新しい環境では
じぶんの無力さをことさら感じてしまい、
忘れ去られて干しっぱなしの
ざらざらに毛羽だった古い毛布が
風に吹きつけられているような
なんともいえない不安が胸の奥にはためいているのですが
そんな不安な日々を鎮めてくれたのが
本でした。
大森山王の「あんず文庫」さんで購入した
「遠い朝の本たち」 須賀敦子
あんず文庫さんにせっかく来たのだからと
あまり乗り気なく購入して積読のままだったけど
通勤電車の中で
少しだけ祈るような思いでページをめくるうちに
活字ひとつひとつ、
ことばひとつひとつが震える心をそっと柔らかく包んでくれました。
そうして心を整えて
降車駅で降りることができた毎日。
わたしがずっと笑顔でいられたのは
本のおかげでもありました。
本に、
感謝。