第2章 人 2 未成年 2.4 弁識能力者の財産後見

第2章 人 2 未成年 2.4 弁識能力者の財産後見

イスラーム法における「弁識能力者の財産後見」について、各学派の規定を概観するために、まずは弁識能力（tamyiz）の定義を確認することが重要です。ハナフィー派では、取引の意義やその結果を理解する能力がある者を「弁識能力者」（mumayyiz）と定義しています。具体的には、『マジャッラ』第943条において、売買契約に伴う所有権の移転や通常の損害と過剰な損害（例：50％以上の損失）の区別ができない者を非弁識能力者としています。これに対し、弁識能力者はこのような区別を正確に理解できる者とされています。

興味深い点として、「弁識能力」や「弁識能力者」という用語は最初期の法学書には現れません。ハナフィー派の法学者であるサラフスィー（490/1096-7年頃没）がこの用語を使用したのが確認できる最初の例とされていますが、それ以前の法学書には見られません。一方、マーリク派においては、イブン・アブドルバッル（463/1071年没）の著作に初めてこの言葉が登場したと指摘されています。

未成年者が弁識能力を備えているかどうかにより、その者が行う財産行為の効力が異なります。イスラーム法における財産行為は、未成年者の保護を考慮しつつ、弁識能力の有無によって、その法的効果が規定されます。各学派における具体的な規定は次のようになります。

• ハナフィー派：弁識能力者が自ら行う取引について、原則としては有効とされますが、監督や後見人の介入が必要な場合もあります。
• マーリク派：未成年者の財産管理については、家族や後見人の役割が強調されており、弁識能力者であっても一定の制限があります。
• シャーフィイー派：弁識能力者の財産行為は一部制限されており、後見人の同意や介入が必要とされるケースが多いです。

それぞれの学派は、弁識能力者に関する規定を独自に発展させてきたため、未成年者による財産行為に対するアプローチが異なっています。このような違いを理解することは、イスラーム法全体の柔軟性と多様性を把握する上で重要です。

الفصل الثاني: الشخص 2- القُصَّر

لتقديم نظرة عامة على أحكام "الوصاية على أموال القاصر المُميِّز" في الشريعة الإسلامية لدى المذاهب المختلفة، من المهم أولاً التأكد من تعريف التمييز (tamyiz). وفقًا للمذهب الحنفي، يتم تعريف "المُميِّز" على أنه الشخص الذي لديه القدرة على فهم معنى المعاملات ونتائجها. وتحديداً، في المادة 943 من "المجلة"، يُعتبر غير المُميِّز هو الشخص الذي لا يستطيع التمييز بين انتقال الملكية في عقد البيع وبين الضرر العادي والضرر الزائد (على سبيل المثال: خسارة تزيد عن 50%). في المقابل، يُعتبر المُميِّز هو من يستطيع فهم هذا التمييز بدقة.

ومن النقاط المثيرة للاهتمام أن مصطلح "التمييز" أو "المُميِّز" لم يظهر في الكتب الفقهية الأولى. ويُعتبر السرخسي، الفقيه الحنفي (المتوفى سنة 490/1096-7 تقريباً)، هو أول من استخدم هذا المصطلح، حيث لم يظهر في الكتب الفقهية التي سبقته. وفي المقابل، يُشار إلى أن هذا المصطلح ظهر لأول مرة في مؤلفات ابن عبد البر المالكي (المتوفى سنة 463/1071) في المذهب المالكي.

ويختلف تأثير التصرفات المالية التي يقوم بها القاصر بناءً على ما إذا كان يتمتع بالتمييز أم لا. ففي الشريعة الإسلامية، تتحدد الآثار القانونية للتصرفات المالية بناءً على التمييز، مع مراعاة حماية القاصر. وتتفاوت الأحكام التفصيلية لكل مذهب على النحو التالي.

英語訳:

Chapter 2: The Person

2- Minors

To provide an overview of the regulations concerning "guardianship over the property of a discerning minor" in Islamic law according to the different schools, it is important first to clarify the definition of discernment (tamyiz). In the Hanafi school, a "discerning person" (mumayyiz) is defined as one who has the ability to understand the meaning and consequences of transactions. Specifically, Article 943 of the Majalla considers a non-discerning person as someone who cannot distinguish between the transfer of ownership in a sale contract and between ordinary damage and excessive damage (e.g., a loss exceeding 50%). In contrast, a discerning person is one who can accurately understand this distinction.

Interestingly, the terms "discernment" and "discerning person" do not appear in the earliest legal texts. The first recorded instance of this term being used is by the Hanafi jurist Al-Sarakhsi (d. 490/1096-7), but it does not appear in earlier legal works. On the other hand, in the Maliki school, it is noted that this term first appeared in the writings of Ibn Abd al-Barr (d. 463/1071).

The legal effect of a minor’s financial actions depends on whether they possess discernment. In Islamic law, financial actions are regulated based on the presence or absence of discernment, while considering the protection of minors. The specific regulations in each school are as follows.

ハナフィー派における未成年者の財産行為に関する後見制度の説明ですね。概要は、後見人からの取引許可の有無に応じて、未成年者の財産行為がどのように評価されるかが規定されています。以下はポイントの要約です。

ハナフィー派における未成年者の財産行為

1. 後見人からの取引許可がない場合:

   • (a) 未成年者にとって利益のみをもたらす行為は有効。
   • (b) 未成年者にとって損失のみをもたらす行為は無効。
   • (c) 利益も損失も伴う行為は、後見人が追認するか取消すかによって決まる。追認された場合、その行為は遡及的に有効となり、取消された場合は無効となる。追認や取消が行われない場合、行為は「効力未定」（mawquf）となり、未成年者が成年に達した際に自ら追認または取消ができる。

2. 後見人からの取引許可がある場合:

   • 取引許可は限定的許可と包括的許可の2種類に分かれる。
     • 限定的許可は、行為の種類や期間を限定するものだが、実際には包括的許可とみなされる。
     • 包括的許可は、取引全般に対する未成年者の行為能力を認めるもので、クルアーン第4章第6節が根拠として引用されることが多い。
     • 「熟慮」（rushd）は財産運用の適性を指し、取引を適切に行う能力を示す。特にハナフィー派やマーリク派では財産運用の適性が重視され、シャーフィイー派では信仰上の適性も含まれる。

結論

この規定により、ハナフィー派では、未成年者の財産行為が後見人の介入や許可の有無に応じて柔軟に対応され、第三者の権利保護や取引の安全性に影響を与えることが分かります。