![]() | 世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド〈上〉 (新潮文庫) 新潮社() ¥ 620 |
弱々しい物語(2009-06-25)今更この本にコメントする必要など本当は何もないのだが。何とか文学賞でのスピーチだの、新作が空前のベストセラーだの、という空騒ぎをばかばかしく思うついでに、この作者の小説で自分が最後に読んだこの本に雑感を。 ストーリーも文体も非常にスマートで、ブランド物の洋服や雑貨のように、知的ファッションのツールとしては申し分ない作品。しかし、小説の底はきわめて浅い。物語というものの本質的な娯楽性を逆手にとって読者の不意をつき、喉下に匕首を突きつけ無理心中を迫る、というような真の道化のリアリティーはここにはない。「ふり」程度はあるかもしれないが、読者だけ死んで、自分は生き残ってしまう情けないパターン。いや、読者もこの程度で死んだりはしない。そういう意味では、まったく安全・安心な商品。 「壁」も「システム」も単なる幻想にすぎない。小説の中だけの、文字通りの「フィクション」。「心」もまた同じ。すべては作者の頭の中ででっちあげられた空虚な概念。そんなもの物語の外の「現実」のどこを探しても存在するわけがない。そんなことは百も承知と言いながら、作者も読者も、何か人生の、あるいは世界の真実に迫ったかのような錯覚を楽しんで、自分らの「物語」の限界にはまったく気がついていない様子。「物語」の役割に対する過度の信頼や筋違いの神聖化はやめたほうが良い。それが行き過ぎれば、ひょっとして、そういう「物語」こそが「壁」や「システム」に成り果てることになるかもしれぬ。 そういう意味では、現代における「物語」の衰弱した姿がここにはあるのだと思う。まあ、弱い、というのがこの作者のトリッキーなセールスポイントではあるのだろうが。 | |
低俗風。(2009-06-07)上巻を読んだだけの時点でのレビュー。 ストーリーの展開の仕方やストーリー自体は、まぁ巧いと思う。 なので、読み易いと言えば読み易い。 けれども、嫌な点が主に2つ。 1つは、巧くもない比喩が冗長過ぎるまでに織り込められている点。 結局、そういった「無駄」な部分を省いたら、中身は単純で薄い気がする。 それでもストーリーはしっかりしているので、そのストーリーに対する評価は「巧い」なのだが。 比喩の所為で興醒めする。 もう1つは、何彼に就けてセックスの話題を織り交ぜたがっている点。 それがハードボイルドだと勘違いでもしているのだろうか。 性欲に愚直な主人公と、身持ちの脆い(脆そうな)周辺女性のやり取りに、うんざり。 どう言い訳しても、かなり低俗に見える。 | |
うーん・・・(2009-06-04)村上春樹さんの作品を読んだのはこれでまだ2作目です。 フランツ・カフカの作品が好きで、村上春樹さんはカフカに影響を受けた 日本の作家、というのをどこかで見て読んでみたいと思ったのがきっかけで、 春樹作品の中で最も有名だと思われるノルウェイの森をまず読みました。 そのときは正直、私にはあいませんでした。 読む限りカフカの影響はまったく感じられませんでしたし、ありていに言って しまうと、作者の自慰行為を見せられているような不快感が残りました。 でも、このアマゾンのレビューを見て、どうもノルウェイの森よりこちらの方が 自分には合っていそうだということで、前回のことはありましたがこの本にも トライしてみようと思いました。 結果、やっぱりダメでした。 言いたいことは分かるんですが、とにかく引っかかる部分が多かった。 主人公のために博士と孫が尽力してくれる理由が最後まで分かりませんでした。 システムやカンパニー側が消そうとする理由は分かりますが、博士と孫がなぜ 自分達を危険にさらしてまで? 最後の謎解きも、最初に会ったときに話せばそれで済むのに、なぜ地下でわざわざ インディージョーンズばりの冒険をする必要があったのでしょう。 主人公といい関係になる二人の女性はやっぱり主人公の自慰行為を手助けする ためだけの道具に見えます。私個人の穿った見方かもしれませんが。 上巻の方の世界観作りだけは確かに(私は好きな)カフカ的で、興味を引かれた ので下巻に入ってからの謎明かしに結構がっかりしました。 他に琴線に触れる部分があまりなかっただけに特に。 おしゃれな雰囲気を出したいだけじゃ?と思えて仕方がない現実離れしたセリフ 回しも、うーん・・・ あくまで私の場合ですが、読んでてもそういう部分がいちいち引っかかって あまり楽しめる作品ではなかったです。 | |
最高傑作(異論は認める(2009-05-08)そう言わざるを得ない作品です。 数多くの村上作品を読んできましたが、これを越えるものは恐らくないと思います。 村上春樹アレルギーじゃない人は絶対読むべき作品 個人的なは世界の終りの世界観が大好きです。 | |
未だに、村上文学の最高峰(2009-03-28)一般の方にとって、村上春樹といえば「ノルウェイの森」だとか「海辺のカフカ」なのだが、その実、村上春樹ファンの中で最も評価が高いのが、この「世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド」なのだ。影を奪われ心を失いつつある「僕」が、壁に囚われた街で一角獣の頭骨から夢を読む事を生業とする「世界の終わり」。システムに属する計算士の「私」が、ファクトリーに属する記号士ややみくろと攻防を繰り広げる「ハードボイルド・ワンダーランド」。この全く趣の異なった二つの話が交互に進行してゆく。 「世界の終わり」の虚無感に充ちた退廃的な原風景。「ハードボイルド・ワンダーランド」のニューエイジ的な殺伐とした空気…。しかし、設定も時間軸も何もかもが全く異なった二つの世界は、「一角獣」という各世界をジョイントするアイテムによって、徐々にその関連性を増し、一気に物語の核心へと加速してゆく。 純文学の体裁ながら、シュールレアリスムやSFまで加味された、重厚かつ精緻な世界観にはひたすら気圧される。意味深長でありながら軽妙なユーモアも織り混ぜた村上春樹特有のタッチで綴られるそれぞれの異世界は、霊妙ですらあり、まさに、彼のイマジネーションの賜物なのだ。これは、戦後の日本文学における極めて重要なアイコンであり、同時に村上春樹の金字塔だといえよう。 未読の村上春樹愛読者は言うに及ばず、一般の読書家にも、最早必携の書である。この小説には、読者の人生観を雲散させて再構築してしまう程のパトスがある。そして、読者の期待を裏切らない。 | |
