台湾現地法人設立における日本本社で管理すべき法務:取締役会議事録について
台湾現地法人設立にあたり、日本本社で管理すべき法務は多岐にわたります。その中でも、取締役会議事録は、会社の意思決定過程を記録する重要な書類であり、法的な証拠力も持ちます。
取締役会議事録の重要性
- 法定記録: 台湾会社法では、取締役会は会社の意思決定機関として位置づけられており、その議事録の作成・保存は法定義務です。
- 証拠力: 訴訟や紛争が発生した場合、取締役会議事録は会社の意思決定が適法に行われたことを証明する重要な証拠となります。
- 内部統制: 会社の内部統制の強化に貢献し、不正行為の防止にも繋がります。
- 将来の参考資料: 将来的に事業計画を変更したり、新たな投資を行う際に、過去の議事録を参照することで、より適切な判断を行うことができます。
日本本社で管理すべき事項
日本本社では、台湾現地法人の取締役会議事録について、以下の点に注意して管理する必要があります。
- 作成・保管:
- 議事録の作成: 議事録は、議題、討論内容、決議事項などを正確に記録し、出席者全員が署名捺印した上で作成します。
- 保管: 議事録は、会社法で定められた期間、安全な場所に保管します。
- 翻訳:
- 日本語訳: 日本本社で議事録の内容を把握するために、日本語に翻訳しておくことが望ましいです。
- 翻訳の正確性: 翻訳は、法的な意味が正確に伝わるように、専門家による翻訳を依頼することが推奨されます。
- 情報共有:
- 日本本社への報告: 定期的に、重要な議決事項などを日本本社に報告し、情報共有を行います。
- 関係者への周知: 必要に応じて、関係部署や関係者に議事録の内容を周知します。
取締役会議事録に記載すべき事項
- 開催日時、場所: 会議が開催された日時と場所を明確に記載します。
- 出席者: 出席した取締役の氏名と役職を記載します。
- 議題: 議題を具体的に記載します。
- 討論内容: 議題に関する討論内容を簡潔に記録します。
- 決議事項: 各議題に対する決議事項を明確に記載します。
- 決議内容: 決議内容を具体的に記載し、賛成数、反対数、棄権数を明記します。
- 署名: 出席した取締役全員が署名捺印します。
その他の注意点
- 電子化: 近年では、議事録を電子化し、クラウド上で管理するケースも増えてきています。
- 機密保持: 議事録には、会社の機密情報が含まれる場合があるため、適切なアクセス管理を行う必要があります。
- 法改正への対応: 台湾の会社法は定期的に改正されるため、常に最新の法改正に注意し、議事録の作成・管理方法を適宜見直す必要があります。
まとめ
取締役会議事録は、台湾現地法人の経営状況を把握し、適切な経営判断を行う上で非常に重要な資料です。日本本社では、法定の義務を果たすだけでなく、会社の利益を守るために、議事録を適切に管理することが求められます。