「観察という本来の態度に立ち返り、あらためて精神疾患のパターンを確認し理解しようというのが本書の狙いである。」(はじめに)
シャーロック・ホームズも重視した“観察”。
現代ではコスパの悪いものとしてほとんどの治療家(に限らず)に軽視されているといって過言ではあるまい。
そんなことしなくてもデータ分析(画像診断や検査の数値)の方が客観的で優れていると考えられているからです。
人間を対象にした場合、データだけでは思う通りに行かないのはどの分野にでも当てはまります。
「家族の精神的余裕は問題解決の重要な手掛かり」(222頁)
「人間は常に最適解を選ぶとは限らないし、最短距離を歩くとは限らない」(239頁)
「私は人にとっての幸せとは何なのだろうと考えずにいられなくなる。」(234頁)
治りたくない患者、執行猶予期間を病気に求める患者もいます。
またクレーマーや暴走老人などサービス業に関わる人にとっては他人事では済まされない問題も
考察されています。