- 世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド〈下〉 (新潮文庫)
- ねじまき鳥クロニクル〈第1部〉泥棒かささぎ編 (新潮文庫)
- ねじまき鳥クロニクル〈第2部〉予言する鳥編 (新潮文庫)
- ねじまき鳥クロニクル〈第3部〉鳥刺し男編 (新潮文庫)
- 羊をめぐる冒険〈上〉 (講談社文庫)
![]() | 宇宙への秘密の鍵 岩崎書店() ¥ 1,995 |
大人にも子どもにもおすすめです(2009-02-21)やはり、むかし、興味があってかじったものの挫折した 「ホーキング」の名前に魅かれて、 小学校高学年向けの面白い本を探していたこともあり、買い求めました。 設定は極端だけど、それぞれのキャラが「立って」いて面白く、 物語にスピード感があり、わくわく読めます。 決してヒーローぽくない主人公の少年が、だんだん活躍していって、 ホーキング親子が伝えたいことは、 この本の最後のほうで、彼の口からしっかり語られる・・(ここは良かった!) 根っから物理のニガテなわたしは、 盛りだくさんのカラー写真や、 イラスト付き手書き文字付きコラムなどのおかげで宇宙の最新知識を 苦労せず理解できて満足できました! 日ごろほとんど本を読まない夫にもみせてちょっと粗すじを話したら、読もうかなあ・・と! 実際、小学生が読んでどのくらい面白いのかは、きいてみたいところです。 ブラックホールの謎などがのっているのですから、ワクワクしますよね。 この本を読んだ後、宇宙のことをいろいろ知りたくなり、 大人向け子供向け両方!かじり読みしています。 日本語版の(?)挿絵も、ファンジックですばらしく、 それでいて物語を損ねることもなくイメージを湧かせてくれるので、好きです。 変わり者の科学者の娘・元気もののアニーちゃんは、 著者ルーシーさんがご自分の子どもの頃を投影している、とか。 また、実際ホーキング博士は、ユーモアたっぷりの遊び心のある方だということですね。 訳も大好きな「シャーロットのおくりもの」の訳者だということで 親しみが持てました。 続きが楽しみです。 | |
なんと素敵!!(2008-05-02)根っからの文系で、数字にめっぽう弱い私だけれど、アインシュタインの相対性理論や、宇宙の始まり、終わり、仕組みには何故かすごく興味があって、無限大で夢のあるそれらの世界にずっと憧れていた。自分が想像もできないような、生活圏を遥かに越える距離、寿命を遥かに超える長い時間について考えるのはとても刺激的で、わくわくするものだ。でも、物理学の専門書はページを2、3ページ開くだけでもういいです、という状態になる・・・。 けれどこの本は、私のような超初心者にも、易しく分かりやすいストーリーとともに、そして、魅力的な登場人物とともに、宇宙のふしぎを伝えてくれた。 また、各所に、目をキラキラさせてしまうような不思議な宇宙写真や、宇宙の小ネタが挟まれている。文字だけではただ頭のなかの知識の栄養にしかならないけれど、写真や絵がふんだんにあることでよい意味で気分転換も出来、目の保養にもなる。 同時に、現代の子どもたちのより多くにこの本を読んでもらいたいと強く思った。 その理由は、宇宙やそれを解明する科学を易しく伝えていることだけではない。 作者は、主人公である純朴な少年ジョージを通して、科学を悪いことに使ってはいけないこと、私たちのこの美しい地球を守るために、環境保護活動と科学の発展を同時に進めていく必要があることを、伝えてくれているのだ。 その真摯な言葉が、とても簡潔で、短いのに、とても心に響く。 私たちの美しい地球。そのとんでもないかけがえのなさを、子どもたちはこの本を読み気付くだろう。固定観念の定まってきてしまった大人の私でさえ強く感動した。21世紀に読まれるべき名著です。 | |
大人も子どもも楽しめる宇宙冒険物語 ホーキング博士の宇宙への秘密の鍵とは?(2008-03-22)本書は、量子力学と相対性理論というふたつの大きな発見を踏まえて、その両方から導かれる宇宙の姿を初めて描いた天才物理学者スティーヴン・ホーキング博士とその娘で小説家のルーシーが世界中の子ども達のために書いた宇宙冒険物語。いまや世界約40ヶ国で出版され、世界のベストセラーとなっています。 主人公の少年ジョージは、ペットのブタを追って隣の家に飛び込み、科学者のエリックと娘アニーに出会ったことから、スーパーコンピュータ<コスモス>によって、宇宙の旅へと導かれます。ジョージは、<コスモス>を通して、星の誕生と死や彗星を知り、宇宙に引き込まれていきますが、そこに不可解な行動を取るリーパー先生や暴力的で陰湿ないじめを繰り返す同級生の影が・・・。 19のコラムと32ページの美しいカラー写真が本書の特徴と言えるでしょう。太陽系やブラックホール、物質や質量など、ストーリーを読み進める上で必要な宇宙や物理学の知識が別コラムにて挿入されていて、小学生でも理解できるような配慮が施されています。