2026年7月26日のWall Street Journalに「親との縁を切る大人が増えている背景に、セラピストの関与はあるのか?」という記事が掲載されていました。
アメリカでは、親子関係に悩み、親との連絡を完全に断つ「ノーコンタクト」を選ぶ大人が増えているそうです。
コーネル大学の家族社会学者・人間発達学の教授のピレマー氏の調査によると、米国の人口の約25%が常に親しい親族と疎遠な状態にあるか、あるいは関係を断絶しており、そのうち10%は親または子供と疎遠になっているとのこと。
4人に一人が親族と疎遠、または断絶しているとは。夫側の親族や私の身近でこのような人はいませんので、驚きました。
もちろん虐待や暴力があるならば、身を守るために家族と距離を置くことが必要な場合もありますが、近年では、セラピスト(心理カウンセラー)から家族との絶縁を勧められたという人が増えており、その是非をめぐって専門家の間で議論が起きているそうです。
この記事のポイントは以下の通りです。
「自分を守るために家族と距離を置く」という考え方
近年は、「自分の心を守るためには、有害な人間関係から離れてもいい」という考え方が広く受け入れられるようになりました。
特に、身体的・精神的な虐待や深刻な支配がある場合、家族と距離を置くことは重要な選択肢です。
一方で、親との意見の違いや過去の嫌な経験まで、すべて「虐待」や「トラウマ」と捉えてしまうことには注意が必要だと指摘する専門家もいます。
セラピストが「縁を切る」ことを勧めるケース
この記事では、セラピスト(心理カウンセラー)から親との関係を断つよう助言された人々が紹介されています。
4月に行われた、子どもと疎遠になった親約7,000人を対象とした調査では、約3分の1が、成人した子どもが関係を断つ決断にセラピストが影響した、あるいは絶縁を勧めたと考えていました。
これに対して批判的な専門家は、セラピストは基本的に患者側の話しか聞いていないため、一方の視点だけで家族関係を判断することには危険があると指摘しています。
SNSが「ノーコンタクト」を広めている
InstagramやTikTokなどでは、親との関係を断ったことで「人生が楽になった」という体験談が数多く紹介されています。
こうした情報に救われる人もいますが、SNSで紹介されているのはあくまで個人の経験です。
ある人にとって有効だった方法が、別の家庭にも当てはまるとは限りません。
「毒親」「トラウマ」といった言葉をSNSで知り、自分の家族関係をその枠組みだけで判断してしまう可能性にも注意が必要です。
絶縁には長期的な影響もあります
親との関係を断つことで、一時的に気持ちが楽になる人もいます。しかし、時間が経つと、兄弟姉妹や親族との関係にも影響が及ぶことがあります。
また、親が高齢になったり、自分自身が親になったりすることで、過去の決断について考え直す人もいます。
コーネル大学の研究者らによる研究では、家族との関係を断った人が、時間の経過とともに慢性的な不幸感やうつ状態を経験する割合が高いことが示されているとされています。
「家族だから我慢」も「すぐ絶縁」も避ける
家族との関係には、一つの正解があるわけではありません。そこまで深刻ではない場合には、まず「何が自分を苦しめているのか」を整理し、適切な境界線を設定することも一つの方法です。
セラピーを受ける場合も、「親と縁を切るべきか」という答えを求めるのではなく、自分の感情や家族との関係を客観的に整理し、複数の選択肢を検討するために活用するとよいでしょう。
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