※一部数式が正しく表示されないケースがあるようですがその場合はお手数ですがこちらのリンクをクリックしてください。

 

前回に引き続いて交流理論と複素数との関係に迫る、ブログシリーズの第二弾となりますが今回は指数関数をメインに扱います。

 

「えっなんで複素数なのに指数関数なんでしょうか??」って思われる方多いのではないでしょうか。

そう思われた方は結論を必見です。

ここでは複素数、指数関数、三角関数の間の不思議な関係について探っていきたいと思います。

今回は少しだけ微分積分の基礎知識があることが望ましいです。ただ、わかなかったら飛ばしてください、結論をとりあえず受け入れて、後から深堀していくという姿勢も学びごとの際に時に必要となることです。

 

とりあえず今回のアウトラインです。

 

1,指数関数

 1.1 実数の整数乗から実数乗への拡張

 1.2 ネイピア数とその指数関数

2.オイラーの公式

 2.1 複素数を指数とする指数関数とオイラーの公式
 2.2 複素平面上の表現
 2.3 複素数の乗除算

 

 

1.指数関数
 1.1 実数の整数乗から実数乗への拡張

さて、本項では以下の正の実数a(>0)の実数x乗を表す指数関数(Exponential Function)

 

 

を取り扱っていきます。

 

この指数関数の形式はaが正で、1ではない場合においてa底(base)とする指数関数といい右肩の数字xを指数(Exponent)と呼ぶようです。

 

ここで、「ちょっと待ってくださいaのx乗ていうのはaをx回かけたものですよね、指数xが1,2,3,4.......って場合(自然数)しかわからないんですけど、実数乗て何??」

っと思った方のために本項は記載してます。わかっている方は飛ばしてもらっても構いません。

 

まず実数は前回のブログでも触れましたが数直線上の点のイメージで、、マイナスもあればプラスもあり、ゼロもあれば少数もあり、、、、もっと言えばπとか2の平方根とかもあります。

 

まず、少し実数(Real Number)というものを整理しましょう。

(数学的にはもう少し詰めて説明するべきなのですがここでは都合細かい説明を省略しますのでご容赦願います。)

 

まず1から始まって2,3,4という個数を数える数を自然数(Natural Number)といいます。

そして、自然数に0と負の数を加えたもの、(,,,-3,-2,-1,0,1,2,3,,,)を整数(Integer)といいます。

整数を0以外の整数で除したものを有理数(Rational Number)といいます。

つまり有理数とは整数の分数(fraction)として表現できる数です。

1/2(0.5)とか1/10(0.1)とかのように有限の少数で表せるような数や1/3(0.33...)のような無限小数(循環小数)でも有理数です。

また、当然整数も(当然自然数も)有理数に含まれます。

しかし数直線上の点(つまり実数)はすべて有理数で表すことができず、その代表的な例としては先ほども触れた円周率πであったり、等がそれに当たり、それらを無理数(Irrational Number)と呼びます。

 

つまり実数(Real Number)の構成を示すと以下のようになります(英語表記で失礼します)。

 

 

つまり、先に出た指数関数

 

 

でaをx回かけたものをaのx乗とするという考え方では、指数xは自然数の範囲を出ることはできないのですが、指数が0および負の時、つまりxが整数のケースへ概念を拡張し、その後指数が分数(有理数)の時を考え、最後に無理数を含む実数のときへと概念を拡張していけば、実数による指数関数を考えることができます。

(ここでは特に有理数から実数への拡張は難しい議論になるため図的な説明で控えます。)

 

さてまず出発点の指数xが自然数の時ですが、これはaをx回かけるという計算なので特に難しくありません。

これは数直線(x軸)上の自然数である点に対してaの値があるもので、幾例かaの値を変えてプロットしたものを以下に示します。

 

図1.1-1 aの自然数x乗

 

なんてことはない図なのですが、ここから出発していきます。

上図ではaが1より大きい時はxの増加にに伴いかなり急峻な増加、aが0~1のときはxが増えるごとに漸近的に0にむけて減っていくことが分かります。


ここから、aの指数が整数⇒有理数⇒実数へなるように指数関数の概念を拡張していくのですが、、ここでカギとなるのが指数が自然数で成り立つ以下の二つの性質です。

 