さらに、イラストの他、探査機によって撮影された天体写真やコンピューター処理画像が掲載されているため、宇宙を舞台に展開される冒険物語がよりリアルにイメージできます。 著者であるホーキング博士は、ケンブリッジ在学中に難病のALS(筋萎縮症性側索硬化症)であることが判明し、1985年に肺炎を患った後は完全介護が必要となりましたが、テクノロジーの助けを借りて研究活動中の「車椅子の物理学者」。 博士の研究テーマである「どのようにして宇宙がゼロから自然発生的に作り出されたのか」ということや「どのように情報がブラックホールから出て行くのか」ということが本書の物語を通して展開され、興味をそそられます。また、主人公の少年ジョージの科学発表コンクールの原稿の中に盛り込まれている地球環境問題から宇宙を捉える視点も見逃せません。 大人も子どもも憧れる宇宙への旅。ホーキング博士の宇宙の秘密への鍵とは・・・。宇宙の起源、太陽系、ブラックホールなどの最先端の知識を得て、宇宙を冒険できる物語。大人も子どもも楽しめます。全3巻の刊行が予定されていますので、2巻目が楽しみなシリーズです。 | |
【子供から大人まで】楽しめる宇宙の神秘!(2008-03-19)この物語には夢があります。 しかも、ホーキング博士の科学的根拠に基づいた話なので、非常に勉強になります。 内容的には小学生の高学年程度から理解できるのではないかと思います。 大人が読んでも、小中学生の頃に学んだ忘れかけている天文学の知識を思い出すことができます。 非常に参考になるのではないかと思います。 したがって、子供から大人までが楽しめる良書だと思います。 その様に考えれば、書籍として若干高めの値段設定も非常に納得です。 また、途中に宇宙の様々な星のカラー写真や、天文学の解説も多くあるので、失っていた子供の頃の星に関する感動が蘇って来ます。 一ページあたりの字数は少ないので、さらっと読み終えてしまいます。 | |
脇役のキャラクター設定が魅力的(2008-03-01)誰もが憧れる宇宙の旅。本書では、「コスモス」という名のスーパーコンピュータの持つワープ機能が、それを実現してくれる。 主人公ジョージと隣の家の科学者エリック、その娘アニーの宇宙の旅を通して、宇宙の姿を視覚的に捉えられるストーリーになっている。また、ブラックホールなどやや抽象的で理解しづらい概念も、無理なくイメージできる。 何より、脇役のキャラクター設定がとても魅力的だ。テクノロジーを徹底的に嫌う両親。ペットはブタ。お隣に住む風変わりな少女アニーと科学者父エリック。スーパーコンピュータのコスモス。執拗に狙ってくるいじめっこたち。不気味なリーパー先生。彼らが、最初から最後まで勢いよくストーリーを引っ張っていってくれる。 ホーキング博士とその娘の共著ということで、より科学的な事実に即した内容を予想していた。しかし、ストーリーもキャラクターも創造的で、予想をいい意味で裏切ってくれた。 唯一、「さすが科学者だな」と思わされたのは、一文一文がとても短く簡潔である点(理科系の研究者は短文を好む傾向が強い)。この明快な文章のスタイルは、本書の魅力をより高めている要因のひとつでもある。 挿入されているカラー写真も美しく、非常に満足できる一冊だ。ファンタジー好き、宇宙好き、科学好きに限らず、多くの人に一読をすすめたい。 | |
- 宇宙に秘められた謎 (ホーキング博士のスペース・アドベンチャー 2)
- ホーキング、宇宙を語る―ビッグバンからブラックホールまで (ハヤカワ文庫NF)
- マンガ ホーキング入門―天才物理学者の人生とその宇宙論 (ブルーバックス)
- ホーキング、宇宙のすべてを語る
- ホーキング宇宙の始まりと終わり―私たちの未来
![]() | 重力ピエロ (新潮文庫) 新潮社() ¥ 660 |
賛否両論ですが…。(2009-07-16)個人的には楽しめました。 東○圭吾氏の著書のように、暴力やレイプなどがなく、安心して読めます。 普段本を読まれない方でも比較的ラクに読めるのではないでしょうか。 | |
あまりにも(2009-07-11)レベルが低い。ここまで時間をムダにしたと思った本は初めて。 犯人はすぐ分かるし、その動機も「まさかこんな簡単なことではないだろう」と思っていた、そのまさか。 結末も何もない。 | |
思いがけず心を鷲掴みされてしまいました。(2009-07-06)読み終わった後、もう一度読み直したくなったのは初めてでした。 深まっていく謎に惹きつけられ、ドキドキし続けました。 推理小説と言い切るのはちょっと違う、でも家族愛の話と決めてしまうのもちょっと違う。 登場人物たちの交わす会話が独特のテンポでいいんです。彼らの背負うものが切なくて、でも淡々と進められていく物語にますますのめりこみます。 そして、終盤で、すべてのからくりがわかってからのドキドキは、それまでのものよりも大きく、 読み終わるのがもったいないと初めて感じました。 登場人物一人一人がとても鮮やかに描かれています。 どの人物もある意味突飛で個性が強いのですが、それぞれに惚れこんでしまいます。 それゆえに、ラストは切なく、愛おしく、まだずっと彼らを見ていたくなるのです。 残酷でありながらも、この上なく神聖で、愛にあふれている、不思議な魅力いっぱいの作品でした。 | |
若さが羨ましくはならなかった(2009-07-05)とても人気のある作家の、映画化までされた売れている作品ということで、かなり期待して読みましたが、読後は、今時の日本ではこういう小説が受けてしまうのかと愕然としました。今の若い世代は表面的な感情だけに左右されて、深く考えて善悪の判断をするということができなくなっているのでしょうか。若い著者ゆえの、読者の根本的な善悪の判断を狂わせようとする試みだったのかもしれませんが、それは勇気ではなく、浅はかな机上の空論だよと言いたくなりました。 途中は退屈、読むのは苦痛、読後は愕然という小説でした。 | |
