モロッコと欧州共同体(C.E.E.)との貿易協定に関する議論と、その中で生じた主要な問題点を解説しています。以下にいくつかの重要なポイントを解説します。

  1. 関税の引き下げと製品ごとの優遇措置

    • モロッコは、共同体との協定において、輸出製品に対して50%〜60%の関税引き下げを希望しました。これは、モロッコ製品が共同体市場にアクセスするための関税障壁を軽減するためです。
    • 協定には、製品ごとに特定の期間にわたって優遇措置を提供する規定があり、これによりモロッコの製品が一定期間、関税なしで共同体市場に輸出できることが期待されていました(例:ワイン輸出は年間50,000ヘクトリットルに制限される)。
  2. 野菜の缶詰の生産に関する交渉

    • モロッコの交渉者は、缶詰野菜を「工業製品」として扱い、これに対して完全な関税免除を求めました。しかし、共同体側はこの要求を受け入れず、関税削減は製品ごとに設定され、特定の制限内で適用されることになりました。これにより、モロッコ製品が完全に関税なしで販売できるわけではなく、制限や条件付きで輸出が許可されました。
  3. 最恵国待遇と例外措置

    • 共同体からモロッコへの輸出については、「最恵国待遇」の原則が適用され、モロッコは他の貿易パートナーと同等の待遇を受けることが保証されます。しかし、モロッコがマグリブ地域内の他国や発展途上国に対して特典を与える場合、それを共同体全体に自動的に適用する義務はないことが明記されています。これにより、モロッコは地域経済の発展を促進するために一部の国に優遇措置を与えることができますが、共同体に対する義務はありません。
  4. モロッコ製品に対する輸入制限

    • フランス市場におけるモロッコ製品の輸入について、特別な制限が存在することが問題視されています。この制限は、自由貿易の原則に反する可能性があり、モロッコ製品が平等に市場にアクセスできるようにするためには、この制限を解除する必要があるという問題が提起されています。

この文章全体を通して、モロッコと欧州共同体との貿易協定が、モロッコの経済発展と共同体市場へのアクセスを促進することを目的としている一方で、双方の利益や特定の産業に対する保護のバランスを取るために、いくつかの交渉や妥協が必要であったことが示されています。