   (1)

   (2)

 

(1)式はaをn回またはm回かけたものがそれぞれaのn乗、m乗になることを考えれば、右辺の様にそれらを掛けたもが結果的にaをn+m回掛けたものになるのはわかると思います。

(2)式の右辺はaをn回掛けたものをさらにm回掛けるということなので、それよりaがn×m個掛けたものになるということです。

 

これらの関係が自然数以外でも成り立ってくるのだということを頼りに指数の概念の拡張を考えていきます。

 

まずは整数乗です。つまり指数が0や負の符号をつけた自然数の時を考えます。

ここで使うのは先ほどの(1)式です。

 

この式においてn+mがn-mの時を考えてみます。n>mのときはn-mも自然数のままですので当然n-m乗も自然数乗です。

ここでaのn-m乗を先ほどの(1)を使って次のように表してみます。

 

 

ここで指数が-mというのがどのような意味かを考えます。

上式では左辺でaをn個掛けたものにたいしてを掛けたものが左辺のaをn-m個掛けたものになってます。勘の良い方はお気づきかと思いますがを掛けるという行為はからaをm回割り戻したものとなっているのです。(n回かけたものからm回掛けたものを割るとn-mかけたものになるっていうことです。つまり

 

 

です、aのを掛けることがaのm乗で割るということで上式よりも

 

 

これは前提がn>mでn-mが自然数の範囲ということで始めた議論の結果ですが、ここに指数が負というものの考え方が出てくるのです。これに指数が0の時を考えれば指数関数の指数xを整数に拡張すできるのです。

 

とりあえずまずaの-m乗はaのm乗の逆数(reciprocal)なのです。

 

さて、もう一つ別の考え方(本質は上記考え方と一緒ですが)としては、図1.1-1上で、xが右方向に1つづつ増えるごとにaが1回づつかけられていること、逆に左にxを1ずつ減らすときはaを1回ずつ割り戻されておりことを考えれば、1つづつ減らしてxが0や負の領域に突入してもaを割り戻し続けるという考え方もできます。

そして、これを考慮するとaの0乗というものはaの1乗(つまりa)をaで1回割り戻したもの、つまり"1"になること、そしてその次のaの-1乗が1/aになることが分かってくると思います。

 

aの0乗が1になることについてはaのn-m乗でn=mとした時を考えて

 

 

とも考えれます。

 

とにかくaの0乗はaの値によらず1になるということは大事なのです。

 

これで指数を整数に拡張したものがどうなるかというものをどう考えるかというところにたどり着きました。

とりあえず実際の指数を整数に拡張した指数関数のをプロットを以下に示します。

 

図1.1-2  aの整数乗

 

だんだんと、曲線のようなものが見えてきましたね、、

 

くどい様ですがもう一度書いときます。

 

 

です!

 

次は指数が有理数の時です、つまり指数xが整数n,mを使ってx=m/n(nは0でない)の時です。

 

ここではとりあえずまず指数が正の有理数つまりn,mが自然数の時のみを考えます。

それが、わかれば自然に指数xが0以下の有理数の時も整数への拡張と同様に考えて、すべての有理数への拡張も自然にわかって来ると思います。

 

さて、ここで利用するのは先ほど紹介した(2)式

 

 

です。さてこの式でnをnの逆数にしたものを考えてみましょう。つまりn⇒1/nとしたもの

 

 

です。式に表れてるとおりこれは指数が有理数なのが分かりますよね。

 

ここで現れてくるaの1/n乗というものが何かを考えるのです。(1/n乗がわかればm/n乗はそれをm回かけたものというのがわかるので1/n乗というものが何かを探ることにより有理数乗が定義できるのです。)

 

当然ですがmがnの倍数の場合(例えばn=2でmが偶数等)は左辺はaの自然数乗になるので、単純に自然数乗の範囲で扱えます。

しかしそうでない場合は、どう考えるのでしょうか?、さて元の式に戻ります。

 

 