ウンチクばかりの会話が苦痛・・・(2009-06-30)ただただ読むのが苦痛・・・の一言。 ストーリーなんて一体どこに行っちゃったのってくらい、最初から最後までだらだらと無駄に気取った会話とウンチクの連続で、よくここまでページを増やしたなとあきれます。 意味のないものに意味を求めた風な文体が「洒落た」とでも言うのか?そういう時代?? いやだなぁ。 なぜウケてるのかわかりません。 しつこいほどのガンジーの引用もただの教養のひけらかしにしか思えなくて、最後まで理解が出来なかった。 ただ、私にはこの人はダメ。と思い、他にも買った伊坂作品すべて捨てようかと思ったほどだったけど、意外にも、次に読んだ「グラスホッパー」は全く違って軽快でテンポもよく、「アヒルと鴨のコインロッカー」「ラッシュライフ」もそれなりに良かった。 こういうのも書けるんじゃん。 | |
- ラッシュライフ (新潮文庫)
- オーデュボンの祈り (新潮文庫)
- アヒルと鴨のコインロッカー (創元推理文庫)
- グラスホッパー (角川文庫)
- 陽気なギャングが地球を回す (祥伝社文庫)
![]() | 1Q84 BOOK 1 新潮社() ¥ 1,890 |
欲望のままに(2009-07-23)やはり村上春樹さん、冒頭から物語に惹きこまれる。青豆さんというネーミング、天吾という売れない小説家の日常生活の様子など、春樹ワールド炸裂といった感じがある。この二人の物語が交差していく。 フカエリという美しい高校生の口からこぼれるリトルピープルの存在が、現実なのか悪夢なのか、心が揺れる。 あのテロ教団に酷似している「さきがけ」と「あけぼの」教団の存在へ、青豆さんはどのくらい核心に迫れるのか楽しみである。 | |
やはり村上春樹の小説は・・・(2009-07-23)いつもの村上春樹の物語と同じように、おそらく各個人の感じ方に委ねられる。 伏線、謎がすべて解明されないため、続きが出るのか?と気になる終わり方であったが村上春樹の小説なのであればこれで終わりなのかもしれないとも思わせる。 いずれにせよ、相変わらずの村上春樹の小説といった感じで、カルトであったり、概念、表象的なものが多く登場しテーマを捕らえることは難しく、一言で読後感を述べることは出来ない。 アイデンティティ、初恋、成長、普遍のエッセンスが盛り込まれることにより、私自身、色々な思い出がよみがえったり、自分自身と重ね合わせ感じる部分が多かった。 私には問題が提起されこの先の道を示唆されたように感じる。 | |
カフカの『城』を連想した(2009-07-22)『1Q84』というタイトルから、最初連想したのは、オーウェルの作品ではなく、カフカの『城』だった。 というのも、新潮文庫の『城』の扉に打たれている数字は「1984」だから。 そういう連想は、村上氏の前作が『海辺のカフカ』であり、 また、去年カフカ賞を受賞した際の発言、「15のとき、『城』を読んで感動した」とも、きれいにつながるもののように思えたのだった。 そして、冒頭、いきなりヤナーチェクの『シンフォニエッタ』が登場するに及んで、この連想は当たりかな、と思えた。 なぜなら、ヤナチェークとカフカは、いずれも現チェコの地で生まれ、 しかも、誕生日はともに7月3日という共通点で結ばれた存在だからであり、 おまけに、『シンフォニエッタ』第二楽章の表題は「城」だからだ。 たぶん、この『1Q84』を構想するにあたって、カフカの『城』からの連想が取り入れられたのだろう。 そうすることで、前作『海辺のカフカ』や、カフカ賞受賞という出来事からの潜在的な流れを、 作品の中に持ち込むことが意図されたのではないか、と思っている。 内容的には、それほど『城』と重なる部分があるとは感じられないが、 主人公が現実世界とはちょっと違った奇妙な世界に入り込んでいくという点では、 『城』が意識された部分はあるかもしれないし、このような観点で読んでみることも面白い試みだと思う。 正直、これまでは、村上春樹の作品はあまり好きでないと思っていたけれど、 (読むのが遅いので、まだ、最初の200ページぐらいしか読んでいないが)かなり面白く読めている。 世界文学的な雰囲気とスケールの大きさもあるのではないだろうか。 これまでにいくつか読んだ作品では、作者の衒いみたいなものが、あちこちから顔を出しているように感じられて、 それが気に入らなかったのだけれど、この作品では、そういうものもあまり気にならないようだ。 | |
少し後味悪い(2009-07-22)村上春樹の作品は大好きで,翻訳以外の物をたいてい読んでいますが, 今回はめずらしく後味が悪かったです。 ストーリーにも引き込まれ,大変面白かったのですが, 子供が傷つけられる描写がリアルに書かれていたので,胸が苦しくなりました。 作品にとって必要な描写なのかもしれませんが, これだけたくさんの人が読む作品なので悪影響がないか心配になります。 今までそんな暴力的な表現はなかったのに(あったけど,読んだ人が傷つくような表現は無かった)。 少し残念です。性悪説をとるなら,ベストセラー作家は気をつけてほしいです。 | |
