(『未来対話』より)
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ー ユゴーは、激動の十九世紀に、民衆へ魂の光を送り続けた偉大な闘士です。権力の迫害にも屈せず、勇敢な闘争を貫きました。
そのユゴーも、幼少のころは体が弱かった。また何度も引っ越しせねばならない、なかなか落ち着かない暮らしでした。
その中で、母はユゴー兄弟にたくさんの本を読ませました。この読書が大きな力になったのです。
私塾を開いた老人からも、多くのことを学びました。ラテン語やギリシャ語も教えてくれました。
ユゴーは、後に、「幼年時代の三人の教師」として、母と、この老人と、そして美しい庭(自然)を挙げています。
また九歳の時、スペインを旅行して、そこで見た建築物や彫刻に感動し、芸術の心が目覚めました。
さまざまな良き人との出会いや書物との格闘、美しい自然や芸術との語らいが、ユゴーの心を深く、大きく、豊かに育んでいったのです。
ユゴーのように、青春時代に、素晴らしいものや、優れた人物に触れておくことが、どれほど大事か。
自分自身の感動の体験が、やがて、多くの人を感動させ、喜ばせていく力をつけることにも、つながるのです。