ここでm=nとした場合を考えます。

左辺はaの1乗、つまりaになるので次の通りになります。

 

 

ここで右辺はaの1/n乗をさらにn乗したもおなっていることが分かると思います。

つまりaの1/n乗とはn乗してaになる数というこです。

 

n=2なら皆さんよくご存知の平方根です。

厳密にいうと2乗してaになる数は負数 もあるのですが、1/2乗は正の実数となるように定義づけます。(根号も正の平方根を示す記号として定義されているのと同様です。)

 

一般にn乗して正の実数aになる数(n乗根といいます。)は複素数としてn個あり、その1つは正の実数であることが分かっています。それを平方根の記号にnを付加した記号で表します。

 

その正の実数であるn乗根をaの1/n乗として以下の通り定義するわけです。

 

 

これを使ってn,mが自然数の時の正の有理数は

 

 

さてとaの1/n乗をm回かけたものと分かったら、さらにmが0および負数の時ときは整数の拡張同様

 

 

のように考えれば、mが整数であるつまり指数が一般の有理数の場合もわかることになります。

 

下図はn=2のときつまり

 

 

をプロットしたものです。

 

図1.1-3  aのm/2乗

 

どうでしょうかaの整数乗(図1.1-2)の時よりも、横軸が1/2刻みで細かく曲線がみえてきたと思いませんか??

 

そしてnの値を増やしていって1/nがどんどん小さくなっていきより細かくなっていく様子を以下に示します。

 

 

図1.1-4 有理数(x=m/n)乗のプロット(n:1~100)

 

 

もうこれは曲線といってもいいかもしれませんが実際は実数すべてについて指数関数が定義できたわけではありません。(点描の域をでないのです。)

ただ、実数への拡張する話は上手に説明を持っていく自信がありませんので、n⇒∞にしていくイメージだといったあたりに留めておきます。(竜頭蛇尾ですいませんがそれだけ有理数と実数との間には奥深いものがあるのです。)

 

結果、下図のように滑らかな曲線を持つ実数の指数関数が定義できるのです。

(何の結果??とか突っ込まないでくださいぼろが出ますので。)

 

 

図1.1-5 xが実数の指数関数

 

 

1.2 ネイピア数とその指数関数

さて前項では任意の実数aを底とする指数関数 を考えました。

 

本項では指数関数でも特別な数を底とするものを考えます。

(特別など言ってますが実は一般に指数関数というとこの指数関数を差すことが多いのですが。)

 

ここで扱う「特別な数」、それをネイピア数(Napier's constant)といいます。

なんで名前から紹介するかというと、なんかこれで読んでくれてる人の関心をつかもうっていう浅はかな考えからです。

 

ともかく!!この数は特別ということで円周率にπが割り当てられているみたいに特別に記号を与えられています。

その記号は"e"です、アルファベットの”イー” (音声記号で/iː/) の小文字です。たぶん指数関数に深くかかわるのでexponentialの頭文字をとったものです。

ネイピア数がどんな数なのかというといろいろなアプローチ(Wikipediaに詳しいです)があるのですが、オイラーによる定義が今後の説明も含めて繋げ易いので採用します。

 

まずいきなり結論めいた話から始めます、そしていきなり微分を持ち出します。

(ほんとはそう簡単に持ち出してこれることではないんですが、、、)

 

一般の指数関数の導関数(微分したもの)は元の指数関数の定数(実数)倍となります。

(多分本来は説明ではネイピア数を底とする指数関数から入って一般の指数関数の話に入るのが正だとはおもうのですが、、、)

 

さて、前述の関係を式で描くと定数Cを使って、下の通り書くことができます。(微分の表現はいろいろ紹介してみました)

 

 

導関数とか微分(正確には微分係数)の説明は詳しくはしませんが、まあ一言で言ってしまえば関数f(x)のグラフ(曲線)の各点xにおけ接線の傾き(増加が+で減少が‐)を表す関数だと思ってください。

 

何となくでもイメージするためにa=2のときとa=0.5のときの指数関数とその微分の指数関数の以下にグラフを示します。

 

 

図1.2-1 指数関数の微分(a=0.5,1=2.0)

