CDD(顧客確認手続き)とAML(アンチ・マネーロンダリング)に関する条項を、業務提携契約書に盛り込む際の具体的なポイントと、その条項案を提案します。
🤝 業務提携契約書に盛り込むCDD/AML条項のポイント
CDD/AMLに関する条項を契約書に含めることで、両当事者が法令遵守の義務を果たし、提携関係におけるリスクを明確化することができます。
1. 目的と適用範囲の明確化
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提携業務において、両当事者が適用される法令(例:犯罪収益移転防止法)を遵守する義務があることを明記します。
2. CDD/KYC(本人確認)の実施
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各当事者が、自己の顧客に対して必要なCDD/KYC措置を講じる責任を持つことを明確にします。
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提携業務の性質によっては、一方の当事者が取得した顧客情報を、AML目的のために他方の当事者に提供する際の条件を規定します。(ただし、個人情報保護法との関係に注意が必要です。)
3. 情報提供と協力義務
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AML目的で、法令に基づき、必要な情報(顧客情報、取引情報など)の開示を求められた場合、速やかに協力する義務を規定します。
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取引の不自然な点や疑わしい取引の兆候を発見した場合の相互報告義務を設けます。
4. 契約違反と解除
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CDD/AMLに関する法令や本契約の義務に違反し、提携関係に重大なリスクや損害を及ぼした場合、契約解除の事由となることを明確にします。
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当局からの指導や処分を受けた場合の責任の分担についても考慮します。
📝 CDD/AMLに関する条項案
以下は、業務提携契約書に組み込むことを想定した条項案です。貴社の具体的な業務内容やリスクに応じて、適宜修正してください。
【条項案】
第〇条(法令遵守及びマネーロンダリング防止)
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甲及び乙は、本契約に基づく提携業務の遂行にあたり、マネーロンダリング及びテロ資金供与の防止に関する一切の法令、規則、及び監督当局の指針(以下「AML等法令」という。)を遵守しなければならない。
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甲及び乙は、自己の顧客、取引先、及び提携業務に関連する第三者(以下「関係者」という。)に対し、AML等法令に基づく**顧客確認(CDD/KYC)**を適切に実施する責任を負うものとする。
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甲又は乙は、提携業務に関連して、関係者について疑わしい取引の兆候を把握した場合、又は法令上疑わしい取引の届出が必要となる事態を認識した場合、直ちに法令に基づき必要な措置を講じるとともに、可能な範囲で速やかに相手方に対しその事実を通知するものとする。
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甲及び乙は、相手方よりAML等法令遵守のために必要な合理的な情報の提供又は協力を求められた場合、法令及び本契約に別途定める個人情報保護規定を遵守しつつ、速やかにこれに応じるものとする。
第〇条(契約解除)
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甲又は乙は、相手方が以下の各号のいずれかに該当する場合、何らの催告を要せず直ちに本契約の全部又は一部を解除することができる。
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... (他の一般的な解除事由)
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... 本契約第〇条(法令遵守及びマネーロンダリング防止)に定める義務に違反し、是正を求めたにもかかわらず相当期間内に是正されない場合、又は当該違反が提携業務に重大な影響を及ぼすおそれがある場合。
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相手方又はその関係者が、AML等法令に違反したことにより、監督当局から業務停止等の重大な行政処分を受けた場合。
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これらの条項を契約書のどの位置に配置するかは、既存の契約書フォーマットによりますが、「法令遵守」や「反社会的勢力の排除」といった項目と合わせて規定することが一般的です。