敗因分析 平成25年民事系第2問〈140点代前半〉 | ついたてのブログ

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続いて今年の商法です。

設問1前段

①原則論
ア 甲社定款7条は法214条の定款の定めに当たり、甲社は株券発行会社。→甲社株式の譲渡が甲社に対する関係で効力を生ずるためには株券の交付が必要(128条1項)。→本件ではFはEから株券の交付を受けておりOK。
イ 甲社定款5条は法107条2項1号イの事項についての定款の定めに当たり甲社株式は譲渡制限株式(法2条17号)に当たる。→甲社株式の譲渡が甲社に対する関係で効力を生ずるためには当該株式取得について甲社の承認が必要。→本件では145条1号のみなし承認の要件を形式的に充たす。
←出題趣旨には「甲社は非公開会社であるから」と書かれている。が、設問1で非公開会社という概念を用いる必要があるのか?甲社株式が譲渡制限株式であるといえば足りるのではないか?
←ア を書けなかった。争点となっていない条文についても思考過程を示すために引用すること(エスケイさんブログ)。

②本問の特殊事情
Aによるみなし承認制度の悪用。→145条1号の適用の肯否を三段論法で書く。
ex.145条1号の趣旨は株式譲受人保護。→会社内部の事情により145条1号の適用がされず株式譲渡が無効となると株式譲受人に不測の損害を与え株式譲受人保護を図れない。→よって会社内部の事情により145条1号の適用を否定することは許されない(私見)。→当てはめ。
←このようになるべく株式譲渡を有効として後の設問に影響を及ぼさないようにすべき。
←Aによるみなし承認制度の悪用という問題文の特殊事情をどのように処理していいか分からず無視してしまった。「2週間が経過した」(事実6)という問題文の直前にAの内心の事情が記載されているのだから、145条1号の適用の肯否が問題となることに気付くべきだった。

設問1後段

名義書換未了の株式譲受人の地位の論点の定型的処理で済ませた。

設問2(1)

①条文選択:831条1項
②要件検討
ア 訴訟要件を軽く認定する。
←書かなかった。要件検討の思考過程を示すために書くべき。
イ 本案

{831条1項1号}
「法令違反」:違反する「法令」の条文を探す。
a.309条5項
←309条5項を探したが見つけられなかった。299条4項の趣旨から解釈して309条5項と同じ内容を書いたので部分点はもらえたと思う。
b.106条
Qが有していた甲社株式についてのBによる議決権行使を無効として取り扱った点の106条適合性
→106条本文の要件検討
・「株式が2以上の者の共有に属するとき」→OK
∵Q死亡により株式はABCの共有になる(民898条)(∵株式は共益権も表章するので金銭債権のように被相続人の死亡により相続人に当然分割承継されない。)。
・「権利を行使する者一人を定め」:
BC間の合意で権利行使者をBと指定したこと(事実4)は「権利を行使する者一人を定め」に当たるか。権利行使者指定「方式」について106条は定めておらず問題となる。
→106条の趣旨は会社の事務処理の便宜。→全員一致は困難であり権利行使者が定まらず会社の事務処理を害する(ex.定足数を確保できなくなる)。→民252条により持分の過半数で決するのが趣旨に合致する。
→本問ではBCは持分の過半数OK。→Bを指定したことは「権利を行使する者一人を定め」に当たる。
・「株式会社に対しその者の氏名を通知」→OK∵事実4
→106条本文の要件充足。
→106条本文の命題:「PはQしない場合にはその場合に限りRをすることができない」→106条本文の命題の裏(「PはQする場合にはRをすることができる」)は真。
→106条本文の命題の裏より、Bの議決権行使は適法。→Bの議決権行使を無効として取り扱ったことは106条本文に違反する(私見)。
←106条について事前に準備していなかったとしても、106条を現場で見つけて要件効果を検討していけば上記の程度のことは書けるのではないか。
←権利行使者の指定方式につき解釈論として書けなかった。

{831条1項2号3号}
検討の過程を短く書いて思考過程を示す。
←検討しなかった。出題趣旨は831条1項3号について検討することを求めている。1号だけでなく2号3号も検討する姿勢を持っていれば部分点を拾えたかもしれない。

設問2(2)

「取れない」問題
①条文選択:設問文が請求の根拠法を会社法に限っていない。→民703条を選択。
②要件検討
・「利得」「損失」「因果関係」
・「法律上の原因なく」:株主総会決議取消判決の遡及効(839条反対解釈)及び対世効(838条)を指摘して認定する。
←遡及効の条文上の根拠と対世効を指摘できなかった。

設問3①

①条文選択:210条
②要件検討
ア 210条1号
・法令違反
甲社は非公開会社(∵定款5条、法2条5号)。→募集事項の決定は株主総会決議で行われるのが原則(199条2項)だが、定款6条が202条3項2号の「定款の定め」に当たり取締役会決議で株主割当てによる新株発行を行える(202条3項2号)。→よって、取締役会限りで募集事項の決定を行ったことに法令違反はない。
←このように問題とならない旨をそのまま答案に書く(エスケイさんブログ)。∵要件検討の姿勢・思考過程を示す。
イ 210条2号
・「著しく不公正な方法」
→規範定立:主要目的ルール
→当てはめ:
a.株主割当て→「株主全員に申込みの機会」が付与されていること、b.「新株発行の目的がAによる支配権の確立にあること」、c.「Aは取締役の報酬の増額により払込み資金を用意するために有利な状況を自ら作出していること」(出題趣旨)という事実を摘示する。
←b.の事実のみ摘示した。が、a.の事実にもかかわらず新株発行の主要目的が支配権維持にあるといえるためには、c.の事実まで摘示しなければ説得的ではない(私見)。重要な事実は漏らさず摘示すること。
・「株主が不利益を受けるおそれ」という要件については書けた。

設問3②

①条文選択:828条1項2号。原告適格の条文(2項2号)とともに指摘する(エスケイさんブログ)。
②要件検討(本案)
・無効事由→解釈
・当てはめ
既存株主の持株比率維持の利益(←非公開会社では重要な利益∵株主総会決議を要求(199条2項)及び出訴期間を延長(828条1項2号)。←ただし、差止請求をする機会を与えられていた(事実11)のに差止請求をしなかったのであるから既存株主側に落ち度がある)
vs
法律関係安定の要請(←ただし、非公開会社では株式取引の安定の要請が低い)
←設問3①(←事前手段だから法律関係安定の要請は考えなくてよい)との比較の観点からは、法律関係安定の要請という反対利益への配慮を示すことが必要だと考える。
←非公開会社においては持株比率維持の利益が重要である点しか書けなかった。

敗因:設問1前段-②、設問3①-②-イ