 

a=2のとき(青線の傾きが赤線)はxがマイナスの平坦(傾き0)からx増加に伴って傾きが急激に大きくなっていることや、a=0.5のとき(緑線の傾きが黒線)は単調減少なので常に負の値(C<0)になっていたり何となく導関数がイメージできるのではと思います。

因みに具体的なCの値はaの自然対数(Natural Logarithm、記号:ln等)なるものを使ってa=2の場合と0.5(つまり1/2)の場合とではCの値が符号が逆なだけで、とか書けたりするのですが、、、、、脱線になるのでここでは詳しく説明しません。

 

次にa=2のときとa=3のときの同様のグラフを以下に示してみます。

 

図1.2-2 指数関数の微分(a=2,a=3)

 

どうでしょうか何か気づかれた方はいますでしょうか???

a=2のとき(青線の傾きが赤線)は導関数は元の関数より小さくなっており(つまりC<1)、、、

a=3のとき(緑線の傾きが黒線)はわずかながら導関数が元の関数より大きくなっている(C>1)になっていることが分かると思います。

(因みにa=3の時のCの値はとなります)

 

ここまできたら、aが2~3の間の値でとくに3よりの側で指数関数の大小関係が反転する値があるのではというのが想像できると思います。

 

これはいいかえるとC=1となり微分しても元の関数と変わらない底aを持った指数

 

 

があるということです。

 

オイラーによるネイピア数の定義とはまさにこときの底aのことで、これは微分の定義(この辺りは苦手な方はいるかもしれません)に立ち戻って考えますと

 

 

 

となるつまり微分したときに出てくる定数C=1となるような指数関数の底”e”を

 

 

という等式を成り立たたせる実数eだとするのがネイピア数の一つの定義付けの形です。

 

具体的な数値(近似値ですが)を求める場合に役立つ定義付け(算式)はほかにもあるのでwikipedia等を参考にされると良いと思います。

結論から言うとネイピア数eの値は

 

 

と無限に続く少数となります。

詳しい説明はしませんが、これは実数の中でも無理数であり、さらにその中でもπなどと同じ超越数(Transcendental Number)といわれる部類の数にあたります。(詳述はしません)

 

さて、先に触れたとおり実は指数関数というと、数学だけでなくほとんどの文脈ではネイピア数eを底とした指数関数のことをさすのですが、明示的に自然指数関数(Natural ExponentialFfunction)などとも言ったりします。

 

式の書き方としては次のようになります。

 

 

普通にeの右肩にxを添えた書き方のほかにexpという記号を使った書き方があります。

 

実は先に暗黙のうちに持ち出した自然対数もこの自然指数関数の逆関数 (Inverse Function)といわれるものだったり、一般のaを底とする指数関数もそれらを使って

 

 

とできたりしますが、本筋を離れるので説明はこの辺でとどめておきます。

 

最後に、自然指数関数と底がa=2,a=2.5,a=3の指数関数をプロットしたものを付けて本項を締めくくります。ネイピア数は2.5~3の間にあるんだなっていうのが分かるかと思います。(それだけです)

 

図1.2-4 自然指数関数とaを底とする指数関数(a=2,2.5,3)

 

2.オイラーの公式

ここでは私が個人的にも電検さんたちに是非認識しておいていただきたい、オイラーの公式についての話です。

 

第1項では延々と指数関数の話ばかりでどこが複素数の話なんだよって思われた方も多いと思います。

lここでようやく前回のブログでふれた虚数、複素数、三角関数と、第1項でふれた指数関数が見事につながるのです。

 

やはり、ここ読者を掴むためまず、公式を示してからはじめます。

 

オイラーの公式(Euler'sFformula)は指数関数と三角関数(sin,cos)の間に虚数単位"j"と実数の変数θを使って以下の等式が成り立つというものです。

 

 
、、どうでしょうか? さっぱり訳が分からないのではないとおもいませんか?
(実のところ私はこれを本質的にどう理解していいのか全くといっていい程わかっておりません)
 
しかし、この式が成り立つという前提に立てば、前回扱った複素数と三角関数が、なんとも驚くべきことに、指数関数、それも指数が虚数の指数関数に結び着くことになるのです。
 
