ミュンヘンにいた時、ダッハウに行ったことがある。
ダッハウには、ユダヤ人の強制収容所があった場所だった。
拾い敷地の中に、一部のバラックやガス室、焼却炉などが残されており、モノクロの写真とドイツ語による説明が書かれていた。
各国の言語での音声説明もあるのだが、ようやくドイツ語に慣れた頃であったが、話している内容も、書いてある文章もさっぱりわからなかった。
ただ、収容所へ連れてこられた当時の男性たちが写っている写真は、どの男性も筋肉質だったり、ふくよかだったり。
つまり健康そうなのだ。
そして焼却炉前にある山積みになった人々の写真は、骨と皮だけに痩せこけていた。
著者のマンハイマー氏は、著書の中で自分たちのことを『ガイコツ』と称していた。
読んでいくうちにダッハウでみたモノクロの写真を思い出す。
ダッハウを訪れた日は、晴天だった。
バイエルンブルーともよばれる美しい青空の下で、広い敷地内を歩く。
敷地内には小川も流れていた。
目が眩むほどの美しい青空と、陽の光が小川の水に反射していて、この地獄ともいえる場所に、こんなにも美しい場所があったことに驚く。
おそらく収容所にいたユダヤ人が、この小川に来ることはなかっただろう。
平和だからこそ感じる美しさだったのかもしれない。
訪れた当時も写真を撮った記憶はあるのだが、保存媒体が見つけられなかった。
そろそろ写真整理もしなければいけない。
マンハイマー氏は、ミュンヘン近郊に住み、このダッハウにも訪れ、若者たちに当時のことを話していたそうだ。
戦争の記憶を持つ人たちは限られており、もっとわかいうちに興味を持って聴く機会を持てばよかったと後悔する。
今の私にできることは、こうして残された書籍から知っていくことだ。
