https://www.yuhikaku.co.jp/static_files/hougaku/pdf/2024E_gyousei.pdf
X1、X2がY市に対して国家賠償法に基づき損害賠償を請求するにあたり、以下の主張をすべきです。
〔事例1〕X1の主張
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A教員の違法な有形力の行使
- A教員は、X1の胸元の洋服を右手でつかんで壁に押し当て、大声で叱責しており、これは児童に対する違法な有形力の行使にあたります。
- X1とA教員の身長差は約40cm弱であり、体格差のあるA教員による上記行為は、X1に恐怖心を与えるものであり、教育上許容される行為として相当性を欠きます。
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国家賠償法1条1項の要件
- A教員はY市立小学校の教員であり、上記行為は職務上の行為にあたります。
- 上記行為は、児童に対する違法な有形力の行使であり、A教員には過失があります。
- 上記行為により、X1はPTSDを発症しており、損害が発生しています。
- A教員の行為とX1のPTSD発症との間には、相当因果関係があります。
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Y市の使用者責任
- Y市は、A教員の使用者として、国家賠償法1条1項に基づき損害賠償責任を負います。
〔事例2〕X2の主張
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B教員の過失
- 本件通知は、サッカーゴール等のゴールポストの転倒による事故防止について、施設設備等の点検や事故防止のための措置に十分に留意することを通知するものであり、本件小学校に配布されていました。
- 本件ゴールは、左右の土台フレームと地面の鉄杭をロープで結んで固定することが想定された構造であり、固定されていなければ転倒の危険性があることは容易に認識できます。
- B教員は、本件通知の内容を知らされていなかったとはいえ、授業前に本件ゴールの固定状況を確認すべき注意義務を怠りました。
- また、B教員は、フットサルゴールが危険で不安定であることを認識していなかったとしても、児童に対してフットサルゴールの危険性を教えるべき注意義務を怠りました。
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本件小学校の安全配慮義務違反
- 本件小学校は、本件ゴールが固定されているかの確認を怠り、安全な状態で体育の授業を実施すべき安全配慮義務に違反しました。
- 校長は、教員に対して本件通知の内容を周知徹底すべき注意義務を怠りました。
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国家賠償法1条1項の要件
- B教員はY市立小学校の教員であり、上記行為は職務上の行為にあたります。
- 上記行為は、教員としての注意義務違反であり、B教員には過失があります。
- 上記行為により、X2は重篤な後遺障害を負っており、損害が発生しています。
- B教員の過失とX2の重篤な後遺障害との間には、相当因果関係があります。
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Y市の使用者責任
- Y市は、B教員の使用者として、国家賠償法1条1項に基づき損害賠償責任を負います。
〔共通事項〕
- X1、X2は、上記主張に加え、Y市の施設管理責任(国家賠償法2条)も主張できます。
- X1、X2は、Y市に対し、慰謝料等の損害賠償を請求できます。