なぜ停めない?三国ヶ丘駅 | 京阪大津線の復興研究所

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大津線とは、京阪の京津線と石山坂本線の総称です。
この大津線の活性化策を考えることが当ブログの目的です。
そのために、京阪線や他社の例も積極的に取り上げます。

読み:みくにがおか

所在:大阪府堺市堺区向陵中町二丁

開設:1942(昭和17)年2月15日

乗降人員:39,804人(2016年)

隣駅:堺東(1.5km) ←→(0.9km) 百舌鳥八幡

 

南海高野線において、中百舌鳥とともに「なぜ停めない?」の双璧をなすのが、JR阪和線との接続駅である三国ヶ丘です。阪和線は「関空快速」「紀州路快速」を含め、特急以外の全ての列車が停まるようになりましたが、高野線の優等列車は準急しか停まりません。

 

隣駅の堺東がその名に反して市の中心部にあるため、三国ヶ丘で阪和線から高野線に乗り換えてくる利用客は少なくありません。一方で大阪市の都心へは、所要時間や停車本数、運賃などの面で阪和線のほうが有利です。

 

また、高野線の百舌鳥八幡以南から関西空港や和歌山方面へは、天下茶屋で南海本線に乗り換えるよりも、三国ヶ丘から阪和線を使ったほうが近くなります。よって、南海にとっての三国ヶ丘は、利用客の流入を期待するよりも、流出を警戒すべき駅という位置づけになります。

 

実際、高野線の最混雑区間は百舌鳥八幡―三国ヶ丘間です。あれこれ言っても中百舌鳥は御堂筋線への流出客より泉北線からの流入客のほうが多いですが、三国ヶ丘は事情が異なるのです。このため、南海が優等列車の停車拡大をためらうのも理解できなくはありません。

 

しかし、前回述べた泉北高速鉄道との乗継割引拡大により、泉北沿線から天王寺へ向かう際に、中百舌鳥で御堂筋線に乗り換えるより三国ヶ丘から阪和線を利用したほうが安くなるケースが生まれました。例えば、和泉中央―天王寺間の普通運賃は、前者が320+280=600円なのに対し、後者は(320+150)-100+220=590円となります。

 

その差はわずかですが、2社より3社にまたがるほうが安くなるのは稀なことであり、南海が泉北との乗継割引を20円から100円に拡大した効果が表れています。割引額は50円ずつなので、南海の取り分は150-50=100円に留まりますが、中百舌鳥―三国ヶ丘間の1.6kmでそれだけの収入が得られるのは慶事です。

 

問題はダイヤです。昼間時の泉北線では毎時8本のうち半数を区間急行が占め、残りは準急2本・各停2本です。区間急行と準急は難波直通ですが、各停は中百舌鳥折り返しで、しかも高野線の各停との接続が良くありません。泉北沿線から三国ヶ丘へ直通するのは準急だけであり、各停同士の乗継を含めても、利用できるのは毎時4本のみです。

 

阪和線が「関空快速+紀州路快速」と区間快速を合わせて毎時8本の優等列車を運転しているのに、南海側がこの有様では意味を成しません。この状況では、目的地が天王寺であっても中百舌鳥で御堂筋線に乗り換える客が多いと考えられます。

 

前回の記事で、準急の停車駅から百舌鳥八幡を外した上でラッシュ時の泉北系統の区間急行を置き換える案を示しましたが、昼間時は逆に準急を泉北線内折り返しの各停に置き換え、毎時4本の中百舌鳥停車列車を維持すれば十分です。

 

すなわち、収益性の低い定期客輸送が主体となるラッシュ時には中百舌鳥での流出客増加をある程度容認し、その代わりに昼間時は区間急行を前面に立てて御堂筋線に競争を挑むということです。

 

ただし、それを行うには、区間急行を三国ヶ丘に停めることが前提となります。その場合、準急との違いは中百舌鳥に停まるか停まらないかだけになりますが、同駅の影響力の大きさを考えれば、種別を明確に分けておくべきでしょう。

 

さらに、中百舌鳥で泉北線内折り返しの各停と高野線の各停を1分以内に接続させれば、泉北沿線から三国ヶ丘への利便性は大きく向上します。

 

昼間時の泉北準急を廃止すれば、難波への直通列車が毎時6本から4本に減りますが、中百舌鳥での各停同士の接続に加え、堺東で各停と急行(または快速急行)の緩急接続を確保すれば、乗車機会は逆に毎時8本に増えます。

 

これらの処置を行えば、特急の割り込みがある場合を除いて各系統の運転間隔が15分毎に統一され、バランスのとれたダイヤになります。

 

 

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