皆さまこんばんは。
アクションとホラー映画をこよなく愛す映画フリークいわしでございます。
前回の独論からだいぶ時間が過ぎましたがまぁ色々とネタを探して練っていたところでして、またちまちまとやっていきますのでよろしくお願いいたします。

さて29回となるいわしの映画独論、今回のテーマは以前にハリウッドアクション映画で取り上げましたアクション俳優の二世たちのお話。その香港映画編を掘り下げてみたいと思います。

偉大な親をスターにもちながら同じ道を辿るというのはなかなかの茨の道でございます。
ハリウッドではこれまでに親を越える二世アクションスターというのは生まれていなかったわけですが、これが香港映画界で見てみますと必ずしもそれが当てはまらない場合もあるようです。

最初にまず取り上げたいのはアジアだけでなくハリウッド随一のアクションスターとなったジャッキー・チェン
彼の息子も香港映画で華々しくデビューを飾りました。
それが彼
『ジェイシー・チャン』


でございます。

1982年生まれの彼はジャッキー唯一の一人息子ですが、俳優活動に忙しいジャッキーとはあまり思い出はなく、むしろ元女優の母を悲しませる彼を蔑んでいたともされていました。
当初は音楽の世界で生きていこうとしていて、歌手として活動を開始。しかしジャッキーの意向もあって彼はアイドルユニットTwinsの冠のある作品『花都大戦/ツインズエフェクト2』で破格の主役デビューそして主題歌担当と親の威光バリバリになってしまったのでした。
なおこの作品は他にもダニエル・ウーファン・ビンビンらに加え、ドニー・イェンやジャッキーまでも参加。
ドニーとジャッキーは主役そっちのけでカンフーバトルを繰り広げる作品となっております。
その後も本物の次世代ジャッキーとしてアクションにドラマにと出演し、歌手としても活動をしていましたが、2014年になんと麻薬所持で逮捕、実刑を受けてしまいました。
これは本人の活動だけでなくジャッキーの活動自体にも暗い影を落とし、折しもジャッキー作品に政治的メッセージが目立ち始めたのもあって香港ではかなり酷評され始めるきっかけになったようです。
ジャッキーの作品で再起出演を図るなどしていますが今の風貌はだいぶワイルドになっているようでかつての好青年のイメージもなく、その前途は多難のようです。

ジャッキーと比較されがちな世代代表のサモハン。実は彼の子供たちも俳優として活躍中です。
サモハンは現在の妻ジョイス・コウと結婚する前になんと4人の子持ちでした。それぞれに芸能活動をしていますが、ことアクション映画界において関係性の深いのは、長男の
『ティミー・ハン』


と末弟である
『サミー・ハン』


でございます。

兄のティミーは子役として活動歴も長く、サモハンのヒットシリーズ『福星シリーズ』のリチャード・ンの息子であるフィリップ・ンらと同世代共演するなど話題性も豊か。日本映画にも出演経験があり、『大阪プロレス飯店』『カンフーシェフ』といった日香合作作品に主演しています。
アクションとしてはサモハン指導のもと副武術指導などで経験を積むなどしっかりした下地をもち、アクションもしっかりこなせる万能さも持ち合わせています。
しかし、現在は主演というよりは脇役に徹する作品が主流となり、主役というよりは名バイプレーヤーとしてアクション有り無しに関わらず出演する傾向が強いようです。

末弟であるサミー・ハンは俳優デビューは25歳と意外に遅めながら、三兄弟の中では最もアクション耐性と華のある俳優です。
『燃えよマッハ拳』では蔡李佛拳をマスターしたり、同じく主演となったテレビドラマシリーズの『詠春』ではの詠春拳の達人役を演じるなど親のサモハンに似たアクション造詣への深さがあります。
モデル体型ながら鍛え上げられた肉体は最もアクション俳優として見映えするものでしょう。
ふたりとも親の意志しっかりと受け継いだスターとなったようです。

ハリウッドでは親の威光を越えるスターはいないと前述しましたが、ここ香港映画界においては必ずしもそうとは限らず、むしろ二世の方が有名というパターンもあります。
その代表格というのがこちら
『ルイス・ファン』


でございます。

彼の父親はサモハンのスタントダブルをつとめたこともある大型体格のアクションスター、ファン・ムイサン。分からない方のために有名なところでいうとジャッキー・チェン主演の『ヤングマスター』で敵道場の師範代を名乗るおデブさん役。長髪に髭面でおデブながらその動きはサモハンにも匹敵する素早さでした。
そんなアクションの遺伝子を受け継いだルイス・ファンは三歳から子役として活躍し、父親からカンフーを習っていました。
さらに子役からの脱皮をはかるため本格的に武術学校で修行をつみ、香港映画界に復帰後はアクション指導までこなすマルチな才能を発揮しています。
彼を語る上で欠かせないのはやはり当たり役となった『力王』でしょう。
日本のバイオレンスアクション漫画の実写化となった本作はその飛び抜けた残酷描写からカルト的人気を博し、アクション映画ファンには知る人ぞ知る存在になっています。他にもドニー・イェンの『葉問』シリーズでは荒々しい北派カンフーアクションを見せてドニーと戦ったり、演技力でも高く評価されている稀有なスターです。
二世世代の中では一、二を争うアクション能力の高さで親とは似つかぬイケメンぶりも話題となっています。

さてこれまで香港映画界における二世スターたちの紹介をしてきました。
最後に現在の香港映画界で最も成功しているスターを紹介しておきましょう。
それが彼、
『ニコラス・ツェー』


でございます。

父親が名優パトリック・ツェー、母親が女優デボラ・リーという文字通りのサラブレッドな彼は英語も堪能で、日本の音楽学校にも所属していたことがあり、歌手としても数々のシングルとアルバムを香港でヒットさせているなどアーティストとしての評価も高いです。
俳優デビューは16歳のときで、この頃はアイドル的人気が先行し、親の七光りと激しいバッシングを受けていました。
数々のメロドラマなどで演技力の評価を高めつつ、アクションとしては同世代俳優との共演とジャッキーのプロデュースとして話題なった『ジェネックス・コップ』で注目され、ジャッキー・チェンの後継世代である『ジェネックス世代』の代表格としてアクションファンの間では認識されております。

彼のアクションは元々テコンドーにあり、その格闘アクションにおいては華麗な足技をふんだんに見せる作品が多いです。
彼の足技を堪能するならば、『かちこみ!ドラゴン・タイガー・ゲート』『香港国際警察インビジブルターゲット』で楽しめますが、最近公開されたドニー・イェンとの一騎討ちが話題となっている『レイジング・ファイア/怒火』でもアクションレベルの高さをみせていますね。
ちなみに彼の妹でモデル出身の
『ジェニファー・ツェー』


も近年アクション作品で、見事な格闘アクションを披露するなど、ニコラス同様に注目が集まっております。

いかがでしたでしょうか?
ジャッキーたちが未だに第一線でがんばり続けるなかで、その子供たちもまた唯一無二の活躍の場所を目指しているようです。
実は知られていないだけで、あのブルース・リーも二世俳優だし、香港芸能界においてはまだまだ成功している二世スターはいるかもしれませんね。

有名なジャッキーやサモハン作品だけでなく、彼らの二世たちが魅せるアクション作品にもまた傑作が落ちているかもしれません。
皆さんも機会がありましたら観てみてはいかがでしょうか?
そういったところで今回の独論はここまで。
次回も楽しみにしていてくださいませ。

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ハリウッドアクションスターの二世たちの姿を書いた前作


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