WIPO(世界知的所有権機関)は、知的財産権の国際的な保護を促進するための国連の専門機関です。本部はスイスのジュネーブにあります。

国際登録出願(マドリッドプロトコル)は、WIPOが管理する商標の国際登録制度です。この制度を利用することで、一つの出願で複数の国において商標登録を目指すことができます。

 

マドリッドプロトコルの主な利点:

  • 手続きの簡素化: 各国に個別に商標出願を行う必要がなく、WIPOに一つの国際出願を行うだけで済みます。
  • 費用の削減: 個別に出願するよりも費用を抑えられる可能性があります。
  • 一元管理: 登録後の管理(更新、名義変更など)もWIPOを通じて一括で行えます。
  • 広範囲な保護: マドリッドプロトコルの加盟国(約130カ国)に対して、国際登録の効果を拡張できます。

国際登録出願の流れ(概要):

  1. 基礎となる商標登録または出願: まず、自国(またはマドリッドプロトコルの加盟国)において、商標登録を受けているか、商標出願をしている必要があります。
  2. 国際出願: WIPOに対して国際登録出願を行います。通常は、基礎となる商標登録または出願を行った国の特許庁を経由して行います。
  3. 方式審査: WIPOが国際出願の方式要件を審査します。
  4. 国際登録: 方式要件を満たしていれば、WIPOの国際登録簿に登録され、国際登録証が発行されます。
  5. 指定国での審査: 国際登録された商標は、出願時に指定した各国において、それぞれの国の法令に基づいて審査されます。
  6. 登録または拒絶: 指定された国で登録が認められれば、その国においても商標権が発生します。拒絶された場合は、その国の法令に基づいて対応する必要があります。

日本もマドリッドプロトコルの加盟国であるため、日本の商標登録または出願を基礎として国際登録出願を行うことができます。また、日本を指定国として国際登録出願を行うことも可能です。

マドリッドプロトコルを利用することで、海外での商標保護を効率的に行うことができるため、国際的に事業展開を考えている企業や個人にとって非常に有効な制度と言えます。

 

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WIPOの本部はスイスのジュネーブにあります。そのため、WIPOが提供するサービスに関する手数料は、**スイスフラン(CHF)**で設定されていることが多いです。

具体的には、以下の点でスイスフランが関連しています。

  • 手数料の支払い: WIPOへの各種手数料(国際商標登録出願(マドリッド制度)、特許協力条約(PCT)に基づく国際出願など)は、原則としてスイスフランで支払います。場合によっては、米ドルやユーロでの支払いも可能な場合がありますが、基本となるのはスイスフランです。
  • 予納口座: WIPOに予納口座を開設することで、スイスフラン建てで手数料を事前に預けておくことができます。これは、WIPOと頻繁に取引がある利用者にとって便利な仕組みです。
  • 手数料の変動: PCTの国際出願手数料はスイスフランで固定されており、各国通貨での換算額は為替レートの変動によって変わります。

このように、WIPOの活動においてスイスフランは重要な役割を果たしています。