《王子を想う人魚姫》いわさきちひろ
〜絵本「にんぎよひめ」1967年
この絵の人魚姫は、
「まだ何も始まっていないけれど、
心だけはもう深く動いてしまっている」
そんな境目にいるようだと…。
ちひろさんの色使いは、淡く滲んでやわらかい。
深い青緑の海へ消えてしまいそうな儚い想い。
誰にも言えない心の内。
東京のちひろ美術館にも何度か訪れましたが、
行くたびに心に何か残る場所です。
ちひろさんは、
アンデルセン童話の人の世の悲しみや現実、
心のひだを描くところに強く共鳴していたとのこと。
こういう繊細な感情を味わえるのも、
現世に人として生きている間の
貴重な体験となるのでしょう。
魂に帰ればすべて忘れてしまうとしても…。