結末は語られている・・・・(2009-07-21)大変面白く読めた!! プロローグのタクシー運転手の啓示の言葉・・・ 首都高速の非常階段・・・ ヤナーチェクのシンフォニエッタ・・・・・・・ いつもの村上調だ!! 青豆と天吾を交互に語るのも世界の終わりとハードボイルド ワンダーランドみたいだ!!(続編がありそうだとおもわせる ところも似ている!!) リトルピープル=羊男も作者が永遠に追い求めるテーマなのだろう。 それにエンターテイメントの要素ももりだくさんだ。 青豆=必殺仕事人、ふかえり=深田恭子?? それに過激な??セックスシーン・・・読者サービスがよすぎる。 青豆が頭がはげてる中年男がすきなのは作者のマスターベーションかな?? 村上の小説がワンパターンだと批判する人にも作者は答えを回答しているし・・・ 続編がありそうだと思わせる期待感、この先ドーなるの??みたいな読者にも よく読めばちゃーんと結末は書いている・・・・ふかえりの予言として・・・・・ 読むのに11日を要したが毎日ヤナーチェクのシンフォニエッタを聞いてから読んだので 楽しかった!!これは星5つの村上春樹のいつものエンターテイメント小説だ!! むずかしいことはいらない、次のページをめくるわくわく感があれば!! | |
- 1Q84 BOOK 2
- さよなら、愛しい人
- バルトーク : 管弦楽のための協奏曲 / ヤナーチェク : シンフォニエッタ
- モンキービジネス 2009 Spring vol.5 対話号
- 運命の人(四)
![]() | ハリー・ポッターとアズカバンの囚人 携帯版 静山社() ¥ 1,050 |
ド迫力な展開と爽快感!!(2008-09-30)主人公とシリウス・ブラックとの驚くべきつながり。クディッチ優勝線での見事な爽快感。そして、ハリー・ポッターとハーマイオニー・グレンジャーの意外な、解決への道のり。 他、ハリーの新しい箒である「ファイアボルト」、彼ならではの「守護霊」とその真相などなど、数え上がればきりがない、ダイナミックな展開でハリー、ハーマイオニー、ロナルドたち「仲良しトリオ」はだんだん、大人へと成長するのには、さすがにドキドキするし、それでいて心底ほっとするものです。 第4巻が主人公たち3人の「少年少女時代」の終りを告げ、第5巻から「大人時代」へとはいっていくようですが………第4巻がいわゆる「中継点」ではないかと思うので、ひとまず休憩します(笑)。 | |
ハリー・ポッターと動物大集合(2008-08-03)なんといっても、アズカバンの囚人では、 脱走犯にハリーが命を狙われているという話と、ハグリッドの魔法生物の話がメインです。 もちろんクディッチの優勝のゆくえも気になります。 それと、後半でハリーの父親ジェームズとその友達の話に多くの紙数がさかれています。 3巻としての完成度もさることながら、 4巻に向けて、シリーズの緊迫感を盛り上げていく手練はさすがです。 | |
Great Adventure(2008-04-17)This book was really good and many adventures and many things that makes the audience/reader more exiting. This book had many adventures whcih talks about many magic and many characters in this book like Black. Now, I won't say the other characters because then I will spoil the readers exitments so that why. This book was really good so buy it and read it. | |
一番のお気に入り!(2008-02-05)はっきり言って面白いです。 ストーリー展開もあり、集中して一気に読んでしまいます。 是非のめりこんでください。 私が読んだハリーポッターの中で一番のお気に入りです!! | |
3作目はナルニア国物語も成功した。(2007-09-24)素晴らしい。全頁通して爽やかに書かれている。 ハーマイオニーとハリーが時間を遡るロマンス。 ヴォルデモード側とディメンターと守護霊をまじえた進行に卓越した書き方に感嘆を覚えた。 クイディッチでのチョウチャンの描写は読む者が笑いを誘われ秀逸であった。 | |
- ハリー・ポッターと秘密の部屋 携帯版
- ハリー・ポッターと炎のゴブレット 上下巻2冊セット (4)
- ハリー・ポッターと賢者の石(携帯版)
- ハリー・ポッターと賢者の石 (1)
- ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団 (携帯版)
![]() | 華鬼4 (Regalo) イースト・プレス() ¥ 1,365 |
幸せな結末に大満足!(2009-07-18)3巻のあとがきでも触れられていましたが、この4巻は最終巻ということもあって"厚め"でボリュームたっぷりです。ネット小説では登場が無かった国一の活躍も見られますし、何より華鬼の変化がとても甘~くって、幸福感たっぷりの結末もすごく良かったです。 巻末にある番外編は心温まる感じです。そして期間限定でネットで楽しめる特別編では気になるカップルのその後も覗けます。これから未来につながっていくような内容なので、この4巻で一区切りとはいえ、今後の展開に期待大です! | |
