シルベスター・スタローンの人気シリーズの十数年ぶりとなるシリーズ完結編(現段階で(^^;)

ミャンマーでの空虚だった生活から故郷アメリカのアリゾナに帰ってきたランボー。
彼は父親が残していた牧場を切り盛りしながら、災害ボランティアとして静かに生活していた。

故郷に帰った今でも戦場の体験がフラッシュバックするランボーは精神安定剤を服用しながらもかつての戦いの日々から離れ、旧友のマリアとその孫娘ガブリエルと共に平和な生活を送っているのだが、地下壕に巨大なトンネルを張り巡らし生活したり、ある嵐の夜に遭難者を助けに行くも全員を救えなかったことを悔やむなどその戦いの日々の断片は消えずにいた。

そんなランボーは溺愛する孫娘ガブリエルを自分の牧場の跡取りとして乗馬のトレーナーになるものと期待していたが、彼女は大学に行きたいという願望があった。
嬉々として語る彼女の姿に、ランボーは彼女の頼みを聞き入れてこれまで家族以外に公開したことのない地下壕へ彼女の友人たちを招き入れるなど、彼女の気持ちを後押ししようとする。

しかしガブリエルは悪友のジゼルから自分を捨てた実の父親がメキシコにいることを電話で知る。彼女は自分を捨てた真意と関係修復を切り出すため、ランボーにメキシコに行きたいことを相談するが、実父マヌエルが救いようのない悪党であることを知るランボーやマリアはそれを断固反対する。

だがそれでも諦めきれないガブリエルは二人に友人のところへ行くと行ってウソをつきメキシコへと向かってしまう。

現地でジゼルと待ち合わせたガブリエルは実父の住むアパートへと案内されるが、実父マヌエルは愛人と住んでいた上に、ガブリエルに悪態をつき二度と来るなと冷たく追い返す。
ひどいショックを受けたガブリエルはジゼルにクラブ誘われついていってしまう。
そこに現れたフラッコという男に睡眠薬を入れられた彼女は何処へと連れ去られてしまう。

マリアからガブリエルがメキシコに行ったことを知らされたランボーは必ずガブリエルを救い出すとマリアに言い、メキシコへと向かう。

その頃ガブリエルはヒューゴとヴィクトルのマルティネス兄弟が率いる人身売買組織にとらわれていた。逃亡者を見せしめとして暴行するその姿に彼女はただ恐怖と後悔でおののくばかりであった。

メキシコにたどり着いたランボーはその足でガブリエルの実父マヌエルのもとを訪ねる、事の顛末を話すマヌエルだが、その後の彼女の行方は知らず、ランボーは10年前にお前を殺しておくべきだったと吐き捨てる。
続いてランボーはジゼルのもとを訪ねる。
クラブにいってはぐれたと証言する彼女に対して、その腕にガブリエルの母の形見の腕飾りをしているのを見たランボーは彼女がガブリエルを売ったことを聞き出し、ガブリエルを拐かした男がいるところに案内させる。

クラブに入ったランボーは中で浮かれる男フラッコを観察。彼がひとりになる隙をうかがっていた。
そしてその様子をみていたカウンターの女もただならぬランボーの姿に監視の目をむける。

そして帰り際一人になったフラッコをランボーは襲撃。肋骨を折り引きちぎる拷問の末にガブリエルをさらった先のマルティネスたちの居場所をはかせる。
その一部始終をカウンターの女も見ており、ランボーたちのあとをつける。

ランボーはすぐにアジトへと向かうも途中で彼らの部下たちに気づかれ、取り囲まれると自身の住所の明記された運転免許証とガブリエルの写真、そして拳銃と愛用の巨大ナイフを奪われ、激しい暴行をうける。重傷をおい虫の息のランボーをヒューゴは殺さず、弟ヴィクトルは死よりキツい仕打ちをするとして、ガブリエルを痛めつけてやると吐き捨て、その言葉と共にランボーは昏倒してしまうのだった。

その場に放置されたランボーは事の一部始終を見ていた女性に助けられ、自宅に担ぎ込まれ医者の治療をうけることに。
その後ランボーの存在を知った兄弟はガブリエルを新商品として麻薬づけにし、売春宿にとばして凌辱し続ける。

4日後。介抱してくれた女性カルメンのもとでようやく意識を取り戻す。
カルメンはフリーのジャーナリストで人身売買に関わるフラッコを追っていたのだが、過去にマルティネス兄弟に妹を殺された過去を持っていた。
ランボーは彼女からガブリエルが売春宿に売り飛ばされたことを知り、単身彼女を再度救いだしに行くことを告げる。

虚をついて顧客やマルティネスの部下たちを殴り倒し、ガブリエルを見つけ出し救出することに成功するものの、彼女は過剰な麻薬の接種によって意識白濁状態となっていた。

ランボーの襲撃を受け激怒したビクトルは兄の制止も聞かずメキシコ中にランボー抹殺の命令を下す。

家路を急ぐランボーは車内で必死にガブリエルとの楽しい思い出と未来について語りかけるのだが、それも空しくガブリエルは麻薬による中毒で息を引き取る。
帰りつき彼らを待っていたマリアは変わり果てたガブリエルの姿に泣き崩れるのだった。

