山陽の昼間時のダイヤは、直通特急と普通がそれぞれ15分毎に走るのが基本です。直通特急の基本停車駅は、山陽姫路・飾磨・大塩・高砂・東二見・山陽明石・舞子公園・山陽垂水・山陽須磨・月見山・板宿・高速長田・新開地・高速神戸・元町・阪神三宮・御影・魚崎・芦屋・西宮・甲子園・尼崎・阪神梅田です。
直通相手の阪神は10分サイクル(正確には20分サイクル)なので、そのままでは山陽とつながりません。そこで、半数の直通特急の停車駅に須磨寺・東須磨・西代・大開・西元町を加えて5分遅らせ、阪神線内で20分毎と10分毎の交互運転となるように調整しています。この時間調整型の直通特急は、結果的に山陽須磨―阪神三宮間で各駅停車となります。
これらに加え、須磨浦公園―阪神梅田間の特急(須磨浦公園―阪神三宮間各駅停車)が30分毎に運転され、阪神線内では10分毎に特急が走ることになります。一方で、山陽姫路からの普通の半数は三宮に入らず、山陽須磨折り返しとなっています。
直通特急設定当初の山陽姫路―阪神梅田間の最短所要時間は87分でしたが、停車駅増加の影響で現在は93分となっています。「時間調整型」の場合はさらに5分が加算されます。姫路―大阪間を最短61分で結ぶJRの新快速と直接比較するのは意味をなさないとしても、設定当初より6分も遅くなっているという事実は見過ごせません。
直通特急の一部区間を各停化して時間調整を図り、普通を間引くのは前向きとは言い難い施策です。半数の直通特急の停車駅を、現在の速達型よりも逆に5駅減らすことで時間調整を図るというのが本来あるべき姿ではなかったでしょうか。
ただし、これはダイヤのサイクルを合わせられない場合の苦肉の策であり、サイクルを統一できるならそれに越したことはありません。阪神にサイクルを合わせることが本当にできないのか、改めて検討する必要があるでしょう。
山陽の昼間時のダイヤは、直通特急と普通がそれぞれ15分毎、1時間に片道8本走るのが基本です。実際の乗車率を見ると、直通特急はまだしも、普通は相当空いているのが現状です。20分毎に直通特急2本・普通1本に変更すれば1時間に片道9本となり、全体の運転本数をあまり増やすことなく阪神にサイクルを合わせることができます。
山陽姫路からの普通は現状通り山陽須磨止まり(東須磨まで回送して折り返し)とし、これとは別に須磨浦公園―阪急三宮間に区間普通を10分毎に運転します。それと引き換えに直通特急の神戸側の停車駅を整理するのがよいでしょう。逆に須磨浦公園以西では、比較的乗降客の多い数駅に直通特急を半数ずつ選択停車させれば、普通減便の影響は最小限に留まります。
直通特急を20分毎に2本とすれば供給過剰気味となりますが、これはむしろ新規需要開拓の好機と捉えるべきです。 具体的には、直通特急の半数を阪神三宮―近鉄奈良間の快速急行と一本化すれば、山陽沿線から大阪難波や奈良方面への直通ルートを形成できます。
この場合、阪神梅田への直通特急は1時間に4本から3本に減少しますが、快速急行から梅田方面への接続を適切に行えば、利用機会は逆に6本に増加します。もっとも、そのためには阪神線内のダイヤ調整が不可欠です。
とりあえず山陽内に限定して話を進めると、現在の直通特急の基本停車駅は、山陽姫路・飾磨・大塩・高砂・東二見・山陽明石・舞子公園・山陽垂水・山陽須磨・月見山・板宿・高速長田・新開地・高速神戸・元町・阪神三宮です。ダイヤ改正時には、直通特急が大塩・山陽明石・山陽須磨で、快速急行が東二見・霞ヶ丘・山陽須磨でそれぞれ普通を追い越せば、20分サイクルに無理なく収まります。
須磨浦公園―阪急三宮間では普通が10分毎に走ることになるので、直通特急と快速急行は月見山・高速長田を通過させて構わないでしょう。また、阪急との接続は新開地でも可能なので、思い切って高速神戸も停車駅から外すべきです。これらに加え、神戸高速鉄道線内の最高速度を65km/hから85km/hに向上させれば、懸案である神戸市内のスピードアップが実現できます。
一方、須磨浦公園以西では普通の本数が減少するので、直通特急の停車駅に荒井を加え、快速急行の停車駅に滝の茶屋・白浜の宮を加えます。さらに、比較的需要の大きい駅が連続する高砂―東二見間に区間普通を20分毎に運転するか、もしくはその中で最も乗降客の多い別府のホームを6連対応にして直通特急の停車駅に追加するのが妥当です。
JRへの旅客流出の影響もあり、現在の山陽の最混雑区間は西新町→山陽明石間となっています。なるべく長い距離を乗ってもらうためにも、今後は近距離区間の輸送を普通に任せて優等列車を速達化する「遠近分離」の発想が重要になります。
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