西川美和監督(脚本)。
山村の僻地で働く初老の医師・伊野治(笑福亭鶴瓶)。
誰も行きたがらない田舎で役場から年収2000万円で契約していると冒頭わかります。
皆から慕われているベテランで都会から来た研修医の相馬啓介(瑛太)もその人柄に惹かれていきます。
ある日、伊野医師が突然失踪します。
相馬は必死で探しますが、白衣だけ発見されます。
なぜ伊野は失踪したのでしょうか。
ドイツ語で“ムンテラ”という言葉があります。
耳にしなくなって随分久しくなりますが、私の学生時代はまだ耳にした言葉でした。
伊野は“ムンテラ”だけは他の医師にない優れたものを持っていました。
だから診療所の唯一の看護師大竹(余貴美子)や研修医の相馬(瑛太)は正体を知りながらも慕ったのでしょう。
コストパフォーマンス重視の世の中では患者や家族の要求に応えるために、
ブラック・ジャックや古和(2巻8話「古和医院」)のような“医師”が稀有な存在になるのでしょう。
まさに私たちが望んだ結果だといえます。