第4回:サンスクリットの文字 - デーヴァナーガリー文字入門 (3) - 連声(サンディ)の基礎 - 母音同士の結合

皆さん、こんにちは!前回までにデーヴァナーガリー文字の子音、半母音、摩擦音、鼻音について学びましたね。今回は、サンスクリット語特有の音の変化である連声(サンディ)の基礎、特に母音同士の結合について見ていきましょう。

連声(サンディ)とは?

サンスクリット語では、単語と単語、あるいは語幹と接尾辞などが結合する際に、隣り合う音がお互いに影響を受け、音が変化することがよくあります。この音の変化を**連声(サンディ、sandhi)**と呼びます。

連声は、発音を滑らかにするため、また、言語の規則性によるもので、サンスクリット語を理解する上で非常に重要な要素です。特に、仏典は多くの複合語で構成されているため、連声の知識は読解に不可欠となります。

母音同士の連声

今回は、連声の中でも基本的な母音同士の結合に焦点を当てて解説します。

1. अ/आ + अ/आ

  • अ + अ → आ:
    • 例:नर + अहम् → नर + आ + हम् → नराहम (narāham) (私という人)
  • अ + आ → आ:
    • 例:देव + आलयः → देव + आ + लयः → देवालयः (devālayaḥ) (寺院)
  • आ + अ → आ:
    • 例:विद्या + अर्थी → विद्या + आ + अर्थी → विद्यार्थी (vidyārthī) (学生)
  • आ + आ → आ:
    • 例:महा + आत्मा → महा + आ + आत्मा → महात्मा (mahātmā) (偉大な魂、マハトマ)

このように、 अ(a)または आ(ā)の後に अ(a)または आ(ā)が続く場合、結果として हमेशा(常に) आ(ā)になります。

2. इ/ई + इ/ई

  • इ + इ → ई:
    • 例:कवि + इव → कवि + ई + व → कवीव (kavīva) (詩人のように)
  • इ + ई → ई:
    • 例:गिरि + ईशः → गिरि + ई + शः → गिरीशः (girīśaḥ) (山の主 - シヴァ神の異名)
  • ई + इ → ई:
    • 例:नदी + इयम् → नदी + ई + यम् → नदीयम् (nadīyam) (この川)
  • ई + ई → ई:
    • 例:लक्ष्मी + ईशः → लक्ष्मी + ई + शः → लक्ष्मीशः (lakṣmīśaḥ) (ラクシュミーの夫 - ヴィシュヌ神の異名)

同様に、 इ(i)または ई(ī)の後に इ(i)または ई(ī)が続く場合、結果は हमेशा(常に) ई(ī)となります。

3. उ/ऊ + उ/ऊ

  • उ + उ → ऊ:
    • 例:भानु + उदयः → भानु + ऊ + दयः → भानूदयः (bhānūdayaḥ) (太陽の出現)
  • उ + ऊ → ऊ:
    • 例:लघु + ऊर्मिः → लघु + ऊ + र्मिः → लघूर्मिः (laghūrmiḥ) (短い波)
  • ऊ + उ → ऊ:
    • 例:वधू + उत्सवः → वधू + ऊ + त्सवः → वधूत्सवः (vadhūtsavaḥ) (花嫁の祭り)
  • ऊ + ऊ → ऊ:
    • 例:भू + ऊर्ध्वम् → भू + ऊ + र्ध्वम् → भूर्ध्वम् (bhūrdhvam) (地上高く)

उ(u)または ऊ(ū)の後に उ(u)または ऊ(ū)が続く場合も、結果は हमेशा(常に) ऊ(ū)になります。

अभ्यास - 練習問題

以下の単語を連声させてみましょう。

  1. पुस्तक + आलयः = ?
  2. रवि + इन्द्रः = ?
  3. गुरु + उपदेशः = ?
  4. विद्या + आलयः = ?
  5. श्री + ईशः = ?

(解答は次回の記事で解説します!)

まとめ

今回は、サンスクリット語の連声の中でも、最も基本的な母音同士の結合について学びました。これらのルールを覚えることで、複合語の構造が少しずつ理解できるようになるはずです。

次回は、異なる母音同士の連声について解説する予定です。お楽しみに!