顔見世興行にまさか行くとはねぇ | 朝寝坊弁慶のささやかな交湯録

朝寝坊弁慶のささやかな交湯録

朝寝坊弁慶の由来は、朝寝坊して昼過ぎからのこのこと温泉に出かけていく習性に由来しております。

弁慶はなにかといえば、語呂合わせみたいなものです。

興味の幅がありすぎて、まとまりがありません。最近は京都に住んでいます。気持ち的にはです。



12月の京都の風物詩のひとつ、まねきの上がった南座。弁慶は門外漢なので、今まで観るとか想像した事もなかったのだが、


諸般の事情で舞妓さんと観ることになった。


きっかけは10月の先斗町の水明会のあと、「西陣くらしの美術館冨田屋」で知り合いになった歌舞伎好きで唄と三味線を習うNさんを先斗町の芸妓である亜弥さんに紹介しようとしたことだ。彼女からその時に顔見世興行を勧められたわけだが、その理由は助六の中で演奏される河東節で師匠筋の方が出演されるのだという。


そんなことを話していると、その場にいた埼玉出身の舞妓さんに私も観たいと強請られた。舞妓を1日連れ歩くようなことは全くするつもりはなかったし、だいたいそんなことをするとどのくらいの請求が来るのかという相場感も出来てきた。ましてや、そんなことをする身分ではないことも百も承知ではあったのだが、まあ、今年はいろいろあったから厄祓いだよなってその場のノリで了解したわけである。


ところが、いよいよ上洛する週の初めに亜弥さんから連絡があって約束した舞妓さんが突然引退してしまったという。もうすぐ芸妓になる立場だったのでいろいろ悩みがあったらしい。屋方では代わりの舞妓さんは用意してくれてはいるけれど、経緯が経緯だけにキャンセルも可能だという。驚いたし、ちょっとがっかりしたけれど、代わりに用意された舞妓さんも辞めた舞妓さんと同じで埼玉出身で良く知ってる方だったので、断ると次に会った時にバツが悪いと思い了解した。



ぐりる・ど・れぶん

075-221-8756

京都府京都市中京区三条下ル東入ル石屋町126 

https://tabelog.com/kyoto/A2601/A260301/26005983/


顔見世興行の夜の部は16時から20時半の予定だったので、ちょっと遅い昼を宿にチェックイン前に食べるつもりだった。三条大橋の眠眠を覗くと13時をとうに過ぎているのにそこそこ席は埋まっていた。どうしようかと思いながらいったん通り過ぎると、その先にシチューの文字が見えたのでその店に吸い込まれるように入ってしまった。


店内にはお婆さんが1人で座っていて、どうやらその方は店主のようだった。ちょっと選択を誤ったかと思ったが、運ばれて来たシチューの肉は箸で難なくほぐれるほど柔らかく美味しかった。


店名はご主人が礼文島の出身だったことからだそうで、もう開店して40年になるという。


何処に行かれるのかと聞かれたので、顔見世興行に行くというと


「南座が改修工事で先斗町の歌舞練場で代替公演があった頃は、愛之助さんと紀香さんも良く来られたんですよ。とっても腰の低い良い方でしたよ」と懐かしそうに話された。


肉の柔らかさのことを話すと、最低でも4日煮込んでから提供しているので、店が休みの日も厨房に来ているのだという。


14時過ぎに宿にチェックインし、15時には舞妓さんが迎えに来てくれて、そこから南座に。



今年の顔見世興行は、市川團十郎の襲名披露でもあり、席が取れないと評判だったそうだが、なんと花道近くの最前列だった。


※これは竹馬というらしい。


演目は仮名手本忠臣蔵から一力屋の場面と助六所縁江戸桜。この助六を團十郎が演ずる時、その後ろで演奏するのが河東節。有料だがイヤホンガイドの説明があるので、内容の理解は比較的し容易である。ストーリーはもちろん仕草、伝統的様式という感じかな、例えば斜め上を見上げるような仕草とか、そういった事の説明もあったりする。河東節については、普通はプロの演奏家である地方が演奏するところを、團十郎を贔屓にする旦那衆や奥方衆により演奏されるのだという説明もあった。これこそまさにNさんが言っていたこと。


公演のあと、いつものおでん屋さんで食事をしようと思いLINEで予約をしておいたのだが、幕間に見ると今日は9時で閉めて鮨屋のほうに応援に行くのだとか。鮨屋の方ならご用意できますよということだったので、鮨屋に向かうことになった。


※店の電話を借りて屋方に居場所を報告する舞妓さん。舞妓さんは携帯は禁止。


二度目の鮨いし屋さん。先斗町の路地の奥にあってなかなか場所を覚えにくいお店である。


店内に入ると前回のカウンターではなく、個室に案内されたのだが、そこにもカウンターがあったのでちょっとビビった。普通ならこんな部屋だけでリザーブ取られてもおかしくない。


私たちのあとから3人のお客さんが来られて5人になった。更には店のオーナーまで現れて6人。



というのも、3人は歌舞伎俳優のご一家で、尚且つ本日の私のチケットを亜弥さんから頼まれた方であり、またこちらのオーナーさんとは大の仲良し。そんな関係で女将さんもおでん屋を閉めて、こちらの接待に回ったということだった。



近頃はチケットも枚数だけ伝えたのではとれなくて、必ず名前を伝えるのだそうで、私の変わった苗字を呼んだ女将さんの声で、それがわかったのだった。


最後は亜弥さんのお店で、私が初めて行った時に出会った嵐山のUさんと久しぶりの再会という嬉しいハプニングもあり、良い1日であった。



二日酔いで宿の女将さんが「昼まで寝てたらどないどすか」と勧めてくれたが、



京都新聞の地下で開催されていた坂本龍一と高谷史郎のコラボイベントと楽美術館を巡り、御所のあたりで高校駅伝を走る地元埼玉栄をチラッとだけ、(たまたま)見たよ。


ね。