今の職場は残業が少なく、たいていは定時、長くても15分ほどの残業で帰れるのだが、ここ最近は30分ほどの残業が続いていた。

 

それでも以前の職場に比べると、はるかに少ない残業時間で、特に不満はない。

 

 

週末の金曜日は、久しぶりに落ち着いて仕事ができた。

同僚たちとゆっくり意見交換もでき、定時にはみんなで職場を出る。

 

いつもなら、風呂、ご飯、片づけ

と、家に帰ってからもなんとなく心が追われるような状態で眠りに着くことも多い。

 

だがこの日は、いつもより1本早い電車にのれたこともあり、ゆっくりと夜の時間を過ごせた。

 

テレビをつけると、歌番組がやっていた。

懐かしい曲も流れていて、そのまま魅入っていた。

 

King Gunというグループが、NHKのサッカーワールドカップの応援歌『Stardom』を歌っていたシーンが流れた。

 

 

 

 

この曲を聴くと、一人の選手が自然と思い浮かぶ。

 

ACモナコ所属の、南野拓実選手だ。

 

言わずと知れたサッカーワールドカップ2022大会では、10番を背負った日本代表。

 

私の職場でも「イケメン」と評判の選手。

 

 

私がミュンヘンの語学学校に通っていた時、南野選手はザルツブルグに所属していた。

 

ドイツがワールドカップで優勝したことを機に、サッカーに興味を持ち始めていたが、恥ずかしながら選手の名前と顔を把握をしていなかった。

 

ミュンヘンで見かけたことがあったのだが、私は彼が日本人なのか、他の国のアジア人なのかもわからなかった。

 

一緒にいた人が、サッカーの南野拓実選手だと教えてくれた。

 

ネットで調べると、20歳になる年のまだ19歳の頃にザルツブルグへ来たことを知った。

すでにプロサッカー選手として活躍していたのに、更なるステップのために単身ザルツブルグへ来た南野選手。

 

 

私はというと、ドイツ語のアルファベットも数字も読めないまま、勢いだけでミュンヘンに来て、毎日ドイツ語では苦労していた。

 

不思議と帰りたいと思ったことはないが、複雑なドイツ語を前に、

なぜドイツ語を学ぼうと思ったのか

なぜドイツに来たのか

このままドイツ生活を楽しめば、別にドイツ語なんて必要ないのではないのか

 

など、マイナスな思考がよぎり、ドイツ語の勉強のモチベーションが上がらなくなったこともあった。

 

そんな時、自分よりはるかに若い南野選手が、語学を磨きながらサッカーに打ち込んでいることを思うと、私もドイツ語を頑張ろうと思えた。

 

私のドイツ生活を支えてくれたのは、友人の存在が大きいが、南野拓実選手の存在もまた、ドイツ語の勉強のモチベーションとなっていた。

 

 

その南野拓実選手が、リバプール、ACモナコと所属は変わっても活躍をされ、ワールドカップでは10番を背負って出場。

 

クロアチアに敗れた時、泣き崩れた姿を思い出すと、今でも涙が出る。

 

あと一歩。

本当にあと一歩だった。

 

20歳の若さで海外に来て、日本では学ぶ機会さえ少ないドイツ語の環境の中で、自分を磨いていくことは、私には想像もできない苦しさもあっただろう。

 

その彼が、今や日本代表の10番を背負うまでに成長されたことは、一ファンとして、嬉しく、また勇気をもらえた。

 

私もまた頑張ろう。

試合を見るたびに思えた。

 

 

 

南野拓実選手に限らず、多くの若いサッカー選手が世界に羽ばたいている。

 

彼らの様子がネットで流れると、前を向いて頑張っている姿に、自然と笑みもこぼれ、私の中にも活力が湧いてくる。

 

前向きに頑張っている人は、見知らぬ人へも活力を与えてくれるのかもしれない。

 

 

 

 

 

 

image

初めてドイツに来た時の飛行機から眺めた景色。

フランクフルト経由でミュンヘンに来たので、これはおそらくフランクフルト上空だと思う。

ツアー以外での初めての海外。

ちゃんとミュンヘンへたどりつくのか心配だった。

 

 

 語学学校の近くに、フルーツのみを扱う屋台があった。

そこのトルコ人のおじさんが、ドイツ語での買い物の仕方を教えてくれた。

 

ブドウといちじくの間にあるフルーツは、

トルコへの留学経験のある方から教えてもらった「座布団モモ」

トルコにもあるらしいのだが、味は日本の桃と似ていて、甘くて美味しい。

でも値段は日本と違って安い。

 

 

思いがけず、久しぶりにゆっくり過ごせた夜。

想い出すのは、なぜかドイツのこと、初めて過ごしたミュンヘンでのことばかりだった。