弁論準備手続の問題解説
それでは、今回のような法律の問題を例に、具体的な考え方を見ていきましょう。
この問題は「弁論準備手続(べんろんじゅんびてつづき)」という、裁判の進め方に関するものです。裁判では、いきなり証拠を出したり、話したりするのではなく、事前に「これからどんなことを証明したいか」や「どんな証拠があるか」などを話し合っておく「準備」の期間があります。それが弁論準備手続です。
各選択肢の考え方
1.裁判所は,当事者の同意がなければ,事件を弁論準備手続に付することができない。
これは「バツ」です。
裁判所は、裁判をスムーズに進めるために、当事者(争っている人たち)の同意がなくても、事件を弁論準備手続に進めることができます。同意がないと何も進まないとなると、裁判がいつまでも終わらなくなってしまいますよね。
2.弁論準備手続は,当事者双方が立ち会うことができる期日において行う。
これは「マル」です。
弁論準備手続は、裁判所と当事者双方が集まって話し合う場所です。一方がいないと、話し合いになりませんから、原則として両方が立ち会える日に行われます。
3.裁判所は,弁論準備手続の期日においては,文書の証拠調べをすることができない。
これは「バツ」です。
弁論準備手続は、証拠を整理する大切な時間です。文書の証拠(例えば契約書や手紙など)を早く確認することで、裁判を効率的に進めることができます。なので、この段階でも証拠調べはできます。
4.弁論準備手続においては,当事者双方が期日に出頭することができない場合であっても,裁判所及び当事者双方が音声の送受信により同時に通話をすることができる方法によって,期日における手続を行うことができる。
これは「マル」です。
最近は、技術の進歩で、裁判所に行かなくても、インターネットなどを使って声で話し合うことができます。当事者が遠方にいたり、体調が悪かったりする場合でも、手続きを進められるように、このような方法が認められています。時短のポイントとしても、このような新しい制度は覚えておくと良いでしょう。
5.裁判所は,弁論準備手続を終結するに当たり,その後の証拠調べにより証明すべき事実を当事者との間で確認するものとされている。
これは「バツ」です。
弁論準備手続の目的は、その後に「どんな証拠で何を証明するか」をハッキリさせることですが、裁判所が一方的に「これを証明しなさい」と決めるわけではありません。当事者との間で確認はしますが、強制的に証明すべき事実を定めるものではありません。最終的な証明は、その後の手続きで行われます。
結論
以上のことから、正しい選択肢は2と4になります。
このように、試験問題を解くときは、
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問題文をよく読む(特に「正しいもの」なのか「誤っているもの」なのか)
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選択肢一つひとつを丁寧に検討する
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わからないときは、消去法を使う