（続いています、しかも会期終了しているネタです
）
東京から名古屋へひとり旅の記録。
そして現代アートの楽しさを。
引き続き名古屋市美術館。
青木美紅
「１９９６」
この作品、素晴らしかったなあ。
遊園地のアトラクションみたいに楽しい。
が、作品の背景には現代医学の生命への介入というストーリーが横たわっていて、
観る者を長い時、動けなくする。
人工受精で生を受けたことを母から知らされた作家自身、
世界初のクローン羊ドリー、
旧優生保護法により強制された不妊手術を拒否し出産、育児、経済的自立を果たした脳性マヒの女性。
1969年を発端とする３つの命をめぐる作品なのです。
母の告白を聞いた作家の自宅居間の再現。
写真の上からラメ糸の刺繍で覆われた部屋。
パタパタと回転する動く紙芝居、
天井を大きくメリーゴーランドのように転回する連続写真
それらはインタビューにこたえる脳性麻痺の女性のインタビューシーンや
自分の出生の秘密を告げた時の母の姿
天井でぐるぐると大きく回ってます。
作品タイトル「１９６９」は
作家の生まれた年
ドリーの誕生した年
旧優生保護法廃止の年
の１９９６年を意味するようです。
ぐるぐる回ってます。
時間の流れ、
命の連鎖、
宇宙の誕生から見たらほんの一瞬の火花のような私たちの命。
「居間」の外側は
壁一面に作家がドリーを訪ねて訪れたイギリスの風景が。
社会に対する強い主張ではなく、
作家が自身の命と心とに向き合い続ける静かな問いかけが
ただ楽しい可愛いきれいなだけではない
作品の強さとなって
多くの作品の中でも心に深く残るのですねえ。
こちらの壁面は
脳性麻痺の女性・小山内さんが立ち上げた障碍者自立支援組織「札幌いちご会」の歴史が一面に。
ここにもひと針ひと針糸が縫い込まれています。
写真は撮らなかったけど印象に残ったのが
カタリーナ・ズィディエラの
「Shoum」
Tears for fearsの大ヒット曲「Shout]を
英語をわからない二人のセルビア人男性に聞かせて
彼らに歌詞を書きとらせるその手元を移し続けた映像作品。
ひたすら流れる「Shout」と
男性の太くいかつい指の、手入れされていない汚れた爪先。
最後は彼らが共同作業で書き取りをした歌詞とも言えない歌詞を
音に合わせて二人で歌い上げる。
それは英語でもなくセルビアの人々の言葉でもない
不思議な音となる。
世界共通言語とされる最強「英語」があっけなく解体され新しいものに再生する。
そのおかしさ。
たくさんの作品を楽しみつつ
胸に迫る思いも受け止めつつ
心臓がおかしな音を立てる。
この風景が日常となっている名古屋ってすごいなあと。
昼ごはん食べてなかったので、
伏見駅の地下街へ潜入。
15時すぎていたのでランチタイム終了している店ばかり。
で、
「び～んず」さんで劇盛り「イタリアンコンビ」を単品で。
子供が好きなものばっかりの劇盛りメニューに大満足。
そのブログはこちら
「プリンセス大通り」
初めて見たときは
昭和の遊園地かと思った（←個人的感覚です）
でも今ではほっとする。
名古屋に来たなと。
そして行くところがないわたくしは、
やはりこの空中庭園に行ってしまい、妙な孤独感と開放感を味わうのでした。
ひとり旅の孤独感ってたまらないものがありますよね・・・。
（つづく）
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