A-Select














Song Name; 砂とスカート
Artist; 矢野沙織




http://www.ongen.net/search_detail_track/track_id/tr0001102551/






昼間の暑さは嘘のように、風が涼しい。
浴衣を着て出歩くのは久しぶりで、下駄の先が少し痛む。





夏の終わりの小さな夏祭りは、夏を惜しむ人で溢れていて、
皆、何故か、上気した顔をしている。





* * *





昨日、電話口で急に言われた。
「明日の夜、来てくれないか?浴衣を着て、一緒に。」




本当は別の人との用事があるなんて、全然言い出すことができず、
私はただ、ハイ、としか答えることができなかった。




強引だと思いながら、こういうのは好きじゃないと思いながら、妙に夏祭りが恋しくなった。




* * *





夏の終わりの小さな夏祭りは、秋を迎える風情を漂わせていて、
皆、どこか、寂しそうでもあった。





提灯は皆、綺麗なオレンジ色をしている。
綺麗で、透明な、夜に浮かぶオレンジ色。




浴衣で出歩くのが久しぶりな私は、何度もつまづきそうになりながら、

提灯の間を一つ一つ、丁寧に探す。






見慣れぬ背中を、追いかけて。
恋しい背中を、追いかけて。






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夏の終わりの夏祭り。
私はそんな時の、あの、ちょっと寂しくなる感じが好きです。





矢野沙織を見たのは、彼女がまだ17歳ごろの時。
演奏が若い、その時は、そんな印象だったけど。



去年、22歳になって、大人っぽくなった彼女は、腕も上げていて魅力的なプレイヤーになってました。
きっとあと10年したら、もっといい音を出すプレイヤーになるだろうなあ、と確信するぐらいに。



ライブの後、勢いで買ってしまったアルバム。その中でも私は、本人作曲のこの曲がダントツに好き。
なんとなく演歌っぽい感じもたまらずに。



砂とスカートなんてタイトルですが、何となく夏祭りを思い浮かべてこんなストーリーを。





夏もあと少し。

秋の切なさを楽しみに、残りの夏を楽しもうと思います。










A-Select-Joe














Song Name; Love's Greatest Episode
Artist; Joe





http://www.youtube.com/watch?v=tqQayhArt-8





ただ、何気ない一瞬の積み重ねだった。




1階にスターバックスがあるオフィスビルなんて丸の内ならどこにだってあるし、
少し歩けば、大きな本屋だっていくつかある。




帰りに立ち寄るバーだっていくらでも見つかる。




だから、
スタバで2回同じようにブラックを注文していた事も、
本屋で同じ本を手に取ろうとした事も、
会社の同僚と行ったバーの隣に彼が座っていた事も、
全て、偶然と言えば偶然なのだ。





でも何気ない一瞬の積み重ねは、だんだん色濃く記憶に残り、
いつの間にか、どこか偶然とは思えなくなっていた。




「よく会いますね」
 とか
「オフィスはこの近くですか」
 とか




そんな当たり前のことを話すのは、あまりにそぐわないと思った。
だから、私達はただワインを飲んで、お互いのそれまでの人生をひたすら話した。




それまでの別々の人生がまるで何かのフィクションであったかのように、
でも、全て知っていたことかのように。




それは、不思議な感覚だった。




その時はお互いに恋人がいて、決して順調でないわけではなかったのに、そういう事の全てが、別世界だと思えた。




今までの人生を振り返る事は馬鹿らしく、
これからの2人の人生を考える事が至極現実的だと思った。




だから私達は、動くしかなかった。




* * *




5年が経ち、今でも丸の内を2人で歩く。
一瞬を、一瞬だなんて思えなくなったあの時からずっと同じように。




季節は変わり、街は変わる。
でもきっと、今もどこかで起きているのだろう。



一瞬を、一瞬とは思えない偶然が。




きっと、この街のどこかで。




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Joeの都会的な感じは、私にとっては丸の内です。

それで、こんな物語を。




この曲の、タイトルとサビの部分が好きです。


そして何より、"Love's Greatest Episode"と、高らかに言っちゃう潔さが素敵。




※mixiで、音楽から連想するショートストーリーを書いています。
ここではその中から、各アルバムに入っている曲のストーリーを限定で紹介します※













A-Select









song name; L.O.T (Love Or Truth)(Agape Mix)

