安保條約・行政協定をめぐって・・・眞の獨立のために(4) | シラスとウシハク【保守・革新でなく、日本獨自のありかたにもとづく區別をとり、時事・歴史問題を考へるブログ】

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  吉田茂が再軍備をしぶったものですから、米國はカンカンに怒りました。そのために、わが國は安保條約と行政協定(いまの地位協定)とを押しつけられてしまったのです。もちろん、それらが獨立國どうしの取決めではないといふ認識は、吉田にもありました。


  けふは、當時の指導者がいかなる態度でもって安保條約等に臨んだかを、述べてみます。






  昭和27年4月28日、サンフランシスコ講和條約が發效するとともに、日米安全保障條約・日米行政協定も發效いたしました。講和條約の方は、サンフランシスコの華麗なるオペラハウスで結ばれ、かたや安保條約の方は、郊外のアメリカ陸軍第六軍基地にある下士官クラブにおいて調印されました。


  陸軍第六軍とは、わが國を占領してゐた軍隊であります。下士官クラブとは、身分のひくい軍人が利用するクラブのことで、御世辭にも待遇のよいところとは言へません。しかも、安保條約に調印したのは、アメリカ側4人(アチソン・ダレスら)にたいして日本側1人(吉田茂)であります。外交儀禮上、そのやうなことは考へられないと、もと外交官の孫崎享氏は述べます。


  そのあたりの事情は、氏の『戦後史の正体』(創元社)116頁以下に書かれてをります。外交官で事務次官にのぼりつめた寺崎太郎が言ふには、こんな具合です。

「半永久的に日本の運命を決すべき条約のお膳立てが、まだ主権も一部制限され、制限下にある日本政府、言葉を変えていえば手足の自由をなかばしばられた日本政府を相手に、したがって当然きわめて秘密裡にすっかりとり決められているのである。いいかえればけっして独立国の条約ではない。」『寺崎太郎外交自伝』(私家版)より


  日本側の調印者が吉田茂しかゐなかったのは、一人でむすばざるをえないほど安保條約は極祕にしておくべき條約であったからです。同行してゐた池田勇人にたいして、きみの經歴に傷をつけさせまいと言ひ、吉田はひとりで調印に臨みました。つまり、調印させると池田の經歴に傷がつくほどひどい條約であると、吉田はよくわかってゐたわけです。






  また、安保條約・行政協定の關係について、寺崎は次のやうに述べてをります。

「周知のように、日本が置かれているサンフランシスコ体制は、時間的には平和条約〔講話条約〕―安保条約―行政協定の順序でできた。だが、それがもつ真の意義は、まさにその逆で、行政協定のための安保条約、安保条約のための平和条約でしかなかったことは、今日までに明らかになっている。」

「つまり本能寺〔本当の目的〕は最後の行政協定にこそあったのだ。」


  同じことが片岡氏の『日本永久占領』にも見えます。

「米軍の駐留が講和の前提になる以上、日本の国会がこれを問題にする可能性は充分あった。だからそれを講和条約から外して、二国間条約に入れ、さら、その一番「帝国主義」的な部分は、行政協定に入れて、国会から隠す・・・・・・。」179頁


  じっさいはさらに《下》があります。行政協定の一部が宮澤喜一らの目にとまって阻止されさうになると、さらにそれらを行政協定から削除して、ほとんど誰もみない「岡崎・ラスク交換公文」といふ合意文書にこっそり書きこんだのです。(孫崎前掲書、150頁)


  國會や政治家にばれたら大騷ぎになりかねない内容であったわけです。だからこそひたすらに隱した。さう解釋するより他はありません。そのやうに状況證據からも、安保條約・行政協定が獨立國にあるまじき約束であったことがわかるのです。






  ひどい約束だとわかってゐても、あのとき吉田は調印せざるをえませんでした。もはや逃げられなかったのです。


  なぜ吉田はハメられてしまったのでせうか? その原因は、やはり憲法にあります。詳しくは、またの機會にいたします。片岡氏著『日本永久占領』などのふみを讀まれることを、ここで繰り返しおすすめいたします。
(終)




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