紙数の変数φについては今後角度のイメージとして使ていくのでこれからは敢えてxではなくφを使っていきます。
また、虚数単位も電検流儀で"j"を貫きます。
 
あと、この式が成り立つのは数学的にはあくまでφを弧度法[rad]でとった三角関数、指数関数のときだけなのですが、図的イメージを考える場合正直どちらでも良くはなります。(ただ、あくまで[rad]で成り立つっていうことは覚えておいてほしいところです。)
 
Wikipediaでも記述のある通り、著名な物理学者ファインマン先生はこの公式を「すべての数学のなかでもっとも素晴らしい公式」 と評したとのことで、実は先生が業績をのこした量子論の分野ではこの関係式は当たり前のように出てきたりします。そこでは虚数(複素数)はもはや想像上の抽象化された数でなく、物理的な実態のある数として扱われているようですが、私もそこのところはほとんど理解してません。
 
、、あっ、でも安心してください、説明は次回以降になりますが、電検さんたちが扱う複素数は、あくまで交流理論を扱うためのツールとして導入するだけで、抽象的なものだとの認識のままでよく、特に具体的実態があるものと考える必要はありません。 (これが抽象的なままの方が物事が理解しやすいこともあるという一例です。)

Wikipediaによりますと公式の名称は数学者レオンハルト・オイラーにちなみますが、最初の発見者はロジャー・コーツという数学者とのことです。
 

2.1 複素数を指数とする指数関数とオイラーの公式

さて、第1項では実数を変数とする指数関数 について説明しました。

(一応、断っておきますが今後は断りなくeを底にした指数関数をただの指数関数として扱います。)

 

そこでのアプローチは指数が自然数の場合から概念を拡張していって最後いに実数の指数関数までたどり着かせる方法をとりました。

(実際のところはは最後ずるをしてますが)

 

そうなると、もう指数が虚数とか複素数のときはどうしようかって考える人がいてもいいと思いませんか???

そう、本項は指数が複素数の指数関数を考えるのです。

 

ここで複素数はこれもまた電検さんの流儀で頭に"・"をつけた を使います。

 

そして、複素数の指数関数とはつまり次のことでです。

 

 

さて、ここで第1項で持ち出した (1)式の関係

 

 

 

をまた持ち出してきます、

これを複素数の指数関数に適用すると(適用できるとするのです)、

 

 

となり、実数a指数関数と虚数jbそれぞれの指数関数通しの積になることが分かります。

さて、これも第1項でに見られたとおりeの実数乗は指数の符号によらず正の実数になることが分かっています。

 

なのでこの式は(複素数の指数関数)を考えることは(正の実数)×(虚数の指数関数)を考えるということ、もっと言えば(虚数の指数関数)を考えるということに帰結することを意味してます。

 

それでは「虚数の指数関数」とは一体どんなものなんでしょう??という問題に答えを与えたのが先に紹介したオイラーの公式

 

 

なのです。

 

ここで、どのようにこの式が導入されたかというのには微分積分学の応用であるマクローリン展開(Maclaurin Expansion)とい方法で指数関数、三角関数を級数(Series)というもので表現するということが必要なのですが、、、この詳述は本ブログシリーズ読者を想定してWikipediaに譲ります(正直面倒だというのも本音です)。

 

簡単にいうと指数関数、三角関数  を、それぞれマクローリン展開した級数表現で表し、変数xに虚数jφを代入したものを比べてみると、見事にオイラーの公式があらわす関係が現れるって仕組みです。ここでも虚数単位の性質"が利用されます。

 

てなてなことで、難しいって方はもうとりあえずは結果を受け入れましょう!!