ひとりガブリエルの墓をたて佇むランボー。彼はマリアを妹夫婦のもとに送り出すと、ひとり戦いの準備を始める。
掘り進めていた地下壕にトラップを仕掛け、牧場全体を巨大な要塞へと変貌させていくランボー。彼の中には燃えたぎるほどのマルティネスたちへの復讐に満ちていた。

再びメキシコにやってきたランボーはカルメンのもとを訪れ、復讐に手を貸してほしいと頼み込む。報復を恐れ及び腰だったカルメンだったがランボーの説得に協力し、ビクトルの居場所を教える。
夜の闇に紛れてアジトを強襲したランボーは次々と部下たちを仕留めていくと、シャワールームにいたビクトルを首を斬って殺害し、その遺体にはガブリエルの写真をつけ、切り落とした首は国境付近の道路に捨てていく。

首なしの死体として晒されたビクトルに兄ヒューゴは怒り狂い、数十人の部下と共に重装備をさせ、ランボーのもとに向かう。
襲いかかるヒューゴたちを相手に強力なトラップとサバイバル力で次々と死屍累々の山を築くランボー。
被弾しながらも最後のひとりヒューゴーを追いつめたランボーは果たしてその復讐をとげることができるのか…

世界的ヒットとなったミリタリーアクションシリーズ堂々の完結編。

ヒットシリーズの製作については恐らくはハリウッド俳優1と思われるシルベスター・スタローンであるが、彼がハリウッドのスターダムに一躍仲間入りしたのが『ロッキー』シリーズであり、『ランボー』シリーズのヒットであった。

前作『ランボー最後の戦場』がヒットしたことによって低迷期だった彼は見事に復活。本来であればスタローン的にはこの『最後の戦場』が完結編としたかったようだったが、ヒットした作品の性か、ファンとしてもメディア的にも続編製作の声が高まり、紆余曲折を経てようやく2018年に本作の製作が決まった。

シリーズを通じていつの間にか『強いアメリカ合衆国』の象徴として、その作品でもどこを仮想敵国とするのかが続編製作においての問題であったが、一時期は国の代表として千や万の軍勢とひとりで戦ったものの今回は家族のための復讐で、国家的要素はあまり感じられない設定のため、敵は人身売買組織というところに落ち着いた。
しかしその描きかたを含め、メキシコのイメージを害するものとしてクレームがつき、本作はめでたくR15+の指定をくらっている。

アクションにおいてだが、今も現役で活躍するアクション俳優で鍛えているスタローンとはいえ齢75を越えるおじいちゃんである。
かつてのように彫刻のようなビルドアップされた肉体美を前面に、M-16やガトリングガンといった超強力な重火器を手に走り回ることはさすがにない。
ただしランボーのキャラクターを彩るアイコンである巨大ナイフや超射程距離の弓矢は健在で、今回も効果的にそこは活かされている。

派手なミリタリーアクションではない今回の作品で主軸となったのは強力なブービートラップによる頭脳戦と心理戦である。
ランボーというキャラクターに頭脳戦というのはシリーズファンにとっても違和感があるだろうが、この方向性を決めたのはやはり頭脳戦で敵を追いつめていく人気シリーズ『大脱出』の成功があったからであろう。

さらに前作から引き継いだのが桁違いの残虐シーンである。
前作でもクライマックスのガトリングガン無双などえげつない血渋き飛び散る描写があったが、本作はその凶悪極まりないブービートラップによる悲惨な死がえげつないほか、肋骨を引きちぎる拷問や、敵の首を切り取ってハイウェイに捨てるというホラーもビックリの描写が目白押し。
そしてランボーらしさを表現した壮絶なシーンが敵の胸をかっさばき心臓をつかみ出す衝撃シーン。まさに完結編に相応しい残酷描写である。

過去のシリーズからすると何となく舞台が小さくなって、敵の大きさもトーンダウンした感じがするだろう。
しかし国が絡んでこないならば、このくらいでちょうどいいかもしれない。

何よりあれだけ孤独だったランボーがようやく人並みの家族というものと出会い、過ごすことができたことは救いだったことだと思える。
本作がこれまでのシリーズと毛色が違うのは疑似ではあっても家族の絆が根底に描かれてきた所にある。
だからこそそれが理不尽に奪われた時の激しい怒りと復讐心、そして終わったあとの戻せないランボーの空虚さが染みる。
ラストのロッキングチェアに座り、シリーズの過去映像がフラッシュバックして流れ、エンディングに繋がっていく様はシリーズファンとしても感慨深いものがあり、こうした完結の仕方もいいのかもと思える。

評価…★★★★
(最後はなめてた相手が『ランボー』だったという(笑)。ジジイになってもヤバいくらい強い。)

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