片頭痛と上手につきあう方法
片頭痛との付き合いはかれこれ20年以上あります。
ズキズキと片側が脈打つような片頭痛もあれば、船酔いに襲われて平衡感覚がなくなる嘔気症状の時もあり、一年を通して「頭が痛くない」日はないほど、頭痛のある生活がデフォルトになっていました。
頭が重かったり、痛みがあるときは何をしても愉しめないので、10代後半から20代の時はとにかく毎日痛み止めを内服していました。
けれどもそれはただの気休めにしかならず、「飲んだから安心」と言う、いわば自己暗示のような内服の仕方だったのかもしれません。
毎日の内服と常に頭が靄がかった症状に仕事を始めて支障をきたし始めたため、30代になって初めて頭痛外来に行く決心をしました。
そこで言われたことが、「薬物性頭痛」の診断でした。
市販薬を毎日内服していることで、それが原因で頭痛を誘発すると言うのです。
病院で処方された薬を3カ月内服をしていました。
しかし、頭痛外来に月1回仕事が休みの土曜日に半日かけていく事が次第にストレスになり始め、当時の私は自己中断してしまいました。
薬物性頭痛の存在を知ってから、出来るだけ市販薬に頼らない生活を見直すようにしました。
まず取り入れたものは、自律神経を乱さないこと。
これは簡単なようでいて、毎日継続することは非常に難しい問題でした。
だから自分にストレスにならない程度に、簡単なところから取り入れるようにしていったのです。
全身の緊張を緩めるためにヨガを始め、呼吸法を知りリラックスすることやマインドフルネス瞑想に出会いました。
そして生活の中に上手にアロマを取り入れる事。
自分が心地よくなれる暮らしを追求していったのです。
けれども、それはあくまで対処法でしかならず、根本的なところは改善まではいかなかったのが正直な話です。
特に気圧の変動に敏感になり、気圧が下がり始めてくると、頭が締め付けられるような鈍痛と船酔いが始まります。
仕事を一日こなして夕方になってくると、まっすぐ歩いているつもりでも、ふわふわと安定しない浮遊感に襲われることもありました。
仕事柄、書類を毎日のように作成しているため、頭を回転させようにも、うまく起動しない日々が続きました。
ハーブティーが良いと言われ、ミントティーやカモミールティーを休憩時間に飲んで落ち着くようにしたり、アロマスプレーを振りかけてリラックスしてみたり、あの手この手で気分を変える工夫もしてみました。
浮遊感のある眩暈症状があった時は「酔い止め薬」が良いと聞いて、常時お守りのように酔い止め薬を持ち歩き、「きそうだな…」と思う少し前に内服する生活をずいぶんと続けていたように思います。
その時、ふと一時期の痛み止め内服を毎日繰り返していた生活に逆戻りしてしまったような感じがして、ハッとしました。
自己中断した頭痛外来を再開しようか悩みました。
もっと近所に通院が続けられそうな場所はないか片っ端から検索しました。
幸い、それほど遠くない場所に脳神経内科で頭痛外来をやっている場所を見つけたので、恐る恐る通ってみることにしました。
診察の時、これまでの頭痛との付き合いを全てはなし、過去に頭痛外来に通っていたことも自己中断してしまったこともお話しました。
医師は全てを聞きながら、シンプルに片頭痛の処方をしてくれました。
これで楽になれる…と安堵しましたが、即効性があるわけではないので、また通うことにためらいが出てきました。
しかし、内服薬は3週間と短く、すぐに次の受診日がやってきます。
3週間ごと、医師に症状を話し、微調整を繰り返し薬を一番自分の症状に合っているものに変えていく…これをしばらく繰り返していました。
そして6ヶ月ほどかけてようやく自分にあった処方にたどり着いたのです。
今になって思うことは、片頭痛は民間療法だけではどうすることも出来ないと言うことです。
自律神経を整えたり、リラックスすることは、ストレスをため込まずに心地よく生活する上ではとても大切なことで、私はこれらを今でも続けています。
けれども、根本的な頭痛の「治療」は医師に相談しながら進めていくことが一番だと思いました。
自分で何とかしようとするのではなく、きちんと症状を相談しながら治療をしてくれる病院にたどり着くことが、病気と上手に付き合っていくために大切なのだと痛感しました。
元来病院嫌いだった私でしたが、年齢と共に、自分の体調を知ってもらい、少しの変化があったときに相談が出来る医療機関があると言うことは「健康に暮らす」ためには大切なことだったのです。
あれほど、毎日が辛く、脳みそを一度取り出して丸洗いさせたいと思いながら生活していた私が、今は夕方になることも怖くなくなりました。
多少は天気に左右されることはありますが、「生活が出来ないほど」ではないのです。
医療のサポートをきちんと受けることで、生活の質は驚くほど変わり、そして何よりより健康意識が高まります。
もし、片頭痛に悩み、市販薬に頼っている方がいたとしたら、まず受診をお勧めします。
仕事が忙しくて行く暇がないと思われる方もいるかと思います。
私も同じ気持ちで、休みの日を犠牲にしてまで受診したくない気持ちでした。
だから私は、敢えて平日に有給をとる覚悟をしました。
「受診」に合わせて定期的に有給を思い切って取り、その日を調整して仕事をするようにしたのです。
あらかじめ受診予定を入れておくと、いつか行こうではなく、「行く日」になるのです。
受診を理由に息を抜く事も同時に覚えたような気がします。
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