みなさんは速読の1つであるフォトリーディングをご存じでしょうか? 私は今年フォトリーディングを初めて学び,従来の読書との違いに目から鱗でした。その有用性から,小学校でも取り入れられないものかと考え,小学校でのフォトリー導入の可能性について少し考えてみました。以下,現段階での私の個人的な考えです。
【導入できる可能性は十分ある!】
結論としては,様々な障壁はあるでしょうが,将来的にフォトリーを導入することは可能ではないかと考えます。そのように考える理由として,次のような教育界を取り巻く事情があります。
①新学習指導要領での位置づけが可能
今年度より実施となった新学習指導要領(国語科)で,次のような記述があります。「比べ読み,速読,本や文章全体を概観しながら拾い読みをする摘読,同じ課題で多くの本を重ねたり並行させたりして読む多読など,目的に応じた効果的な読み方を選択し活用することが重要である」。これは国が考える読書に速読も入ることを示しています。フォトリーはこの速読や摘読に近いのではないでしょうか。新指導要領では読書活動がこれまでよい一層重視されており,国は小学校段階で生涯にわたる読書生活の基礎を形成したいと考えています。フォトリーを「目的に応じた効果的な読み方」の一つとして位置づけ,多様な読み方の一つとして子どもたちに教授することは特に問題がないと考えます。
②国が求める学力形成にも資する
昨今OECDの学力テストで日本の子どもの読解力が低下していると指摘されています。これを受け,学校現場でもPISA型といわれる読解力が重視されるようになりました。メディアでも一時よく報道された全国一斉学力テストの国語の問題を見ても,国が求める学力が,単に文章から情報を取り出すだけでなく,目的に応じて文章や図表を読み,思考し,自分の考えをアウトプットできる力までを定義していることが分かります。ある程度まとまった分量の文章を途中やめせず最後まで読み通す力や,質問や目的に応じて緩急をつけながら読む力をつけるのに,フォトリーは有効だと考えます。
③現場の教師達も旧来の読み方の問題点に気付き始めている
小学校の国語科ではこれまで「精読」と呼ばれる分析的な読みが主流でしたが,最近では「丸ごと読み」と呼ばれる,より生活読書に近い読み方が脚光を浴びています。小学校では物語にしても説明的文章にしても一つの文章を十何時間もかけて詳細に読んでいく指導が一般的です。しかし,精読一辺倒の指導によって,かえって子どもの国語嫌い・読書嫌いを生んでるのではないかという議論もここ数年なされるようになりました。精読にはもちろんその意義が十分あるので,完全になくなることはないと思いますが,「丸ごと読み」のように文章を細切れにせずに丸ごと扱う読み方の指導が増えていることは事実です。フォトリーは文章を一気に読むので,全体の流れを把握し易かったり,文字面ではなく文章の背後にある作者・筆者のメッセージ・主張やコアとなる概念にアクセスしやすくなる読みだと思います。このような読み方の重要性を現場の教師達も今注目しています。
以上のことから,フォトリーが学校教育現場に導入される可能性については私は十分期待を持っています。何よりフォトリーを子ども達が学べば,本への心理的な抵抗感が軽減され,1冊読めたという自信が読書への意欲につながります。また,本は隅々まで読まなければならないものではなく,読み飛ばしていいし,つまらなければ読まなくていいというある種のパラダイム転換にもつながります。子どもが好ましい読書態度を身につけるということは学力形成や将来の知的生活を考えても効果は計り知れません。
【導入の具体的な方法】
それでは具体的な導入の方法ですが,現時点では国語科の指導時数外でフォトリーを教授し,それを国語科などのカリキュラム内で使うという方法が抵抗が少ないのではないかと思います。例えば・・ ・
*夏休みの図書館行事で紹介・教授する。(高学年児童・保護者・教員対象に)
*「読書クラブ」といったクラブ活動の時間に教授する。
*クラスの学級活動で教授し,読書活動を核とするクラス経営をする。その中で継続的に指導する。
いじめや偏見の問題を予防するのに,やはり教師が有用性を理解し,「こういう読み方があります」と紹介するところから始めるのがよいと思います。保護者・教員も巻き込んで学校単位で導入できると理想です。
より広く教員に認知させるには,地域の研究会など影響力のある研究会で実践を報告することが有効かと考えます。また,全国的にも国語教育に関心の高い教員や指導主事などが集まる研究会もありますし,国語教育界のキーマンとなっている先生に認知されることで一気に広まる可能性もあります。