待ち遠しかった!(ネタばれ風味です)(2009-07-17)元々は、カズキヨネさんのイラストが好きで購入を決めました。 が、その前にネット小説の方で一気読み。 とても楽しくて、1~4巻が揃うのが待ち遠しかったです。 書籍化にあたって、色々と加筆がされてます。 特に、3巻から4巻にかけてはとても加筆されてます。 元々の雰囲気を損なうことも無く、更には人物描写も細かくなり より一層分かりやすく楽しくなりました。 さて、この4巻は完結編なのですが。 例の【死んだ?とされてた例の人】(ネット小説の方では大人気な 彼でした)が【生きてる】という設定になっており、最後の山場で は、大きな動きを見せます。 最初は「どうなんだろう?」とも思いましたが(生きてる事に)やはり 生きててくれてて良かったですww 人気があるのも頷けます。 【例の人】の主も、彼の存在には救われるでしょう。 肝心の主役達。華鬼×神無は・・・・ もぅ、言うに及ばずです♪ 色々とあった二人ですが(色々と言うには悲惨過ぎますが)最後は、 こんな二人の姿が見れて嬉しい限りです! 途中、二人のラブっぷりや、可愛いやり取りにニヤニヤしっぱなし でしたww 個人的には、終章の神無と実母(早苗)とのやり取り、それを見守る 華鬼に「グッ」ときました。 そして【例の人の主】 あぁ、もう面倒なので実名出しますが(笑) 【例の人】は国一で、【主】は響です。 ネット小説の方では響は救いようのない結末を迎えたぽかったので すが、小説の方ではだいぶ加筆されてます。 (ネットの方に載ってた、番外編を織り込んでの加筆です) 個人的には、主人公達も大好きですが、響×桃子のペアが大好物な ので、結構な割合で加筆されてあったのは嬉しい限りです^^ 桃子の切ない心情や、響の屈折した愛情(爆)を大いに堪能できます。 そして、最後には『主人公達のその後』の番外編も載ってます。 ほのぼのしてて、そして少しホロリともきそうな番外編。 18日からは、サイトの方でパスワードを入れると読める番外編もUP されるようなので、今から楽しみです。 著者様のあとがきでは、書籍の方は一段落だけど、その後も華鬼達 を含む色々を続けていきたいという事で、ますます華鬼ワールドが 楽しみです。 当然、私の大好きペアの響×桃子の動きも見られる?(願望) 気になる方は、まずはネットの方で試し読みしてみても、とても楽し めると思いますよ。 そして、そこにカズキヨネさんの美麗なイラストが加わるので、楽し さは更に倍増!だと思います☆ | |
- 華鬼3 (Regalo)
- 華鬼2
- 華鬼
- お狐サマの旅は道づれッ! (B’s‐LOG文庫)
- あなたは幸せになる
![]() | 今日の風、なに色?―全盲で生まれたわが子が「天才少年ピアニスト」と呼ばれるまで アスコム() ¥ 1,575 |
生まれるべくして生まれた天才ピアニスト(2009-07-17)伸行のことを「全盲のピアニスト」と呼ばないでください。そう、母親の辻井いつ子さんは、世間に向かって訴えます。この本は、それを感じさせてくれる本です。伸行君は全盲であるがゆえに注目されているのではないのです。音楽の才能をもって生まれてきた天才ピアニストであるがゆえに注目されているのです。伸行君の努力の量は半端ではありません。それも、音楽が好きだからこそなせる事なのでしょう。また、伸行君の才能を伸ばすためには、何でも試みようとする母いつ子さんの行動力にも感心させられます。向上心を持って行動を起こそうとすれば、そこには人との出会いが生まれます。伸行君は、そんな中ですばらしい指導者に多く出会います。また、向上心を持った仲間にも多く出会います。向上心を失いがちな、今日を生きる私たちに希望を与えてくれる良書だと思います。 | |
「個性を育てるとは」の1つの解答をみた気がしました。(2009-06-22)盲目のピアニスト、辻井伸行さんがヴァン・クライバーン国際ピアノコンクールで、日本人初の優勝。その快挙がマスコミで報道され、初めて彼を知りました。ニュースやワードショーで彼が取り上げられ、その生い立ちをもっと詳しく知りたい! そんな興味から本著を手にしました。 この本は読みやすく、知りたかった伸行さんの詳しい生い立ちが知れて、まず納得。 次に、私は2児の母ですが、障害児を授かったいつ子さんの心の遍歴が、赤裸々なほどに正直に語られていて、同じ子を持つ母として、非常に共感を覚えました。絶望感すら感じていたいつ子さんが、伸行さんに音楽の才能を見出した時、初めて希望の光を感じたというのも、分かるような気がします。そして伸行さんの成長とともに、「世間一般」「常識」「固定観念」のような囚われから解放されて、伸行くんのありのままを受け入れ、ありのままをより輝かせることを考えられるようになる。そこに到達していく姿に感銘を覚えました。 私はつい子どもたちに、世間一般が求める(または自分が正しいと思っている)「常識」や「型」を、”しつけ”という名の元に、彼らに押し付けようとしてしまいます。 ある程度はそれも必要かも知れませんが、彼らが元々持つ「感性」「才能」「輝き」のようなものを、私は、常識やしつけで潰していた部分はなかっただろうか。彼らの個性という輝きを、見つけたり感じたりする余裕は私にあっただろうか。そんなことを考えさせられてしまいました。 「子供の個性を育てるとは」。 その1つの解答が、育児書の理屈で学ぶよりも分かりやすく、この本に現れているように感じます。 | |
昔、読んだ本(2009-06-09)同じ本を読みました。内容は素晴らしかった。この本はリニューアルでしょうか。どちらにしても、アナウンサーとお医者さんの子供、盲目という苦悩から今に至るのですから、素晴らしい。 | |
- のぶカンタービレ! 全盲で生まれた息子・伸行がプロのピアニストになるまで
- debut
- 川のささやき~辻井伸行サントリーホールLIVE! [DVD]
- ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第2番(DVD付)
- 感動のヴァン・クライバーン・コンクール・ライブ
![]() | 海辺のカフカ (下) (新潮文庫) 新潮社() ¥ 780 |
個人的には傑作(2009-06-30)評価が分かれるのも無理はないかな、と思う部分もありましたし、 明確な「答え」が提示されていないのにもやもやしたりもしましたが、 間違いなく傑作だと思いました。 ものすごく簡単に言ってしまえば、これはある少年の成長の物語。 だけど、とても切ない物語。それを魅力的に書き上げてくれています。 性的表現は露骨ですし、最終的によくわからないまま終わってしまった ふしもありますが、そんなことはどうでもいいのです。 ただ切なく、それでも美しい話でした。 星野青年は第3の主人公です。 彼の考え方は私の考えにとても近いので、非常に身近に感じました。 彼が喫茶店で考えるシーンがとても好きです。 | |
