな看板娘か。
ちらと目が合う。どきっ(;^_^A
それにしてもいい潮の香だ。 う~ん、そそられる。
江戸時代の昔からこうしておきゃんな娘がその土地の住民の活気をよびさまして喜怒哀楽悲喜こもごものドラマを創ってきた、ひっぱってきたんだね。
なにせ悪気が無いから憎めない。一晩寝たらもう次の日は新しい興味のあるものに挑んでいく好奇心旺盛なじゃじゃ馬である。
周りはふりまわされるわ、はらはらどきどきの界隈。
今でも周りにいるんじゃないかい?ひとりやふたりは、そういうのが。
・・・・・・その昔、かの町娘さんの先代も湯浴みしたであろう、湯屋、銭湯がそこにもあった。
鎖国時代外国人がくったくのない町民に連れられて混浴の銭湯に足を踏み入れた文献が存在する。
それには、驚きと羞恥と欲望とが複雑に混ざったカルチャーショックが赤裸々に綴られてあった。
島田髷の新造だか町娘がなんのてらいも無く曲線的な裸身をさらしているのには、心臓が高鳴ったであろう。
カラカラ浴場以後の当時のヨーロッパでは気取ったおすましの紳士・淑女の時代であったのでこのような裸のつきあいはまさに天国パラダイスに来たのかと思ったであろう。
どちらが文化程度が進んでいるのか高いのか、今のものさしでは計りかねます。
おっと、もうこんな時間。
それではまた。 (つづく)