「ムダウワナ」(Al-Mudawwana)は、マーリク学派に属する法学者であるイマーム・マーリク・イブン・アナス(Imam Malik ibn Anas)によって書かれた重要な法典です。正確なタイトルは「المدونة الصغرى」(Al-Mudawwana al-Sughra)であり、これは「小さなコード」または「短い法典」を意味します。ムダウワナは、マーリク学派の法学的見解を記述したもので、マーリク学派の法学体系の中での重要な位置を占めています。

以下は、ムダウワナに関する要点です:

  1. 著者: イマーム・マーリク・イブン・アナスは、8世紀のイスラム法学者で、ムダウワナをまとめた。

  2. 内容: ムダウワナは、イスラム法(シャリア)に関する様々な法的見解や判断を収録しています。特に、ムダウワナにはイマーム・マーリクの個々の見解やマディーナの早期イスラム共同体の慣習に基づく法的判断が含まれています。

  3. 主要な法典: ムダウワナは、イマーム・マーリクがイスラム法の基本的な原則として受け入れたハディースと、マディーナの初期のイスラム共同体における実践的な慣習に基づいています。これにより、ムダウワナはムスリム社会での法的問題に対処するための実用的なガイドとなっています。

  4. 影響: ムダウワナはマーリク学派において非常に重要であり、北アフリカや西アフリカ、さらにはアンダルス(イスラム支配下のイベリア半島)においても広く影響を与えました。ムダウワナの法学的原則は、マーリク学派の法学体系の基礎となり、後の法学者たちによって引用され続けました。

  5. 他の作品との関連: ムダウワナは、イマーム・マーリクの別の重要な著作である「ムワッタア」(Al-Muwatta')とも関連しています。ムワッタアはハディースのコレクションであり、ムダウワナはその注釈や洗練された法学的見解を提供しています。

ムダウワナは、特にマーリク学派の法学を学ぶ者やイスラム法に興味を持つ者にとって、重要な資料となっています。