オモローッ!!(2009-06-20)巧みなストーリー展開にどんどん引き込まれて時間を忘れて楽しく読むことができました。この本を読んだここ何日間かは、行き帰り含めトータル30分程度の短い通勤時間が待ち遠しくも感じる充実したひと時だったような気がします。 やはり上質なエンターテイメントは、センスやテクニックの問題も当然あることは確かですが、大前提として作者の世界観とそれに基づくメッセージ性に「深み」がないと成立しにくいものなのだと感じます。そしてこの作品には堪らなく「深み」を感じます。人種の枠を超えて世界中の人々を虜にする理由がなんとなく分かるような気がします。 作品の味わい方については読者により様々な切り口があるかと思いますが、例えば・・・。 「戦争」「平和」といった問題を扱うのは大変困難であり、実際に多くの表現者が果敢にアタックするものの脆くも砕け散っているのではないでしょうか。そんな中、村上春樹はこのような問題に、受け手が納得する「深み」を持ってアプローチできていると思います。 この物語には、登場人物の言動から物語が展開している舞台そのものに至るまで、多くの仕掛けが埋め込まれています。読者は「宝探し」感覚で村上春樹のメッセージをひも解く作業をすることになるのですが、一生懸命ひも解いたものが、極端な話、使い古されたイデオロギーの押し売りであったり、奇を衒い傲慢に人類の普遍性を乗り越えようとした野暮ったいものだったら興ざめですよね。でも、実際多くの映画や小説はその域を乗り越えていないと思うのです。 一方、これは村上春樹の人間性そのものだと思うのですが、この作品では人類の普遍性に対しても、また、我々を取り巻く社会規範のようなものに対しても何も挑まず全て受け入れる強い信念を感じます。そしてその普遍性の中には「知性」がすっぽりと収まり、この作品に多数登場する音楽や文学が構成要素として埋め尽くされていることはあっても、例えば「自由」という名の破壊行為が入り込む余地は一寸たりともなく、「暴力」「戦争」という魔物が目的達成のために利用可能な媒体としての「空白」もありません。 田村カフカ君が過ごした森の中の小さな小屋のように、そのクローズされた空間から逃れ、全てを捨てて森の奥に突き進もうとする行為は、未だ見ぬ自由への探求心であると同時に人間的な崩壊を意味するものになってしまいます。 人間は言葉としては「自由」も「想像力」も好きです。そして人間の普遍性を超えた未知の領域として自由を求めたがり、更にそこに安息地を求めてしまうものです。ときには戦争をしてでも。ひょっとしたら、「そこにはいくら探しても安息地なんか見つからないんだよ」と教えてくれるものが「知性」なのかも知れません。そんなことを感じました。 | |
語り得ないものを語るために(2009-06-16)私は、このような長編小説を読むのは、久しぶりでした。 リアリティーのないストーリー。ファンタジーとも、SFとも言えないような世界。だけど、そのストーリーには、リアリティがある。 読み進むにつれ、リアリティーのないストーリーに、真のリアリティーを感じました。普段のコミュニケーションでは、通じることのできないような、複雑な深層心理を小説に表現していて納得させるからだと思いました。 ふたつの大きなテーマを感じました。『暴力の意味』、そして『記憶と喪失』です。 それから「メタファー」という言葉がキーワードになっているのか?と、思うほど、よく、使われています。私は、これを読者に対するキーワードのように考えました。この小説は、私の心、そして読者の心のメタファーなんだと。 語り得ないものを語るために小説はあると言うのなら、村上春樹さんの小説は、まさしくそれだろうと、思いました。 | |
教養への暴力(2009-06-06)非常に興味深い作品でした。小説は本来前提とする知識を懇切丁寧に提示しないものですが、この作品には詳細すぎる引用がつき、しかも著者の解釈まで述べています。こうして、必要とされる教養を提示し、主題部分に入ります。教養の導入では絶対に誤読を許さない姿勢があるのに対し、主題部分は筋こそ丁寧に解説してありますが、メタファーが一義的には思えず、感覚的に分かっても、言語で説明するのは困難です。教養主義者と共に小中生にも開かれたテキストですが、知識に頼らずどこまで読めるかが測られます。教養人と呼ばれる虚飾を暴力的に否定している大作です。 | |
聖人と使徒の物語と迷える若者の物語の合流点(2009-05-11)舞台が完全に四国に限定される下巻になっても、相変わらず少年の物語と老人の物語は、淡々と並行して交互に語られます。「ハイドン」などの共通項が、トランプゲームの神経衰弱のように配置され、ついに「入り口の石」を巡って、二つの話は合流します。しかし二人は結局出会うことはありません。 そして読者は、著者から叩きつけられた挑戦状を意識するでしょう。ナカタ老人は一体何を象徴し、星野青年は一体何を代表しているのか。大島さんはなぜ登場しているのか。カフカ少年が高知の原野で見たものは… 読者は数々の問いに対して、自分なりの答えを用意しなければならないでしょう。そうでなければ、この小説を読んだ意味はありません。中でも、ナカタ老人が象徴するものについての考察は必須課題かもしれません。 二人の人間の「死」を経て、オイデップス王の場合とは異なり、最後に少年の「生」への前向きな決意で話は終わります。もう一つギリシャ神話と大きく違うのは、「姉」が介在することです。それとの関係性も含め、これからの少年の人生にあれこれ考えを巡らせることにしましょう。それは最後まで読み切った読者へのご褒美でもあります。 | |
