Song Name; 砂とスカート
Artist; 矢野沙織
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昼間の暑さは嘘のように、風が涼しい。
浴衣を着て出歩くのは久しぶりで、下駄の先が少し痛む。
夏の終わりの小さな夏祭りは、夏を惜しむ人で溢れていて、
皆、何故か、上気した顔をしている。
* * *
昨日、電話口で急に言われた。
「明日の夜、来てくれないか?浴衣を着て、一緒に。」
本当は別の人との用事があるなんて、全然言い出すことができず、
私はただ、ハイ、としか答えることができなかった。
強引だと思いながら、こういうのは好きじゃないと思いながら、妙に夏祭りが恋しくなった。
* * *
夏の終わりの小さな夏祭りは、秋を迎える風情を漂わせていて、
皆、どこか、寂しそうでもあった。
提灯は皆、綺麗なオレンジ色をしている。
綺麗で、透明な、夜に浮かぶオレンジ色。
浴衣で出歩くのが久しぶりな私は、何度もつまづきそうになりながら、
提灯の間を一つ一つ、丁寧に探す。
見慣れぬ背中を、追いかけて。
恋しい背中を、追いかけて。
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夏の終わりの夏祭り。
私はそんな時の、あの、ちょっと寂しくなる感じが好きです。
矢野沙織を見たのは、彼女がまだ17歳ごろの時。
演奏が若い、その時は、そんな印象だったけど。
去年、22歳になって、大人っぽくなった彼女は、腕も上げていて魅力的なプレイヤーになってました。
きっとあと10年したら、もっといい音を出すプレイヤーになるだろうなあ、と確信するぐらいに。
ライブの後、勢いで買ってしまったアルバム。その中でも私は、本人作曲のこの曲がダントツに好き。
なんとなく演歌っぽい感じもたまらずに。
砂とスカートなんてタイトルですが、何となく夏祭りを思い浮かべてこんなストーリーを。
夏もあと少し。
秋の切なさを楽しみに、残りの夏を楽しもうと思います。
