「意思表示」ってなに?

 

私たちは毎日、誰かに何かを伝えたり、お願いしたりしていますよね。例えば、「今日、一緒に遊ぼう!」と友達に言ったり、「このお菓子、買うね!」とお店の人に伝えたり。

法律の世界では、こういった「〇〇したい!」という気持ちを相手に伝えることを「意思表示(いしひょうじ)」と言います。


 

「意思表示」はどうやって効力を発揮するの?

 

この「意思表示」は、ただ心の中で思っただけでは意味がありません。相手に伝わって、初めて効力を持つんです。例えるなら、手紙を書いても、ポストに出して相手に届かないと、手紙の内容は伝わらないのと同じです。

法律では、意思表示が相手に「到達(とうたつ)」したときに、その効力が生まれると決まっています(これを「到達主義」と言います)。


 

「到達」ってどういうこと?

 

「到達」と聞くと、「相手が内容をちゃんと読んだり、理解したりすること」と思うかもしれません。でも、法律でいう「到達」は、少し違います。

大事なのは、意思表示が書かれた手紙などが「相手の支配できる範囲に入った」ということです。

例えば、

  • 相手の家のポストに手紙が入った

  • 相手が住んでいる家の玄関に手紙が置かれた

このような状態になれば、たとえ相手がまだ手紙を読んでいなくても、「到達した」とみなされます。なぜなら、相手はいつでも手紙を読んで内容を知ることができる状態になったからです。


 

Aさんの郵便の話

 

AさんがBさんに「家を買ってほしい」という意思表示を、書留郵便(途中でなくなりにくい郵便)で送りました。でも、残念ながら郵便局のミスで、この手紙はBさんの家に届きませんでした。

この場合、Bさんの家のポストにも入っていないし、玄関にも置かれていません。つまり、Aさんの手紙は「Bさんの支配できる範囲に入っていない」ことになります。

だから、Aさんの「家を買ってほしい」という意思表示は、Bさんに「到達した」とは言えず、その意思表示は「無効(むこう)」になってしまうんです。せっかく送っても、相手に届かなければ、法律上は何もなかったことになってしまう、ということですね。


 

まとめ

 

意思表示は、相手に「到達」して初めて効力を持ちます。「到達」とは、相手がいつでもその内容を知ることができる状態になること。今回のAさんのように、手紙が相手の支配できる範囲に入らなければ、意思表示は無効になる、ということを覚えておいてくださいね。