本件において、XがA市長に対し開発許可申請に必要な同意を求めたところ、A市長が周辺住民の反対を理由に同意しなかったことから、Xは本件不同意通知の取消しを求めて訴訟を提起しています。問題となるのは、この「本件不同意通知」が処分性を有するかどうかです。

法的三段論法

  1. 法的規範の設定(前提)

    • 法的規範: 「都市計画法(以下、「法」)」に基づく開発行為に関して、法30条により開発許可申請を行う際には、当該開発行為に関連する公共施設(道路など)の管理者の同意が必要である(法32条1項)。
    • 処分性の要件: 行政行為が「処分」として取り扱われるためには、当該行為が特定の権利または義務に影響を及ぼすものでなければならない。具体的には、行政行為が具体的な法的効果を引き起こし、相手方に対して直接的かつ個別的な影響を与えるものでなければならない(行政事件訴訟法第3条)。
  2. 事実の適用(事実関係の検討)

    • 本件不同意通知の内容: A市長の通知は、周辺住民の反対を理由に同意をしない旨を通告したものであり、開発行為の許可に関する同意を与えないという行政的な決定を示している。この通知が、Xの開発許可申請に対して具体的な影響を及ぼす。
    • 具体的な影響: Xが開発許可申請を行うためには、法32条1項に基づく同意が必要であるが、A市長がその同意を与えない決定をしたことにより、Xは開発許可申請が進行せず、開発行為を実施するための法的な進行が阻まれている。このような状況は、Xにとって具体的かつ個別的な法的効果を引き起こす。
  3. 結論(法的判断)

    • 処分性の認定: 本件不同意通知は、Xの開発許可申請に対して直接的な影響を及ぼし、Xの法的地位や権利に具体的かつ個別的な変化を引き起こしているため、処分性があると認められる。よって、本件不同意通知は「処分」として訴訟の対象となりうる。