(この割り切りは私みたいな、なぜなぜ人間には特に必要になるときがあるのです。)

 

んでもってオイラーの公式を使うと先の複素数の指数関数は以下のようになります。

 

 

この結果、複素数の指数関数は(実数)+(虚数)の形の複素数にできるっていうことが分かるわけです。

 

ここで前回のブログで紹介した複素ベクトルとフェイザ表示の話を思いしてほしのですが、aは任意の実数なので はで任意の正の実数(a⇒-∞としていくと0nに極限まで近づく)と捉えることができこれは複素数(複素ベクトル)の絶対値に対応するということ、また変数bは偏角φに対応するのです。

このことはつまり任意の複素数 を絶対値A、偏角φを用いて以下の形式で記述できるということを意味します。(厳密にはA=0の時も考える必要があるのですが)

 

 

この指数関数で複素数を表す形式、これはもう前回のブログで紹介した複素数のフェイザ表示の一つの形式といえますね。それも指数が虚数というイマイチよくわからない部分もあるのですが、これは今後交流理路を扱う上では大変意味のあるものになるのです。


2.2 複素平面上の表現

さてここではオイラーの公式であらわれる が複素平面上( 前回のブログ参照)でどのようなイメージになるか(つまりどう捉えればいいのか)を考えます。

 

実はこの問題はそんなに難しくはなく先ほど任意の複素数 の表現

 

 

で絶対値Aが1と置いたものであることが分かります。くどいようですが、念のためオイラーの公式を下に書いときます。

 

 

どうですか??わかりますよね、、

つまりは大きさ(絶対値)1で偏角φの複素数(複素ベクトル)なのです。線形代数で大きさ1のベクトルを扱うときに単位ベクトルとか言いますがそれと同じようなものです。

 

複素平面上では次のようになります。

 

図2.2-4 オイラーの公式の複素平面上のイメージ

 

 

どうでしょう、 は複素平面上では単位円(半径r=1)上の点を示しており偏角φがその点の方向を示してているのです。

このことはいいかえると、これは複素ベクトルの大きさを1に規格化した向き(偏角φ)の成分を表していると言えます。

 

くどいようですけど、

 

 

というのは正の実数Aは大きさ(絶対値)、 は向き(偏角)の成分を表してることは説明したとおりです。つまり、前項も含めての結論は複素数(複素ベクトル)は(実数)+(虚数)という形式と定義してたのが、(大きさ)×(向き)という形式ともできるっていうことです。すごいと思いません??

 

それを考えると、前回紹介した”∠”の記号を使った複素数のフェイザ表示も、以下のように を だと考えれば、そう不自然なものでなかったこともわかりますね。

 


2.3 複素数の乗除算

次に複素数の乗除算の話をします

 

、、えっ前回やったって?

 

そうですやってます、、しかし、前回も少し思わせぶりな捨て台詞をはいてたのですが、その伏線の回収です。

そもそも、第1項で指数関数をくどくど説明していたのもこの話を分かりやすくする目的もあったのです。

 

次の二つの関係を思い出してください、(1)式の関係

 

 

 

そして負の指数が逆数になる関係

 

 

これらを使うのです。もうここまで言ったら話は簡単です。

 

さて、ここでは乗除算対象の複素数を以下のようにしておきます。もう指数表現だけにしておきます。

 

 

 

上の二つの関係を使って乗算、除算は簡単になるのです。(忘れているかたは前回結構複雑だったのを思い出してください)

 

出来るだけ丁寧に導出します、まず乗算は

 

 

そして除算は、

 

 

となるのです。。

 

乗算の絶対値は各絶対値の積、偏角は角偏角の和になり、除算では絶対値は各絶対値の商、偏角は角絶対値の差となるのです。

簡単ですね。

 

えっ嘘っておいう方は前回、複素平面上にプロットしてフェーザ表示も求める課題として出した以下の3つの複素数やその共役複素数のさまざまな組み合わせに関して、前回のやり方で乗除算した結果を確認してみてください。

 

(1)
(2)
(3)

 

以上、文字数の関係で本ブログは息切れ気味な感じで締めますが、次回はようやくデンキデンキした話にはいります。つまり交流理論への複素数の導入です。(説明すべきで省いた所はあとでまとめて書こうかな、、)

 

それではお楽しみに!

 

※本ブログは加筆修正を積み重ねて、分かりやすさ、とっつきやすさを追求したいと思いますので、皆さんの正直よくわからんというフィードバック歓迎しております。(誤記/誤謬のご指摘も謹んで承っております)