ファッションの面から見ると、『第72回NHK紅白歌合戦』は着こなしアイデア

の宝庫と言えそうな内容でした。出演した歌手の装いには、今回のテーマ

「Colorful~カラフル~」が生かされていて、コーディネートの盗みどころが

あふれんばかり。そこで、今回の『紅白』に出演したメイン歌手すべての

装いを、いくつかの特徴・傾向に沿って解説しつつ、2022年のファッション

トレンドをご紹介します。

初司会となった女優・川口春奈がオープニングで着用した衣装は、イエロー

のダブルブレスト・ジャケットとワイドパンツのセットアップ(上下そろい)。

英国ブランド「Stella McCartney(ステラ マッカートニー)」と伝えられています。

 

今回の『紅白』ではSDGsを打ち出していたこともあり、サステナビリティー

重視で有名なトップブランドを選ぶことのメッセージ性も感じさせます。

ハッピー感や生命力を印象づけるイエローは急浮上のトレンドカラーです。

細い黒ベルトを巻いて、めりはりを際立たせていました。後半戦の幕開け

では花柄がダイナミックに躍る、赤のジャケットにピンクのパンツと組み

合わせた華やか装いに衣装替えしています。

 

異なるアイテムを1着に同居させる「ドッキング」の手法は、今回の出場者

の装いで積極的に生かされました。「Perfume」のブルー系ルックは、ミニ

丈ボトムスの両サイドにプリーツスカートがドッキング。肩周りではケープ

風のプリーツが程よく主張しています。

 

大トリを飾ったMISIAはラッフルやフリルで埋め尽くされた、薄いピンクの

ドレスで大舞台を締めくくりました。ご本人のツイートを見ると、東京オリ

ンピック開会式でも着用したブランド「TOMO KOIZUMI(トモ コイズミ)」が

手がけた作品のようです。スーパーボリューミーなドレスを、ウエスト

シェイプしてめりはりを強調。アイコン的なヘアバンドに加え、両腕に

2個ずつはめたバングルもソウルフルに装いを華やがせました。

「メタリックやレインボーカラー」で主張や多様性を際立たせる

「ジェンダーレス」の新解釈 パールやビジュウ使いでエレガントに

SDGsやサステナビリティーの流れを背景に、ファッションにもナチュ

ラル感が求められるようになってきました。「ゆず」のトップスには本物

の植物が肩のあたりにオン。会場セッティングも担当したフラワー

アーティストの東信がスタイリングしたそうです。ギターストラップに

つる草が、靴にも葉っぱがあしらわれました。「着るフラワーアート」と

いった見え具合でした。

 

パープル系やベロア」で魅せる、レトロ×スター感の演出

会の大泉洋は紫色の装いに身を包みました。ベルベット風の生地で

仕立てたシャイニーなスーツです。パープル系は2022年の流行色と

して有望視されていて、パントン社(米国の色見本企業)も紫色の

一種「ベリーペリ(Very Peri)」を22年のトレンドカラーに選んでいます。

今回の紅白では多くの歌手がパープル系を取り入れ、関心の高さを

示しました。

『残酷な天使のテーゼ』を歌った高橋洋子はパープルのマーメイド

ドレスを選びました。

 

ホワイトorブラック」でスタイリッシュなクールエレガンスを表現

白組トップバッターの郷ひろみは白組らしく白主体のルック。

福山雅治は白組のトリにふさわしく、ホワイトルックでステージに

現れました。ロングジャケットにシャツ、スニーカーと、すべてホワイト。

宮本浩次は黒ジャケットにスリムパンツという、ストイックで抑制の

利いたミニマルルックを選びました。