その時、僕はふっと思ったのだ。
もしかして、自分が【 現実 】だと感じているこの世界は、本当は自分の思い通りになるのかもしれないと・・・!
その方法を、僕が知らないだけではないのかと。
なぜなら世界には、笑顔で面白おかしく生きている人が沢山いることを、薄々感じていたからだ。
それまでにも、沢山の成功法則などの本を読んで勉強していたが、それを自分の実際の人生に生かすことができないでいたのだ。
そこで僕は、どうしたら人生を変えることができるか、徹底的に調べ始めたのだ。
するとまず、自分自身を好きになって、自分自身を愛することで、人生を変化させることが出来るかもしれないということが分かってきたのだ。
この考えが思いた背景には、じつは昔見た映画にヒントを得ている。
それは、ジム・キャリー主演の1998年公開のアメリカ映画【 トゥルーマン・ショー 】だ。
この映画のエピソードが、僕の心の底にとても深く残っていたのだ。
主人公のトゥルーマンは、保険会社のセールスマンとして毎日を判で押したように過ごしている。
そうやってトゥルーマンはマジメに30年間生きてきたのだ。
しかし実は、トゥルーマンは生まれたときから、私生活の全てを24時間撮影され、生放送で全世界に放映されていた。
誕生が望まれていなかった赤ん坊の中から選ばれ、人生を映画セットの中で生かされることになったのだ。
トゥルーマンの人生、生活の一部始終が、そのまま【 番組 】として、世界220ヶ国に放送されているのだ。
トゥルーマンは、映画セットの中から一歩も出たことがない。
ものすごく巨大な映画セットの中にいることを、トゥルーマンだけが知らないのだ。
今の目の前の自分の人生である【 現実 】が本当の世界だと思い込んでいるのだ。
周囲の人物は、父母や友達、妻や恋人、職場の同僚、町の人、全てが俳優やエキストラなのだ。
知らぬは、当人トゥルーマンだけなのだ。
トゥルーマンだけが、映画の世界を【 本当の世界 】だと思い込まされているのだ。
この映画を観て、僕も自分自身の姿をトゥルーマンに重ねたことが何度もあった。
映画という作り物のドラマであることは分かっているのだが、自分の今の人生の状況があまりにもこの映画に似通っていたからだ。
20年間地方公務員として、家と職場を往復し、毎日を判で押したような生活。
海外旅行も国内旅行も本当にどこにも行ったこともなく、ハツカネズミのように、本当に小さな場所で、小さな世界で、上司や同僚に気を使いマジメにマジメに生きていること。
内心は怒りと不安と恐怖の塊で、今の自分の人生が嫌で嫌でたまらないこと。
なんとしても、ここから抜け出したくて仕方がなかったこと。
今の人生を変えたら、その後はどうやって生きていっていいのか分からないこと。
そして、未来のことも思い描くことができないこと。
ここしか、自分が生きる事が出来る世界はないのだと思っていること。
自分の世界は、変えることは出来ないと思っていること。
今、自分が感じている世界が【 本当の世界というもの 】だと思い込んでいること。
ここまで僕自身の人生をそのまま表現していたこの映画は、僕自身のことを言っているのではないかと、そう思えたのだ。
僕にとっては、この映画はただのエンタテイメントとして片付けることができなかったのだ。
もしかして、もしかするかもしれない!
そう閃いた瞬間だった。