artist; m-flo






http://ceron.jp/url/www.nicovideo.jp/watch/nm10149815






聞いてないな。そう思った。

結局、この人はいつも聞いてない。



海を見ている時はいつもこうなる。

私は一人、今日の話を最初からしている。


例えば大きなお尻のおば様に突き飛ばされたこととか、

学校にいこうと思ったら、バスを間違えちゃったこととか、

ここでもたまに、夜は油断したら、涼しいこととか。



「明日も行くの?」



そう聞いたら初めてこっちを見た。




「どこに?どこにもいかないよ。ここにいる。」

「そう。」



そんなの、嘘。海のことばかり、考えているくせに。

そう思ったけれど、それは言わなかった。


この曲は、ここの風にぴったりだ。
そんな風に思いながら、もう一度イヤホンをつける。



話を聞いてくれないなら、私は黙ってこの曲を聞いていよう。

あなたの愛しい横顔を、もう少しだけ見ていよう。



ただ、黙って。

波の音と一緒に。



Love or Truth ?



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久しぶりにこの曲を聴いて、少しだけ書き換えてみたりした。



夏がやってくると毎年聴いてしまうのだけど、脳裏について焼きついて離れない光景。

経験もしていないのに。



不思議。










A-Select-summer1

A-Select-summer2












【Summer】



夏は、特別な季節です。
誰にとっても、特別で、大切な季節です。


たとえば、いつもそこにあるはずの太陽も、空も、
なぜか新しく鮮やかに見える。


たとえば、いつもそこにるはずの月も、海も、
なぜか美しく輝いて見える。



いつもそこにあるはずの全てのものが、
なぜか特別で、恋しく思える。


A-Selectの"Season Collection"第三弾にあたるこの「Summer」では、
そんな夏の特別さと、恋しさを感じる音楽を集めてみました。


Feel the Summer.
Feel the Music.


心で感じる、夏と音楽を。



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1. "L.O.T (Love Or Truth)(Agape Mix)" ; m-flo
夏を感じたその時に、私がまず手に取るのがこの曲。

海の近くのテラスで、波の音と風の音を両方聴きながら、ゆっくりした時間を過ごす。

そんな時には、この曲にそばにいてほしい。夏の海の空気を、お届けする1曲です。



2. "So Lonely" ; The Police
実は、ポリスは最近になって聴き始めた初心者ですが、この曲だけは、なぜか前からのお気に入りでした。
”夏”そのものの、軽快なリズムと切ない歌詞の対比が絶妙で。

この絶妙さを出せるスティングとポリスに、敬意を表したい。そんな風にも思う1曲です。



3. "Stay'in Alive" ; Eldissa
夏の海は、何より夕方が格別。夜への期待を胸にしながら、日が暮れるのをゆっくり見守れるから。
色々な人の、色々な物語が詰まっている気がするから。

"Stay'in Alive"がBossa風にアレンジされた、EldissaのCoolな1曲からは、そんな夏の夕方を感じてください。



4. "竜王公園" ; カワムラ
友人アーティスト”かわちゃん”のアルバム、「明日晴れたら海へ行こうじゃないか」の中から、

私が一番好きな1曲。
緩やかなトーンの中に人間的な深みが溢れる。こういう曲を歌える人は、なかなかいない。

青空の下でこれを聞きながら、自分の人生をゆっくり想う。そんな時間を提供できる1曲です。



5. "Love's Greatest Episode" ; Joe
都会的で、品がいい。Joeの歌を描写するとしたら、そんなキーワードが浮かびます。

リズムにも、コーラスワークにも、一貫した品の良さが流れてる。だから私はJoeの歌が好きです。
昨年から頻繁にBillboard Tokyo に来てますが、今年も9月に来日予定。

今、最もLiveを聴いてみたいアーティストの1曲です。



6. "Songbird" ; Oasis
夏は海もいいけれど、緑の絨毯をを見ながら過ごすのも気持ちがいい。
海っぽいセレクションが多くなってしまったこのCDの中で、この曲は、唯一、”緑”のイメージです。

"Songbird"というタイトルにもセンスを感じる。夏の緑、楽しんでください。



7. "Konomama(Def Tech re-introducing RIZE)" ; Def Tech
高校時代は、"仲間"に尽きます。
藤沢という土地で、海も山も自転車で駆け巡り、とにかく毎日が刺激に溢れた私の高校時代ですが、

その中心は、やっぱり"仲間"でした。

特に夏は、そんな"仲間"というキーワードを大事にしたい。

私の大好きなDef Techから、"仲間"を思い出させる1曲です。



8. "Move On Up(Feat. Bono and John Legend)" ; Angelique Kidjo

今年はワールドカップだったという事もあり、アフリカの著名な歌手・AngeliqueKidjoと、
Bono、John Regendのゴージャスな組み合わせのこの曲は外せませんでした。
途中からバックで流れる歌のリズムは、私達も良く知る、あの曲・あのリズム!
Black Musicの中に流れる魂のリズムを感じてください☆



