財産の持ち主が変わるタイミングって?
まず、「所有権」というのは、「その財産の持ち主は誰か?」ということです。例えば、あなたがお店で漫画を買うとき、お金を払って漫画を受け取った瞬間に、その漫画の持ち主はあなたになりますよね?
【原則】「持ち主が変わる!」と決めたら、すぐ変わる
日本の法律(民法176条)では、基本的な考え方として、「持ち主が変わるぞ!」ということをお互いに合意すれば、すぐに持ち主が変わるとされています。
例えば、「この漫画、あなたにあげるね!」「うん、ありがとう!」と口約束しただけでも、漫画の持ち主はもう相手になった、と考えるのが普通です。
【例外】土地や建物の場合、ちょっと違うんです
でも、**土地や建物(不動産)**の場合は、少し特別です。
たとえば、あなたが誰かに「借金を返す代わりに、この家をあげるよ!」と言ったとします。これを「代物弁済(だいぶつべんさい)」と言います。
この場合、あなたが「家をあげるよ!」と伝えて、相手が「分かった!」と合意しただけでは、まだ借金が消えたことにはなりません。法務局に行って、「この家の持ち主は〇〇さんに変わりました」という手続き(所有権移転登記)を完了させないと、借金は消えない、と最高裁判所という一番偉い裁判所が決めています(昭和40年4月30日の判決)。
まとめると、ちょっとややこしい?
つまり、
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「この土地は〇〇さんのものにする!」と決めた瞬間に、土地の持ち主は〇〇さんに変わる(これは原則通り)。
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でも、その土地を借金の返済に使う場合は、法務局での手続きが終わらないと、借金は消えたことにならない。
だから、「持ち主が変わるタイミング」と「借金が消えるタイミング」が、土地や建物の場合はずれてしまうことがある、ということなんです。
試験会場で時短で回答する方法
この解説のポイントは、原則と例外をしっかり区別して覚えることです。
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「所有権は合意の時点で移転する」 → これは原則!
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「ただし、代物弁済で不動産を渡す場合は登記が必要」 → これは例外!
試験で問われたときに、この原則と例外を頭の中でパッと切り替えられるようにしておけば、素早く正確に回答できます。
回答のコツ:キーワードを見つける!
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**「所有権移転」という言葉が出てきたら、まず「合意の時」**を思い出す。
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でも、その前後に**「代物弁済」「不動産」「登記」という言葉が出てきたら、それは例外のパターン**だ!と気づく。
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そして、「所有権移転の時期と債務消滅の時期はズレることがある」という結論にたどり着く。