ジイタンだよ
『おバカな絵の名人と名工の話』の二回目だよ
そしてね、絵の名人は絵を描くための道具を持ってお堂に行ってみるとね、名工が待っていてどうぞ中に入ってみてくださいって言うんだね。絵の名人は言われるままに、開いてある扉から入ろうとして近づくとパタンと閉まってしまい、別の扉が開く。
あれって思ってその扉から入ろうとすると、またパタンと閉まって別の扉が開くんだよ。こうしてどの扉からも入れない。ハッと気がついた絵の名人は、さては私をからかうつもりで仕組んだなって腹を立て、名工をにらんで大急ぎで帰ってしまった。名工はしてやったりとクスクス笑っているよ。
今ならこういう仕掛けも簡単に作れるけれど、当時は大変な工夫だし技術だったんだね。だから名工も“やったぜ”って得意だったんだね。
でね、しばらくすると今度は絵の名人が名工に言ったんだ。あるお金持ちから頼まれて絵を描いたのですが、今度はその絵を彫刻にして欄間に飾りたいっていうのです。私の絵を彫刻にして、絵より立派に出来る人なんてあなたしかいないので、ぜひ頼まれてくれませんかっていうんだね。![]()
名工はどうもおかしいなって思いはしたんだけど、断われば絵の名人から“私の絵が素晴らしいものだから、彫刻に出来ないんだ”って言われるに決まっているから、なにくそって思って承諾したんだって。
つづく