9. "Glory" ; Dizzy Mizz Lizzy
これを入れないと夏が始まらない、そんな気持ちも込めて、Dizzy Mizz Lizzyの代表曲から1曲。
というのも、私の中で今年の夏の一番のヒットアーティストは、何と言っても彼らだから。
私のロックに対する抵抗感は彼らの曲を知る事で、完全に消えました(笑)。
DMLの曲には、秋口に聴きたい切ない曲もたくさんあるんですが、

やっぱり3大ロックフェスのあるのは夏には、この曲が聴きたい。
私の中の、そんな1曲です。



10. "砂とスカート" ; 矢野沙織
夏祭りとJazz。この曲からその組み合わせを思い浮かべました。
それは多分、夏祭りの熱さと切なさを両方感じられる大人っぽさが、この曲に流れているからだと思います。
矢野沙織のサックスを初めて聴いたのは、まだ彼女が17歳の頃。

高校生でここまでの情緒感を出すサックス奏者がいるのかと、衝撃を受けました。
でも昨年、22歳になった彼女の音を聴いて、この曲の大人っぽさに納得しました。

大人の夏祭りの夜に、お供させたい1曲です。



11. "涙そうそう" ; noon
涙そうそうは絶対Jazzアレンジがいい。そう思っていた時に、noonのこのアレンジを聴いて確信しました。
ただひっそりと、しっとりと過ごす夏の夜もあっていい。そんな気分の時に、聴いてほしい1曲です。



12. "Viva La Vida" ; Coldplay
夏だからこそ考えること、夏だからこそやれること、そんな事がある。
この曲の特別感は、この「夏だから」というフレーズと相性が良い。そんな風に思います。
太陽の恵みを十分に感じる今だからこそ、海の青さを十分に味わえる今だからこそ、

感じること・想うこと。そんな「特別感」を大事にしたい1曲です。



13. "I Miss You" ; Akiko
"I miss you."と、どれだけ素直に言った事があるでしょうか?
ただ「寂しかった」とか、ただ「会いたかった」とか、素直に言えないもどかしさ。
そんな事を感じた事はないでしょうか?
Akikoのこの曲のメロディには、そんなもどかしい自分を、素直な自分に戻してくれる不思議な力があります。
秋がやってくるその前に、ただ素直に、"I miss you."と言う。

最後の1曲からは、そんな力をもらってほしいと思います。



☆今回はジャケットの表紙+中表紙の写真も掲載しました。

この写真もKatsura Mizunoさんの作品ですが、私はこの、2人の人が手を繋いでいる写真が大のお気に入りなので。☆




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A-Select Producer:Asako Toma

Photo & Design:Katsura Mizuno




A-Select














私の個人的な繋がりの方、Twitter上での繋がり方、このBlogをご覧いただいた方、などなど、

皆様からのリクエストをいただいた、「子供達に聴いてほしい心の夏歌」ですが、とうとう、完成しました!



ご協力、本当にありがとうございました!



皆様からのリクエストが多かったTop10の曲、プラス、

 「夏の歌ではないけど、これは是非子供達に聞かせたい!」

とtwitter上で熱くリクエストをくださった @tMJ2bad7 さんご推薦の曲、

「魔法の料理~君から君へ~(BUMP OF CHICKEN)」を加えた、11曲を収めています。



こうして集めてみると、どの曲も本当に名曲で、子供達にも好きになってもらえるといいなあと、

心から思えてくるものばかりです。



皆さんの気持ちも乗せたこのCDは、お約束どおり、東京コミュニティスクールの子供達へのプレゼントとして、お届けします!



皆さんも、気になる曲があれば是非、ご自身で聴いてみてくださいね!



では、本当に本当に、ありがとうございました!



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【夏歌CD 2010】



1. 少年時代; 井上陽水


2. 涙そうそう; 夏川りみ


3. 君がいた夏; Mr.Children


4. 電話; レミオロメン


5. 風になりたい; The BOOM


6. 真夏の果実; サザンオールスターズ


7. 夏に恋する女たち; 大貫妙子


8. 夏祭り; 長渕剛


9. イージュー☆ライダー; 奥田民生


10. 夏色; ゆず


11. 魔法の料理~君から君へ~; BUMP OF CHICKEN




A-Select Producer:Asako Toma

Photo & Design:Katsura Mizuno