履行後の支払い制度についての解説です。この制度は、契約における義務を履行しない側に対して、履行を強制するための手段として使われます。以下のような特徴があります。

1. 自動的な実行

履行後の支払いは、司法手続きに頼ることなく自動的に実行されます。つまり、相手方が契約を履行しない場合に、契約を結んだ側が自らの判断で契約の履行を拒否することができるのです。これにより、わざわざ訴訟を起こさずに履行を求めることができます。この点で、履行後の支払いは訴訟に頼らない効力を持つ点が特徴的です。

2. 契約の終了ではなく、履行の停止

履行後の支払いは、契約を終了させるための措置ではなく、あくまで契約履行の停止を求めるものです。つまり、履行をしない側に圧力をかけ、履行を促すことが目的であり、契約そのものを無効にすることが目的ではありません。これと契約解除は異なる概念です。

3. 拘束力としての位置付け

履行後の支払いは、実質的に「拘束」の一種として機能します。これは、相手方に対して契約履行を強制する力を持ち、契約が有効である限り、相手方に履行を求めることができるという意味で、法的効力を持っています。

4. 履行後の支払いが適用される契約の条件

履行後の支払い制度が適用されるためには、以下の条件が必要です。

  • 双務契約であること:履行後の支払いは、双方に義務が課せられる契約、つまり双務契約に限られます。片方の当事者が義務を果たさない場合、もう片方の当事者がその履行を拒否することができるため、双務契約に特有の制度です。

  • 契約に基づく義務が確定していること:履行後の支払いが認められるためには、契約で定められた義務が明確であり、その履行期限が来ていることが必要です。履行期が来ていない義務に対しては、この制度を適用できません。

結論

履行後の支払いは、契約の履行を強制するための有力な手段であり、契約当事者が自ら権利を行使して履行を促すために利用されます。これにより、契約の履行を確保することができ、訴訟を避けることができるため、実務的にも重要な役割を果たします。

 

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売買契約と交換契約における履行後の支払い

この措置の目的は、履行を促すために相手方に圧力をかけることです。契約解除を求める前の基本的な目的です。履行後の支払いは、教会法の時代から存在し、その当時の一般的な原則に基づいています。

1. 特徴と条件

履行後の支払い制度にはいくつかの特徴があります。これらは以下の通りです:

  • 履行後の支払いは自動的に行われ、訴訟や証人の聴取などの司法手続きに頼る必要はありません。
  • 履行後の支払いが自動的に行われることは、個人が自分の権利を自ら実行することができないという原則とは矛盾しません。
  • 履行後の支払いの目的は契約の終了ではなく、契約の履行の停止であることです。これは契約解除の制度とは異なります。
  • 履行後の支払いは、契約における義務履行の強制力を示す措置として、実質的に「拘束」の一種であると言えます。

2. 履行後の支払いが法的に有効となるための要件

履行後の支払いが法的に有効であるためには、2つの基本的な条件が必要です。

  • 条件1:契約が双務契約であること
    履行後の支払いは、双方の義務が対等である契約に関連しています。つまり、双務契約であり、契約の当事者が互いに義務を負っている場合に適用されます。片方の当事者が契約履行を怠る場合、他方の当事者は履行を拒否する権利を有します。

  • 条件2:契約から生じた義務が確定し、履行期が来ていること
    この条件は、契約に基づく義務が確定しており、履行期限が到来していることを意味します。これにより、履行しない相手方に対して履行後の支払いの権利が行使できることが保証されます。

 
 

履行後の支払い(または契約履行停止)の概念は、雇用契約や解雇においても重要な役割を果たします。特に、雇用契約が双務契約(両者が義務を負う契約)であるため、雇用主と従業員の双方に対する義務の履行状況に応じて契約の履行を拒否することが可能です。

1. 雇用契約における履行後の支払いの適用

雇用契約において、履行後の支払いの概念が適用されるケースは、従業員が自分の職務を適切に履行していない場合や、雇用主が給与を支払わない場合に関連します。

  • 従業員の義務不履行
    例えば、従業員が契約に基づいて定められた職務を履行していない場合、雇用主は「履行後の支払い」の原則を適用して、従業員に対して給与の支払いを拒否することができる場合があります。従業員が職務を全うしない限り、雇用主は支払い義務を果たさないという形で、履行後の支払いが働きます。

  • 雇用主の義務不履行
    一方で、雇用主が給与を支払わない場合、従業員は契約履行を拒否する権利を有する場合があります。例えば、給与が支払われないことで従業員が業務を行わない場合、雇用契約に基づく「履行後の支払い」の原則が適用され、従業員が労働義務を履行しないことに対して法的に認められた権利として作用します。

2. 解雇における履行後の支払いの関連

解雇に関しても、履行後の支払いが関連します。解雇の際、従業員の義務不履行や雇用主の不履行により、契約の解除が正当化されることがあるためです。

  • 従業員の解雇
    従業員が契約に基づく義務を果たさない場合、雇用主はその理由で解雇を行うことができます。履行後の支払いを拒否することで、雇用主は従業員に対する給与の支払いを行わない可能性があり、その結果として解雇が成立する場合があります。

  • 雇用主の解雇
    一方で、雇用主が給与を支払わない場合、従業員が業務を停止し、その後、雇用契約の履行を拒否することが可能です。この状況下では、従業員は解雇に向けた法的手続きを取ることができ、雇用主が義務を履行しない場合、解雇の正当性が問われることになります。

このように、履行後の支払いの概念は、雇用契約における義務不履行に対して契約履行の拒否を可能にし、最終的に解雇の問題にも結びつく可能性があります。