大津線と東西線の関係 | 京阪大津線の復興研究所

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大津線とは、京阪の京津線と石山坂本線の総称です。
この大津線の活性化策を考えることが当ブログの目的です。
そのために、京阪線や他社の例も積極的に取り上げます。

今回からは、【京阪大津線の復興計画書】の「第1章 大津線の収支改善策」の内容を紹介します。


京津三条―御陵間が廃止された今となっては、大津線から京都都心への直通ルートは地下鉄東西線だけです。

『都市交通年報』によれば、1998年度に大津線と東西線を乗り継ぐ利用客は、1日あたり11,857人でした。京都都心への直通客が11,351人(定期客6,780人・定期外客4,571人)、醍醐方面への乗り換え客が506人(定期客242人・定期外客264人)という内訳です。

これに対して、2009年度の京阪山科―御陵間の通過人員は、1日あたり6,086人(定期客2,982人・定期外客3,104人)にまで減少しています。

その原因として考えられるのは、2001年5月に東西線の三条京阪―山科間で実施された定期運賃の値上げと、2006年1月に京都市営地下鉄全線で実施された普通運賃と定期運賃の値上げです。

『都市交通年報』では、1998年度以降の東西線のデータが公表されていません。このため、2009年度の「1日あたり6,086人」に占める京都都心直通客の割合は不明です。

ただ、御陵で大津線と東西線醍醐方面を乗り継ぐ利用客は、1998年度(506人)からほとんど変わっていないと推測されます。

東西線の二度の運賃値上げにおいては、京阪と東西線の定期運賃の乗継割引が大きく縮小されましたが、醍醐方面は初めから乗継割引の対象外であり、値上げの影響が相対的に小さかったと考えられるからです。

さらに、醍醐方面がJRと直接競合しないこと、2004年11月の醍醐―六地蔵間延長により利便性が向上したことなどからすると、1998年度の水準は維持していると考えるのが妥当です。

加えて、詳しくは次回で述べますが、京阪山科―御陵の1駅間のみの利用客が1日あたり1,385人(定期客488人・定期外客897人)程度存在すると考えられます。

これらを考え合わせると、2009年度の大津線と東西線の直通客数は、6,086人-(506人+1,385人)= 4,195人(定期客2,252人・定期外客1,943人)程度であると推計されます。

これは、1998年度と比べて7,156人(定期客4,528人・定期外客2,628人)の減少であり、減少率は63%にも達します。

『鉄道統計年報』によれば、大津線全体の1日あたりの利用客は、1998年度が48,107人、2009年度が43,616人で、その差は4,491人です。

つまり、大津線の他区間の利用が微増傾向にある一方で、東西線直通客の減少が大津線全体の利用減に直結しているのです。したがって、この間の収入減(1日あたり663万円から601万円へ、62万円減少)も、直通客の減少に起因していることになります。

上記のように、京阪はこの間に運賃の値上げを行っていないのですが、自らの努力だけでは直通相手の値上げまでは防げません。

しかも、その値上げが自社の増収に結びつくわけではなく、逆に利用客の減少というかたちで減収に直結します。

京都都心へのルートを東西線に委ねている以上、「受け身」にならざるを得ない立場にあるのが、大津線の現実です。


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