(真の幸福とは?)
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「女子部幹部会」へのメッセージ、1996年)
(下)
苦難のなかで、人から見れば不幸のようでありながら、一福の名画のごとき幸福境涯を、毅然と築いている方も、多々おられる。
若き日の悲運を耐え抜いて、人の何倍も苦労を重ねた分、人の何倍も豊かな人生を送ることができる。
一生の総仕上げの時に、偉大な生命の力を発揮できる。
順調なばかりでは、本当の幸福を実感できようはずがない。いわんや、安逸のなかに幸福の宝はない。
奥深い山谷に、汗を流して分け入っていかなければ、幸福のダイヤモンドは採掘できない。
賑やかな街で遊び、楽をしていては、決して採ることはできない。
スコットランドの有名な民衆詩人、ロバート・バーンズは、「幸福」についてこう謳っている。
「もし幸福(さいわい)が其の座と中心を
胸にもっていなかったならば、
賢かろうと、金持ちだろうと、偉かろうと、
到底幸福(さいわい)ではあり得ない。
財宝も 快楽も、
長く私どもを幸福にはせぬ。
心こそ常に人の幸不幸を
定る器官だ」(『バーンズ詩集』)
要するに、一切の不幸も、幸福も、生命のなかに全部ある。まさしく、「心こそ大切なれ」なのである。