(『未来対話』より)
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ー 池田先生の『若き日の日記』を拝読すると、多忙を極める激闘の中で、心豊かに芸術に触れておらえたことが記されています。
「一流にふれよ!」との戸田先生の教えの通り、努力しました。先生の事業を必死に支える一日一日だったから、それも真剣勝負の戦いでした。
小さなアパートの一室では、よくレコードを聴いたものです。ベートーベンの交響曲第五番「運命」や第九番が流れると、その時だけは、狭い部屋が、荘厳な大殿堂に変わった。
後輩たちが来た時には、スッペの「軽騎兵」序曲などを一緒に聴いて、共に胸を高鳴らせた。
時間のない中だからこそ、一曲の名曲も、一冊の名著も、一枚の名画も、若き生命に鮮烈に刻み込まれたのです。
何と言っても、私にとって最高の「一流」との触れ合いは、戸田先生との対話でした。
戸田先生は、天才的な大学者であり、青年をこよなく愛する大教育者でした。
何ものも恐れない信念の師子王であり、庶民の母をこよなく大切にされる慈愛の人間指導者でした。
その恩師に徹底して薫陶していただいたことが、私の最大の誉れです。