法務とメンタルヘルス対策における職場復帰支援について
職場復帰支援は、メンタルヘルスの不調により休職していた従業員が、円滑に職場に戻るための取り組みです。これには、法務とメンタルヘルスの両面からの配慮が不可欠となります。
法務面からのポイント
- 労働契約法: 従業員の安全配慮義務に基づき、職場復帰後も働きやすい環境を整備する義務があります。
- 労働安全衛生法: 職場におけるメンタルヘルス対策を推進する義務があり、復職支援もその一環となります。
- 個人情報保護法: 従業員の健康情報を取り扱う際には、本人の同意を得るなど、適切な手続きが求められます。
- 障害者雇用促進法: 精神障害のある従業員の職場復帰においては、合理的配慮の提供が義務付けられています。
- 解雇規制: 復職が難しい場合でも、安易な解雇は法的に認められない可能性があり、慎重な対応が必要です。就業規則に休職や復職に関する明確な規定を設けておくことが重要です。
メンタルヘルス対策のポイント
- 復職の可否判断: 主治医の診断書だけでなく、産業医の意見も踏まえ、客観的な判断を行う必要があります。必要に応じて、リワークプログラムの活用も検討されます。
- 復職支援プランの作成: 個々の従業員の状況に合わせて、段階的な復職プランを作成します。
- 職場環境の調整: 復職後の業務内容、労働時間、配置などを考慮し、負担の少ない環境を整えます。
- 周囲の理解と協力: 上司や同僚に対し、復職者の状況を説明し、理解と協力を得るための働きかけが重要です。
- 再発予防: 復職後も定期的な面談や相談体制を整え、再発の兆候を早期に発見し、適切な支援を行うことが大切です。
- 情報共有と連携: 主治医、産業医、人事担当者、職場の上司などが連携し、情報を共有しながら支援を進めます。
具体的な支援の流れ(一般的な例)
- 休職中の連絡: 定期的に連絡を取り、従業員の状況を把握し、復職への意向を確認します。
- 復職の意思確認と情報収集: 従業員から復職の意思表示があった場合、主治医の診断書や意見書を提出してもらい、産業医面談を実施します。
- 復職支援プランの作成: 産業医の意見や従業員の希望を踏まえ、具体的な復職プランを作成します。
- 職場環境の調整: 復職後の部署、業務内容、労働時間などを検討し、必要に応じて調整を行います。
- 復職前面談: 復職前に、本人、上司、人事担当者などで面談を行い、復職後の不安や疑問点を解消します。
- 試し出勤・慣らし勤務: 必要に応じて、短時間勤務や軽作業から段階的に復職する慣らし期間を設けます。
- 復職後のフォローアップ: 定期的な面談や相談体制を維持し、従業員の状況を継続的に把握します。
法務とメンタルヘルスの両面から適切な対策を講じることで、従業員が安心して職場復帰を果たし、再び活躍できるような支援体制を構築することが重要です。