イスラーム法(シャリーア)における契約の有効要件にはいくつかの基本的な要素があり、それらは契約が合法で拘束力を持つために満たされなければならない条件です。以下は、一般的な契約に共通する主要な要件です:
1. 契約当事者の適格性
- 法的能力(Ahliyya):契約当事者は法的に契約を結ぶ能力が必要です。これは通常、成人であり、正気であることを意味します。未成年者や精神的に無能力な者は原則として契約を結ぶことができません。
2. 契約の目的と内容
- 合法性(Mashru’iyya):契約の目的はイスラーム法に照らして合法でなければなりません。違法な活動(例えば、利子付きの貸し借りや禁止された物品の取引)を目的とする契約は無効です。
- 明確性(Mugharrara):契約の内容は明確でなければなりません。不明瞭または曖昧な契約内容は無効とされることがあります。
3. 合意
- 相互の合意(Ijab wa Qabul):契約は双方の当事者による明確な申し込みと承諾(オファーとアクセプタンス)を必要とします。この合意は口頭、書面、または行動によって示されることがあります。
4. 対価
- 対価(Thaman):契約には何らかの対価(例えば、金銭や物品)が伴う必要があります。対価は適正で、かつ明確であることが求められます。
5. 意思の自由
- 自由意志(Ikhtiyar):契約は当事者が自由な意思に基づいて結ばれなければなりません。強制や脅迫による契約は無効とされます。
6. 特定の条件
- 特定の契約条件(Shurut):特定の種類の契約には、その有効性を確保するために特別な条件が要求されることがあります。例えば、売買契約では物品の質や数量の明示、婚姻契約では証人の存在などが必要です。
これらの要件を満たすことにより、イスラーム法における契約は有効となり、法的に拘束力を持つことができます。契約がこれらの要件を欠いている場合、それは無効(Batil)または取り消し可能(Fasid)とみなされる可能性があります。