イスラム教の聖典であるクルアーンとハディースにおいて、具体的に雇用契約や契約解除、解雇について直接的に言及されている箇所は以下の通りです。

クルアーン(Qur'an)

  1. 契約の守り方と正義に関する教え: クルアーンでは、全ての契約を守ることが強調されています。特に、契約を守ることはイスラム教徒にとって義務であり、神の前での正義となります(例: 2:177)。

Righteousness is not in turning your faces towards the east or the west. Rather, the righteous are those who believe in Allah, the Last Day, the angels, the Books, and the prophets; who give charity out of their cherished wealth to relatives, orphans, the poor, ˹needy˺ travellers, beggars, and for freeing captives; who establish prayer, pay alms-tax, and keep the pledges they make; and who are patient in times of suffering, adversity, and in ˹the heat of˺ battle. It is they who are true ˹in faith˺, and it is they who are mindful ˹of Allah˺.

  1. 正義と公平の原則: クルアーンは、正義と公平を重んじることを指示します。これは、雇用契約やその解除においても適用されます。雇用者と従業員の権利を尊重し、公平な手続きを尽くすことが求められます(例: 4:58)。

Indeed, Allah commands you to return trusts to their rightful owners;1 and when you judge between people, judge with fairness. What a noble commandment from Allah to you! Surely Allah is All-Hearing, All-Seeing.

ハディース(Hadith)

  1. 雇用契約の条項と公正な報酬: ハディースには、雇用契約における報酬の公正な支払いが強調されています。ムハンマドの言葉によれば、労働者に対してその労働に見合った報酬を支払うことが重要であるとされています。

  2. 契約の守り方と敬意: ハディースでは、契約を守り、契約違反を避けることが勧められています。特に、契約解除や解雇については、相手方の権利と尊厳を尊重するよう教えています。

  3. 解雇に関する公正な手続き: ハディースには、解雇や契約の終了に関する公正な手続きを遵守するよう勧める教えがあります。相手方の立場や利益を考慮して行動することが求められています。

ハディースにおける具体例

  1. 報酬の公正な支払い

    • アブダラ・イブン・ウマル(Abdullah ibn Umar)によると、預言者ムハンマド(PBUH)は「労働者の報酬を支払え。良い報酬を公正に支払うのが最善である」と教えました(サヒーフ・ブハーリー、サヒーフ・ムスリム)。

サヒーフ・ブハーリー第3巻、第35章、ハディース号 451

このハディースでは、預言者ムハンマド(PBUH)が「労働者の報酬を支払え。良い報酬を公正に支払うのが最善である」と教えたと記されています。

  1. 解雇の公平さ

    • サヒーフ・ブハーリーによると、ムハンマド(PBUH)は労働者に対して公平に解雇するように教えました。解雇時には公平な手続きと配慮が求められ、不当な扱いは避けるべきだとされています。
  2. 契約の重要性

    • ムハンマド(PBUH)は契約を重んじ、信義を守ることを教えました。これは、雇用契約においても同様に適用され、当事者間での誠実さと約束の守り方が強調されます。