ジイタンだよ
おバカな絵の名人と名工の話しの三回目だよ
さて名工が、絵の名人の家に行ってみると名人が待っていて、あの部屋に絵がありますから見てくださいって言うんだって。そこで部屋の戸を開けたとたんに名工はアッと言ったよ。薄暗いその部屋には恐ろしい猛獣がいてね、眼をランランと光らせて牙をむき出し、大きな声でウーとうなり声をあげるやいなや足を蹴って飛び掛ってきたんだよ。

もう名工は恐ろしさのあまり腰を抜かしてしまい、足をばたばたさせて逃げようとするんだけど逃げられない。![]()
と、そこへ絵の名人がやってきて戸を大きく開け放し、日の光を部屋の中にたくさん入れたよ。そしたら部屋にはただ猛獣の絵が立てかけてあるだけだった。そして絵の名人はしてやったりとくすくす笑っている。
名工は薄暗い部屋の中で、あまりに上手に描かれてある猛獣を見たものだから、てっきり本物の猛獣と思い込んだんだね。そうすると実際にはないうなり声が聞こえたり、飛び掛ってくるような錯覚にもなったんだね。
ふたりは絵と木工というまったく異なる分野なのだから、いがみ合いなどせずに仲良く協力し合えばもっと技量も磨かれ、評判もより高まってお互いのためになるものを、まったくおバカさんたちだよね。でも、今でもこういうおバカさんの大人たちっているよね。
おしまい じゃまたね