↑こちらの続きです。
その②
家族経営の、地元の酒屋
高2頃だったか、平日も小遣い稼ぎしたくて20時であがれるバイトを探していてたどり着きました。飲食店やコンビニは高校生21〜22時までが多く、門限厳しかった我が家ではNGだったので。
今の若い人は信じられないだろうけど（あっ、我ながら年寄りの言い回し）、あの頃はお酒や煙草を売っているコンビニはすごく限られていた。だから雑誌やちょっとした日配品程度を置いている個人経営の酒屋にも、結構お客さんは来たものです。
酒屋なので日本酒の一升瓶がもちろんあって、当時は贈答用に一升瓶を買いに来る人も結構いた。日本酒を紙巻や、二本括り（二本縛り）、三本括り（三本縛り）、なんてのも練習して上手くなっていた。
当時は2本まるき、3本まるきって呼んでたと思うけどググってもそういった呼び名が出てこないな。
こういうやつ↓（画像お借りしました）
贈答用の箱入り菓子なんかも多く置いていたので、包装スキルは必要で。それは嫌いじゃなかったけど、宅配便の受付（発送料）が理解できずに超テキトーにやっていた記憶。
まだバーコードレジを採用していないようなアナログな店で、商品に貼ってある値札ラベルを姑息に貼り替える常習客がいたな。いつも同じくらいの時間に来るので、店長のタモツが見張ってた。
道路沿いに自販機が並んでいて、煙草は軽いからラクなんだけど、飲料自販機はしんどかった。自販機横のゴミ箱片付けるのも臭くて嫌だった。可燃ゴミは店裏のドラム缶で燃やしてたけど、あれも今は駄目だろうな。
冷蔵庫の飲料補充は極寒で、そのへんに転がっているボスジャンを着てやっていた。
商品落として缶を凹ますと申告して給料天引きされるルールだったけど、20時から閉店までの一時間だけ店番するお爺ちゃんは、「いーよいーよ」と見逃してくれた。店長タモツはケチだった。
この店ではバイトが働くのはは20時までで、最後の1時間レジに座るのは必ずお爺ちゃん。
なんでかというと、推測でしかないが、エロ本販売強化タイムだったんじゃないかと思う。
何回か裏で雑誌の返品作業をやったことあるけど、もうすごかった。時代なのもあるだろうけど、ロリ、ホモ、ＳＭ、熟女等々、ガチ過ぎで高校生には刺激が強すぎた。こんな幼女が、老婆が、どういう事情でこんな雑誌に載るんだろうと不思議で仕方なかった。
表紙を見るだけでもヤバいとわかる雑誌たちを、私がレジに入っているときに持ってきた人はいなかった。その割に雑誌の大半がそんなんだったし、夜に売れていたんじゃなかろうか。
あ、思い出した。
私がレジにいるあいだに一度だけ、「女子高生制服図鑑」みたいな雑誌？季刊誌？みたいのを持ってきた男性がいた。いかんせんバーコードレジではないので値段を見つけないといけない。
なのに裏も表も女子高生のスカートと足がぎっしり並んでいてどこに値段が書いてあるのか全然わからなくて、散々表裏をひっくり返してみていて、お客に恥をかかせた記憶あり。
当時はまだ未成年への販売にうるさくなかったので、同級生が買いに来てもタバコは普通に売ってた。ワンカートン買ってくれたお客さんには100円ライターつけるよう言われていたが、ワンカートン用の長いレジ袋を見たのは初めてで面白かった。
服装がどれだけテキトーでも良くて、当時は丘サーファーみたいな恰好や、逆に私服着ていくところがないからとミニスカートや厚底履いたりしても自由だった。爪も何も言われないので伸ばしてネイルもいつもしていた。そんなことは飲食店や大手コンビニではNGだろうから、それも気持ちよかった。
当時は地下鉄サリン事件があった頃で、タモツは「ポア」という言葉が気に入っているようだった。時間になっても来ないバイトがいると「まったく！ポアしちゃうぞ！」とか、寄合に来ない人がいると「ポアされちゃったかな！？」とか言って誰も笑ってないのにひとりでウケていた。
レジに入ったときはお客がこないときは座って雑誌読んでてよかったし、悪いバイトではなかった。
そういえば裏で帳簿つけみたいのも何回かやらされたことがある。電卓叩くなんてほぼやったことないから何度やっても計算が合わなくて、合っていても合ってなくても、合っていることにしていた。
いま思うとあんなにいい加減にやったバイトは、後にも先にもこの店だけな気がする。
タモツがいい加減だったからだと思う。
そういえば、この店ももう無いな