モロッコには、スーフィズムに基づくトランス音楽があります。その中でも有名なのが「グナワ音楽」です。

グナワ音楽は、モロッコ南部のアフリカン・ブラック系の民族グナワの信仰と音楽が融合したもので、スーフィズムの一派であるトリカと密接に関係しています。グナワ音楽は、アフリカン・リズムとアラブ音楽の要素を取り入れ、トランス状態を誘発する重いリズムに乗せた踊りとともに演奏されます。

グナワ音楽は、主にトリカの集会や祭りで演奏され、参加者たちは音楽に合わせて踊り、自己の内面を探求するためのトランス状態に入ります。このように、グナワ音楽は、モロッコの文化や宗教、精神的な側面に深く根付いたトランス音楽であると言えます。最近では、グナワ音楽は国際的にも注目され、モロッコだけでなく世界中でライブが行われています。

 

 

ザッカーフは、スーフィズムにおける踊りの一つで、神への献身や愛を表現するために行われる踊りです。主に中東や北アフリカのスーフィー教団で行われています。

ザッカーフは、特定のリズムに合わせて踊ることが特徴的で、スーフィーたちは、手を振ったり、身体を揺らしたりしながら踊ります。踊りの途中で、スーフィーたちは、しばしば自分自身を中心に回転し、自己の内面を探求するためのトランス状態に入ることがあります。このような回転を行うことを「スピン」と呼び、スピンは、スーフィズムの中で、精神的な浄化や成長を目的として行われます。

ザッカーフは、スーフィーたちが神とのつながりを深めるための一つの方法であり、音楽と踊りを通じて、精神的な成長を目指す人々にとって、非常に重要な存在です。また、ザッカーフは、中東や北アフリカの文化の中で、伝統的な音楽や踊りとしても広く愛されています。

 

トリカは、モロッコやアルジェリア、チュニジアなどの北アフリカ地域で広く行われているスーフィズムの一派です。トリカの中心的な活動は、スーフィーたちが集まって祈りを捧げ、踊り、音楽を演奏しながらトランス状態に入ることです。トリカに参加する人々は、自己の内面を探求し、神との一体感を感じることを目的としています。

トリカには、指導者としての「シェイク」が存在し、彼らはトランス状態に入ることができる特別な能力を持っているとされています。また、トリカは厳格な規律を守ることが求められており、断食や禁欲などの厳しい実践が行われます。

トリカは、スーフィズムの一派として、イスラム教の精神的な側面を重視しています。そのため、トリカで行われるトランス音楽や踊りなどは、宗教的な要素が強く、自己の内面を深く探求することを目的としています。トリカは、北アフリカ地域に根付いた文化的な要素でもあり、その音楽やダンスは、現代の音楽やダンスにも多大な影響を与えています。