電話をした頃から、K君とのLINEのやり取りは「もうこれは付き合ってるんじゃ…」という感じになっていた。

昔からそういう人だったけど、K君からは結構、思わせぶりなLINEが届く。ただ、はっきり好きとは言ってこないし、私が送るLINEはもっと淡白だ。

これではK君は私の気持ちに気づかないかも。


ちょうどその頃、昔の友人・ミナミさんとランチをした。

例の占い師さんを紹介してくれた友人で、結婚歴二回の美魔女。今は教授夫人で、私から見たら恋愛マスターのような人。

恐る恐るK君の話を相談した。

出会った経緯、占い師に言われた内容、最近はなんだか付き合ってるかのようなやり取りをしていること。自分のなかでどうしてもお互い既婚者という罪悪感があることや、K君がそれをどう思っているのかが謎であること。


ミナミさんはあっけらかんとしていた。

「えー?何が悪いの?ちび子さんの心はちび子さんのものでしょ?あなたの人生じゃない。何が悪いわけ?」

なんだか妙にシンプルだった。

それもそうかと心に響いた。

それから、「私だったら、どう思ってるの?とすぐ聞いちゃうけどな。だって、相手の気持ちがわからずにいてもしょーがないじゃない。それでダメなら、さっさと終わらせる。時間がもったいない。」

これまた、潔い。さすが恋愛マスター・ミナミさん。ミナミさんのアドバイスを受けて、素直な私はすぐ考え直した。


既婚者のK君に既婚者の私が気持ちを伝えては絶対にいけないとずっと思ってきたけれど、こんな中途半端な関係になった今、むしろ黙っている方がずるいのではないかと。

もしも、K君がただの後輩として付き合ってくれているとしたら、私に恋心があるなら距離を置きたいと思うかもしれない。

もしも、両思いでも、このままお互いの気持ちをはっきりさせず、ズルズルとやり取りをするよりも、ちゃんと互いにどうしたいのか、確認し合う方が良いのではないだろうかと。


告白するとしたならば。

長距離運転の多いK君がびっくりして事故など起こさないように、平日でない方がいいのではないだろうか。

来週はクリスマス。再来週は年末になる。

どちらも家族で過ごすべき日。そこを避けての休日は…。ああ、もう明日しかないじゃん!

ミナミさんとランチした次の日。12月22日(日)。

何かに背中を押されるように、気がついたらK君に告白LINEを送っていた。


54歳、人生で2度目の告白。

思っていたよりあっさりと送ってしまい、自分でびっくり。むしろ電話を初めて(正しくは30数年ぶり)かけた時の方がよほど緊張してたかも。


今思うとこの恋は、不思議なくらい、その都度何かに背中を押されてきたような気がしている。