- 海辺のカフカ (上) (新潮文庫)
- ノルウェイの森 下 (講談社文庫)
- ノルウェイの森 上 (講談社文庫)
- ねじまき鳥クロニクル〈第1部〉泥棒かささぎ編 (新潮文庫)
- ねじまき鳥クロニクル〈第2部〉予言する鳥編 (新潮文庫)
![]() | ノルウェイの森 上 (講談社文庫) 講談社() ¥ 540 |
独特の世界観(2009-07-21)10年ほど前に読みました。 私の率直な感想からいえば、この作品はもう二度と読まないと思います。 正直なところ、あまり得るものが無かった。 考えさせられるようなことも無かった。 他の方が「深みがない」と表現されているのと近いかも知れません。 しかし、だからと言って駄作と言うつもりもありません。 この作品がこれだけ支持されているということは、小説に深みなど求めていない読者もたくさんいるということ。 つまらないと感じる私から見た村上作品の良さとは、その読みやすさと独特の世界観ではないでしょうか。 非日常的な世界でありながら、ひとたび読み始めれば、あたかも登場人物と同じ時を過ごしているかのようにその世界に浸ることができる。 ノルウェイの森のメロディも、読者の世界観を作り上げる一助となっているでしょう。 登場人物はみな異様なほどに特徴的で、ストーリーの展開も分かりやすく、読者を飽きさせない工夫がある。 読み終えた後に心に残る寂しさや喪失感も村上作品独特のものがあります。 ということで、少しでも気になる方はとにかく手に取って読んでみることをお勧めします。 好きな方はそのまま一気に読み切ってしまうでしょうから。 | |
ふざけているのか…(2009-07-21)初めてこんなに強く、読んだ時間と本の代金さえも返して欲しいと思った。 くだらなさ過ぎて、それが切ない ☆0個 | |
いくつもの出会い/別れ(2009-07-13)今回、初めて村上春樹さんの作品を読ませて頂きました。 まず、感想としては「面白かった」です。 上巻は大体、過去の回想シーンがメインとなる訳ですが、主人公とヒロインの出会い、親友との別れや先輩との出会い、小林緑との出会いなど。 訳ありな人達との出会いを通じて、主人公がヒロインに対して、様々感情を巡らせます。 簡単に言ってしまえば、恋愛ものであり、少し異質な恋愛ものである感じがしますが、こういった言い回しや文章の伝え方は、難しすぎる事がなくて読みやすいと感じます。 また、私はビートルズの楽曲が大好きで、タイトルを言われて曲のイメージがすぐに理解できるということもありますが、情景とビートルズの曲がマッチしていると感じる部分が多かったため、非常にすっと世界に入っていけました。 ※余談ですが、ビートルズを聴きながら同小説を読むのがオススメです。シーンと合わせなくとも、素敵です。 村上春樹さんのほかの作品を読んでいないため、文体や言い回しなどの書きっぷりについて、深くコメントは出来ませんが、様々な人との出会い・別れや、平凡である主人公の偉大さ、周りからの憧れなど、読み進めていて、楽しい作品でしたので、☆5つです。 下巻も楽しみに読ませて頂きたいと思います。 | |
ノルウェイ(2009-07-01)この本に出会ったのは今から20年前、ちょうど高校生の頃だったけど、読んでいて衝撃をうけたのを覚えています。また最近読み返してみたが、色あせるどころか、さらなる鮮明さをもって再び心にうったえかけてくれました。ふと考えてみると、今の自分は小説の中の現在のワタナベ君と同い年なんだなぁと個人的な感傷も覚えたり。 僕の周りでは結構直子が嫌いっていう人、特に女の子が多いのですが、僕にとってはなんていうか、直子という存在は硝子の器のように儚いものの象徴のような気がして、読んでいるととても悲しい気持ちにさせらます。最近映画化の話が出ているが、個人的な感想としては直子はぼんやりとしていて現実味がない、儚い象徴なので映像ではっきりと写されるときっと違和感を感じてしまうと思う。 ゴダールか誰が言った言葉だったか忘れたが、映像は色あせるが文章は色あせないという言葉を聞いた事がある。 僕の中ではきっとこの本はこれから20年先、40年先と生き続けていくものになると思う。 | |
大学生を主人公にした場合の限界(2009-06-26)ハンブルグ空港に着陸するボーイング747に乗った主人公ワタナベが回想したのは、大学時代に見舞いに行った女友だち直子が療養生活を送る京都北山の草原の情景です。自殺した親友の恋人だった直子の心の病を通して、大学1年生ワタナベの人生が大きく揺さぶられていきます。読者は淡々とした描写の中に、登場人物たちの大きな心の変化を読み取るべきでしょう。 そして療養所で直子と同居するレイコさんが、二人のアドバイザーのような立場で人生を語ります。ワタナベが療養所を訪れた最初の夜に彼の床に現れたのは、直子ではなくて実はレイコではなかったのかという疑問は、下巻に持ち越されます。 全般に、大学生を主人公にしているため、私には描かれている世界が世界がやや狭く感じられます。純文学作品として評価の高い理由が今一つつかみきれないのは、私の読書経験の少なさゆえでしょうか。 | |
- ノルウェイの森 下 (講談社文庫)
- 海辺のカフカ (上) (新潮文庫)
- 海辺のカフカ (下) (新潮文庫)
- ダンス・ダンス・ダンス〈上〉 (講談社文庫)
- ダンス・ダンス・ダンス〈下〉 (講談社文庫)


弱々しい物語(2009-06-25)
低俗風。(2009-06-07)
うーん・・・(2009-06-04)
最高傑作(異論は認める(2009-05-08)






