米国では、政府関係者によるインサイダー取引は違法です。これは、一般のインサイダー取引を禁止する法律に加えて、政府関係者に特化した法律や規制によって規制されています。
主な関連法規・規制:
- 証券取引法(Securities Exchange Act of 1934): 一般のインサイダー取引を禁止する主要な法律です。政府関係者もこの法律の適用を受けます。
- STOP TRADING on Congressional Knowledge Act of 2012 (STOCK Act): この法律は、議会議員、議会スタッフ、および行政府職員が、職務を通じて得た非公開情報を用いて個人的な利益を得ることを明確に禁止するものです。STOCK Actは、これらの関係者が、連邦政府、議会、そして国民に対して、非公開情報を不正流用したり、私的な利益のために悪用したりしない義務を負っていることを明記しています。
- 政府倫理規程(Standards of Conduct for Employees of the Executive Branch): 行政府職員に対し、職務上知り得た非公開情報を用いて私的な利益を図ることを禁じています。
- その他: 個別の政府機関や役職に特化した倫理規定や内部規則も存在します。
インサイダー取引の定義:
インサイダー取引とは、会社の役員、従業員、またはその他の関係者が、一般に公開されていない重要な情報(未公開重要情報)を利用して、自社の株やその他の有価証券を売買し、不当な利益を得る行為を指します。政府関係者の場合、職務を通じて知り得た、株価に影響を与える可能性のある政府の政策決定や経済情報などが未公開重要情報に該当する可能性があります。
摘発と処罰:
米国の証券取引委員会(SEC)や司法省が、政府関係者を含むインサイダー取引の疑いがある事例を積極的に調査し、摘発しています。違反者には、民事訴訟による罰金や不正利得の没収、刑事訴訟による罰金や禁固刑などが科される可能性があります。
最近の動向:
近年、政府関係者の株式取引に関する透明性向上や規制強化の議論が高まっています。STOCK Actの改正を求める声や、より広範な政府関係者の株式保有・取引の制限を求める動きもあります。